映像を展示するということ 私たちが「動いている」と感じたり「音が鳴っている」と感じるのは、直前まで接していた情報と、いま接している情報が、変化していることを読み取れたからである。もし、変化を感じ取ることができなければ頭の中に動きや音は生まれない。つまり、映像や音をつくるということは、ミクロ・マクロの様々なレベルにおいて変化する情報を設計し、時間をつくり出すということでもある。 時間表現を鑑賞する際、一般的には「上映」「公演」「再生」という、頭から終わりまで流れる一連の時間を、任意のタイミングで開始するというかたちをとることが多い。ある固有の時間の流れとしてつくられた表現を鑑賞するためには、スタートのタイミングというのは非常に重要だからだ。体験デザインの観点からすると、鑑賞者に見はじめるタイミングが委ねられている「展示」という形式と映像や音楽表現の相性は、じつは良くないのではないかと考えてい
