高度経済成長期には「お家芸」とまで言われた造船業が苦境に喘いでいる。業界2位と5位の大型合併は、暗礁に乗り上げた。目も当てられない権力闘争の裏側には、企業経営の問題点が詰まっている。 なぜ情報が漏れるのか 創業100年を超える名門企業で起きた、前代未聞の社長解任劇—。川崎重工業の元常務、浅野雄一氏も驚きを隠せない。 「社長解任を知ったのは、その直前のことで、えらく驚きました。川崎重工には、巷間言われている派閥のようなものもないし、実際は温厚な企業体質なんですよ。長谷川社長も極めて真面目で、経営者としても立派な方です。 それがなぜ、あのような解任ということになってしまったのか、理解に苦しみますし、クーデターだとか、分裂などという報道を悲しく思います」 総合重機大手の川崎重工業は、6月13日の臨時取締役会で、長谷川聰社長(65歳)ら取締役3人を解任した。長谷川前社長らが推進した三井造船との経営
