タヌキの魅力にどっぷりハマってしまった動物生態学者の佐伯緑氏が著した『What is Tanuki?』(東京大学出版会)には、タヌキ学の最先端の知見が詰まっている。 本格的な研究書ゆえいささか込み入った議論、詳細なデータについての論述も少なくないが、本書を特徴づけるのは、佐伯氏のタヌキへの深い理解と溢れんばかりの愛。 タヌキの全てを知ろうとする氏は、時にタヌキを徹底的に追いかける。研究室で椅子にふんぞり返っていては決して覗けない、ある野生のタヌキの家族の物語は迫真のルポルタージュのよう。一部を抜粋して紹介する。