講談社 2007年12月 「批評の精神分析」は東浩紀氏の対談集である。十一の対談が収められているが、「美少女ゲーム」をめぐる薀蓄を披露している座談会などもあり、そういうものはこちらとしては取りつくべき島がない。しかし、きわめて興味深い対談もあり、それらのいくつかをこれからとりあげていきたい。 最初は稲葉振一郎氏との対談である。稲葉氏の著作はこのブログでもいくつかとりあげたことがあり、この対談で主として議論されている「モダンのクールダウン」(NTT出版 2006年)も論じた。しかし、なんだかわたくしには焦点の定まらない本のように思え、氏のいいたいことがよくわからなかった。この対談を読んではじめて、そういうことであったのかと理解できたところが多々あった。それであらためて「モダンのクールダウン」を読み返して見たのだが、やはり、この対談で稲葉氏が言っているようには読めなかった。どうもわたくしの読解