今、この本を読んでもあまり驚かないのは、ここに書いてあることの幾つかの部分が実際に具現化されてWorld Wide Webというかたちで運用されているからだ。つまり、今のこの世界を生きる私にとって、ここに書いてあることはある意味「当たり前」になってしまったことなのである。でも、この本が自費出版されたのは1981年で、World Wide Webなんてものは存在せず、ハイパーテキストという概念ももちろん存在していなかった。恐らく、1981年当時のテッド・ネルソンに対する一般的な評価は「奇人・変人」だったのであろうし、インターネットが本格的に普及しWorld Wide Webの世界が「当たり前」となるここ7,8年くらいまで、その評価は変わっていなかったのだろう。2004年1月3日作成の読書録をリサイクル。 Xanaduは、システム構築ではよくありがちな、「何でも実現しようとして、結局は何にもで
▼テッド・ネルソンがやったこと 1960年頃にコンピューターと出会い、それまでにカメラマン・雑誌編集・ロックミュージカルの演出なんていうことをやってきたが、これだ!と思った。 メディアマシーンだ!人類の未来はスクリーン上にある!つまり、いかに紙から脱却できるかということが大事になる。リンクはつねにオリジナルのドキュメントにオリジナルな状態(Copy Right)でリンクしているべきで、それこそハイパーテキストだということ(Hovering Linksという考え方)。 テキストの将来を技術者にまかせるとどうしようもないことになり、実際その通りになった。wwwはリンクが隠れていて、一方的だからうんこだ。 ▼テッド・ネルソンが怒っていること 今のコンピューターは全くダメだ、理由は! ヒエラルキーなストラクチャー(構造)であること FATもFAT32もNTFSもMacOSもUNIXもファイル構造は
まったく新しいもの 世の中の怪物、キメラやスフィンクス、エイリアンから怪人に至るまで、あらゆるクリーチャーは、何かと何かの合成でつくられてきた。まったく新しいものを想像/創造することは、きわめて困難なことのひとつだからだ。まったく新しいものには名前がつけられることで、初めてそれが他のものと区別される。魔術とは本質的に、秘密の名前についての科学だ。 言葉に先立つ概念があるか。これは哲学の重大な問題だが、一般にものごとは、言葉によって他のものと峻別され、特徴をもった存在として屹立する。 言葉はある。しかし、中身はない――そんな特別な言葉が、コンピュータにはある。「ハイパーテキスト」である。いまから40年以上も前に、この言葉を生み出した男がいる。テッド・ネルソン氏。時代を40年以上も先取りした男だ。 テッド・ネルソン氏 ハイパーテキストというからっぽの容れ物に、それから40年、多くの人がいろいろ
HT 2025 – Call for Blue Sky Papers: CCC-Sponsored Travel Grants Call for Blue Sky Papers – CCC-Sponsored Travel Grants Chicago, USA, September 15-19, 2025 In cooperation with the Computing Community Consortium (CCC, https://cra.org/ccc/ ), we invite submissions to a special “Blue Sky Ideas” track. The emphasis... DocEng 2025 – Call for Papers The 25 th ACM Symposium on Document Engineering (DocEng
まったく新しいもの 世の中の怪物、キメラやスフィンクス、エイリアンから怪人に至るまで、あらゆるクリーチャーは、何かと何かの合成でつくられてきた。まったく新しいものを想像/創造することは、きわめて困難なことのひとつだからだ。まったく新しいものには名前がつけられることで、初めてそれが他のものと区別される。魔術とは本質的に、秘密の名前についての科学だ。 言葉に先立つ概念があるか。これは哲学の重大な問題だが、一般にものごとは、言葉によって他のものと峻別され、特徴をもった存在として屹立する。 言葉はある。しかし、中身はない――そんな特別な言葉が、コンピュータにはある。「ハイパーテキスト」である。いまから40年以上も前に、この言葉を生み出した男がいる。テッド・ネルソン氏。時代を40年以上も先取りした男だ。 テッド・ネルソン氏 ハイパーテキストというからっぽの容れ物に、それから40年、多くの人がいろいろ
理想郷を求めて ここまでに、ブッシュのMEMEX、エンゲルバートのNLS、アラン・ケイのDynaBookというコンピューター利用の発達史を見てきました。 ケイのDynaBookは、MEMEXやNLSが目指した「情報の保存と検索」という考えとは多少異なります。しかし、「ユーザーのためのコンピューター」という新しい考え方を生み出しました。 では、情報を扱うための、正当な後継者はどこへ行ったのでしょう? ここに、テッド・ネルソンという人物が現れます。実は彼はMEMEXの論文を読んでシステムを考案し、NLSの登場を見て、新たなプロジェクトを提案します。 プロジェクトの名前は「Project Xanadu」。Xanaduとは神秘の宮殿の名前で、理想郷の意味でもあります。 今回は、コンピューターの理想郷を夢見た男の話です。 目次 自分を表現するために… 考えるということはシーケンシャルではない Xan
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