「人身売買」大国ニッポン 2 〜 日本で生まれ育った高校生に「帰れ」という司法 2016年07月07日 20時00分 カテゴリ: 「人身売買」大国ニッポン • 記事・コラム 児玉晃一弁護士(左)とウォン・ウティナン君(右) ■「まだ、日本で暮らしていきたいんです」 法廷は支援の人たちで埋まった。全員の視線が裁判官に向けられる。祈るように手を合わせ、”その瞬間”を待つ女性の姿もあった。 張り詰めた空気のなか、岩井伸晃裁判長が判決を読み上げる。 「主文。原告らの請求を棄却する」 裁判長の口から発せられたのは、たったそれだけだった。その一言で、なにかがぶつっと断ち切られたような喪失感が法廷内に広まった。多くの人が肩を落とす。傍聴席から立ち上がることができない人もいた。 「ひどい!」 退廷する裁判官に向けて、悲鳴のような声が飛ばされる。 原告席のウォン・ウティナン君(16歳)は、横にいる母親のから