「那須川天心vsメイウェザー」は興行格闘技で意図的に発生させたバグだ。しかも大晦日のTVで見ているうえで、ほとんどの人間がバグだと気づかないように出来あがってしまった。いま(選手の競技能力の上では)厳密なシステムで運営されている格闘技にプロモーションがチート行為を行うことで、見た目にはおもしろいバグを生み出し、表向きは多くの人々が喜ぶ結果になったのである。 スポーツとはルールの上で、勝ち負けを競い合うことで成り立つものだ。しかし興行格闘技では簡単にいかない。ジャンルの性質上、たとえばポイント制のように完全なルールで決着できるものにすれば、勝ち負けの判定に不純物はほとんどなくなる。だけど、興行としての魅力はなくなってしまう。結局のところ、どちらが強いかという決闘の部分を見たいから成立している。 だけど選手ふたりを闘わせるなかでバグはどこかで紛れ込む。どちらが勝ちかを判定するなかで、どうにも観
