東日本大震災による福島第1原発事故発生から1年というタイミングは、原発問題をじっくり考えるいい機会だ。原発の反対派も支持派もこの問題を論評しているが、双方が同じ結論に達している。「われわれは最初から正しかった」と。 福島第1原発でのメルトダウンは反原発派にとって、ある意味で間違いなく追い風だ。日本経済研究センターの試算によると、廃炉や避難者の所得補償などにかかる費用は最大20兆円にも上る。日本のように進んだ国で自然災害がこれほどまでに危険で破壊的、かつ莫大な費用がかかる危機をもたらすとすれば、世界のどこにおいても安全を保証することは不可能だ。不可能な事を可能にする取り組みは、原発をさらに費用のかかるものにするだろう。ワールドウオッチ研究所などの分析では、すでに原発は太陽光発電よりもコストがかかっているとの指摘もある。