イギリス「EU離脱」をめぐる大混乱の実情~「タブー」に触れ、怒鳴り合う政治家たち 戦争、ヒトラー、DIY不景気… 文/小林恭子(在英ジャーナリスト) 欧州連合(EU)の将来を揺るがしかねない一つの審判が、今月末、英国で下される。EU残留か離脱かを決める国民投票だ。 世論調査では両派の支持率はほぼ拮抗し、論争がデッドヒート化している。離脱すれば「戦争が起きる」と残留派キャメロン首相が警告する一方で、離脱派からはEUをヒトラーと同一視するかのような発言が飛び出る。 決め手は経済か、それとも移民問題か。情報の洪水に国民は「誰を信じたらいいのか分からない」状態だ。6月23日の投票日まで3週間を切った英国の様子を伝えたい。 英国にとってEUは「遠い存在」 そもそも、なぜEU加盟についての国民投票を行うのだろうか? 現在のEUは28カ国が加盟する、欧州内の政治・経済上のパートナーシップだ。第2次世界大
