フォードをル・マン初優勝に導いた立役者の一人がドライバーのケン・マイルズ。だが47年で生涯を終えた彼の名は意外に知られていない。その数奇な人生に迫る。 メカニックと両立させて コブラの生みの親でありGT40の育ての親でもあるキャロル・シェルビーは晩年、こう語っている。「シェルビー・アメリカン設立には3人のキープレイヤーがいた。その3人とはピート・ブロック、フィル・レミントン、そしてテストドライバーのケン・マイルズだ」 1918年11月1日、ケン・マイルズはイギリス・バーミンガム近郊で生まれた。レーサーを夢見ていた彼は、16歳からメカニックとして働き出すが、第二次世界大戦の勃発や資金不足で、その夢を叶えられずにいた。ところが、友人の勧めで51年に妻子とともにカリフォルニアへ移住したことが転機となった。メカニックをしながらMG TDを改造したオリジナル・マシンR1でSCCAに挑戦した彼は、数多