東芝の3分割案について綱川智・社長CEOは、「総合電機メーカーではなくなる」と記者会見で認めた。なぜ“日の丸家電”の象徴は解体に追い込まれようとしているのか……『テヘランからきた男 西田厚聰と東芝壊滅』の著者であるノンフィクション作家の児玉博氏が、その岐路に立ち返った。【前後編の前編】 * * * 「サザエさん」「東芝日曜劇場」などの一社スポンサーとして、戦後の日本に寄り添うような存在だった「東芝」が消えようとしている。 1875年に田中久重による電信設備メーカー「田中製造所」にその源流を遡ることのできる東芝。100年をゆうに超え、常に名門と謳われた企業は、今やアクティビストと呼ばれる株主の言うがままに分割されようとしている。 名門企業は一体どこで何を間違えたのだろうか? 安倍政権が守った 検察官、佐渡賢一の名前を事件史に留めることとなったのは、佐渡が大阪地検検事正時代に捜査を指揮した「ハ