また東京裁判の季節がやってきたが、今年は「パール意見書」に関する議論がにぎやかだ。昨年、安倍首相(当時)がインドを訪問したとき、わざわざパールの長男を訪れ、他方で中島岳志『パール判事』が、意見書の原文を読まないで「平和主義」を「平和憲法」と誤読した、と小林よしのり氏が連載漫画で激しく批判したりしている。 本書は、中島氏と西部邁氏の対談だが、パールを平和憲法の守護者として「右派論壇」を批判したはずの中島氏が、なぜか西部氏にすり寄り、「真の保守とは何か」という類の雑談が延々と続く(画像にリンクはない)。よしりんの批判にも答えず、パールのlegal positivismを「近代科学の実証主義を法学に持ち込んだ」と批判するお粗末ぶりだ(当ブログでも既述の通り、これはpositive lawの派生語で実証主義とは無関係)。西部氏も、いい加減な本を書き散らして晩節を汚さないほうがいいのではないか。