伊藤元重氏 東京大学大学院経済学研究科教授 著書に『伊藤元重の経済がわかる研究室』(日本経済新聞社、2005年)(編著)、『伊藤元重のマーケティング・エコノミクス』(日本経済新聞社 2006年)、『危機を超えて すべてがわかる「世界大不況」講義』(講談社 2009年)など多数 伊藤 アベノミクスによって、我々が今、生活をしている環境は、大きく変わりました。10年前、名目金利は1%でしたが、消費者物価がマイナス1%だったので、実質金利は2%ありました。これから黒田日銀総裁の政策が奏功した場合、名目金利が現状の0.5%で、物価が2%ずつ上がっていくと、実質金利はマイナス1.5%になります。この変化は非常に大きい。資産運用の巧拙が問われてくるわけです。 加えて、「失われた20年」と言われている間、私たちはしっかり金融資産を積み上げてきました。これをどう活かしていくのか。ここに大きなチャンスがある