海外旅行に出かける時に、生水や、氷の入った飲み物を飲まないように、果物も自分で皮をむいて食べましょうと注意されることがあります。上下水道が充分に整っていない国々では、特に雨期の洪水の後などに、飲料水が下水によって汚染され、散発的に、あるいは大規模な水系感染が起こることがあるからです。 そのような水系感染症のひとつに、E型肝炎があります。E型肝炎はE型肝炎ウイルスの感染によってひき起こされる急性肝炎で、かつて経口伝播型非A非B型肝炎と呼ばれた疾患です。非A非B型肝炎といえば、欧米諸国ではC型肝炎を意味しますが、発展途上国では大部分はE型肝炎であるといわれています。 日本では長い間、海外旅行のお土産として考えられてきましたが、1999~2002年の間に数名とはいえ、海外渡航歴のない患者が報告されました。検出されたウイルスの型はかつて海外渡航者から見つかったものとは異なるものでしたが、その感染経