5度のグラミー賞受賞を誇る現代屈指のボーカリスト、レイラ・ハサウェイ(Lalah Hathaway)。90年代初頭から活動する彼女はデビュー時からずっとトップ・アーティストであり続けているわけだが、2010年代以降の活躍は特筆すべきものがある。多くのアーティストがレイラの声を求め、そこからいくつもの傑作が生まれた。 ロバート・グラスパー『Black Radio』、スナーキー・パピー『Family Dinner』、ケンドリック・ラマー『To Pimp A Butterfly』など、レイラの高い技術と表現力はアーティストたちが時代を切り開くために必要な要素だった。特にロバート・グラスパーは『Black Radio』3部作のすべてで彼女とコラボ。しかも、アルバムの中でも鍵になるようなカバー曲で彼女を起用していた。「Jesus Children」ではグラミーを受賞。レイラの声がなければ『Black
「バイト代が出たら母さんに渡すね。これまでたくさんお小遣いをもらってきたお返しに」 こう話していた17歳の高校生。 ことし3月、自分の部屋で倒れて亡くなっているのをきょうだいが見つけた。 その体内から検出されたのは鎮痛剤として使われるフェンタニル。 いまアメリカで、このフェンタニルが原因で命を落とす若者が相次いでいる。 いったい何が起きているのか。現地を取材した。 (ワシントン支局記者 西河篤俊) 1錠数ドルで薬物中毒に われわれが向かったのはアメリカ西部アリゾナ州。 あのグランドキャニオンがあり、メジャーリーグのキャンプがよく行われるところでもある。 州都フェニックスを車で移動していると、路上で横たわる人たちが目に入ってきた。体をくの字に曲げ、もうろうとした状態の人も。 気温が40度を超えることも珍しくないフェニックスだが、暑さで参っているのではない。 薬物中毒の症状とみられる。 こうし
娘が選んだ一冊:『絶望死のアメリカ』 日本で受験勉強中の娘は予備校で勧められた本をよく購入する。自分では買わないなぁ、という本がたまに購入されるので、結構楽しみにしている。先日も、Kindleでの書籍購入通知がメールで飛んできた。¥3,800、なかなか高い本を買うじゃねーか、娘。そして、本のタイトルは『絶望死のアメリカ』、総ページ数352ページ。これは読み応えがあり、面白そうな本だと思い、読み始めたら、やはり当たりであった。でかした、娘。 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの 作者:アン・ケース,アンガス・ディートン みすず書房 Amazon 見捨てられた非大卒アメリカ白人層 この大作の要点を思い切ってまとめてしまえうと、 現代アメリカにおいて、非大卒白人アメリカ人の自殺、薬物、アルコールによる死亡(本書では絶望死と定義)は、飛躍的に伸びている 背景には、経済成長の果実を共有する輪
<麻酔ダイイングメッセージ>伊集院光✕藤井健太郎「過激なもの」ではなく「見たことないもの」を作りたい【『KILLAH KUTS』特別企画】 ヤバい企画、地上波ではオンエアできない番組……とはいっても、ネット配信でのお笑い番組が多数誕生している昨今、視聴者のハードルも上がり続けている。その壁を軽々と越え、お笑いファンに衝撃を与えているのが、Amazon Prime Videoにて配信中の『KILLAH KUTS』(キラーカッツ)だ。 すでに物議を醸している企画も多く、その是非は別として……ここでは各エピソードでMCとして登場したタレントたちに、番組の感想を聞いていく。 <エピソード2>「麻酔ダイイングメッセージ」では、意識を失う間際に犯人のヒントを書き残す“アレ”を、なんと麻酔で再現する。 企画は、被害者役の芸人が殺されるまでのドラマパート、麻酔を打たれて意識を失うまでの間にダイイングメッセ
超合理的! ミステリーの書き方 (幻冬舎新書) 作者:中山七里 幻冬舎 Amazon 会社勤めを愛し、会社に裏切られ、会社勤めを憎んだ。家族に退職を切り出しても「辞めてもいいけど今以上の収入を確保せよ」と諭され、逃げ道がなくなった。能力や特技もない。若さと気力は失われて久しい。50歳で、今から転職するのもダルい。そんなふうに人生に諦めていたところ、ミステリー作家中山七里先生の『超合理的!ミステリーの書き方』(中山七里)が目にとまった。帯には『個性や才能は不要』とある。つまりこの本を読んで紹介されている方法を実践すれば小説が書けて収入が得られて会社勤めを辞められるというわけである。 中山七里先生のデビューが50歳前で、今の僕とほぼ同じ年齢であったこともプラスになって、すがるように一気読みをしたのだが、凄い本だった。自費出版を趣味としているように本書はあくまでプロの小説家になる方法について述べ
この記事はCINRAが運営するPodcast番組『聞くCINRA』で配信したエピソードの内容を編集しています。ノーカット版のインタビューもぜひPodcastでお楽しみください。 ―『スメラミシング』は6編の短編が収録されており、すべて宗教や信仰がテーマになっています。なぜこのテーマを選んだのでしょうか? 小川:もともと、小説の原点は聖書にあるんじゃないかという考えがあって、最初に収録されている『七十人の翻訳者たち』という作品を書きました。 そもそも、なぜ人は他者に対して何かを話したり、語りかけたりするんだろうと考えたとき、そこには宗教という存在があり、自分が信じるものを他人に伝えて、信じさせるために魅力的なお話をつくるんじゃないかと思ったんです。 宗教とか神様について考えることは、根源的に人間の欲望に内蔵されているもので、それについて考えることは、小説について考えることにもつながるだろうと
みんなでファクトチェック マンガで描く“陰謀論と恋愛” 魚豊さんに聞く① 24/05/17まで Nらじ 放送日:2024/05/10 #インタビュー#マンガ・アニメ 放送を聴く 24/05/17まで 放送を聴く 24/05/17まで 「偽情報社会の歩き方」について考える「みんなでファクトチェック」のコーナー。ネットワーク報道部の足立義則デスクとお伝えします。今回は「陰謀論と恋愛」をテーマにした作品が話題の人気漫画家・魚豊(うおと)さんをスタジオにお迎えして「陰謀論」について考えます。(聞き手:足立義則 デスク(ネットワーク報道部)、杉田淳 ニュースデスク、柴田祐規子 アナウンサー) 【出演者】 魚豊:魚豊さん(漫画家) 米議事堂襲撃事件から受けたショック 足立: このところ大きな地震が起きる度に、「これは人工地震で、大きな問題から目をそらすために引き起こされたものだ」といった投稿が、SNS
── 祖父江さん、濱田さん、吉田さんによる 手塚治虫先生3部作のうち、 1冊目の『アーリーワークス』収録の 「ロマンス島」という作品は、 デビュー作『新寶島』以前の作品ですが、 これまで未発表だったそうですね。 濱田 そうなんです。 講談社の『手塚治虫漫画全集』400巻が、 文庫サイズの 『手塚治虫文庫全集』になったとき、 「200巻」全巻予約者のみが 手に入れられる本としては出ていますが。 ── え、「200巻」全巻予約者‥‥!? そんな強者だけが手にできるお宝だったんですか。 濱田 そうなんです。 すでに『漫画全集』の400巻が存在し、 その文庫版「全200巻」なので、 全巻を予約した人の数は多くはなかった。 ようするに 『ロマンス島』を読んだことのある人は、 ほとんどいなかったんです。 ── すごい数ですもんね。 文庫と言えども「200巻!」‥‥って。 濱田 ならば、きちんと単行本に
コレクションは3000本!「DVDに変わった時に『世の中からなくなってしまう』と激しいショックを受けた」…今でもビデオテープにこだわり続けるコレクターの《VHS愛》 「この世からなくなってしまう」という強迫観念NetflixやAmazonプライム、Huluなど、各種配信サービスにより、家にいながらにして大量の動画が見られる時代に、TSUTAYAに代表されるレンタル店は急激に店舗を減らしている。ところが、そんな令和の時代に、DVDよりさらに前の時代のメディアであるVHSにこだわり続ける漢がいた! ホラー監督の川松尚良氏と共に「Team V.H.S」を結成し、資料提供や雑誌への寄稿、配信など、ビデオにまつわる活動をしている神宮慎也さんは、まだ40歳という年齢ながら、VHS愛を貫き、大量のVHSを自宅に保有。VHSにちなんだ発信をX(旧Twitter)で続けている。その情熱は一体どこから来るのか
棋士が互いに対局を振り返って研究する感想戦は、将棋だと1時間、囲碁だと5時間にものぼるケースがあるという。脳科学者の茂木健一郎氏は、この感想戦を「メタ認知を養う貴重な機会」と評する。横並びの教育が良しとされる風潮があるなかで、勝ち負けの詳細を紐解くことの意義を問いかける。本稿は、加藤一二三、茂木健一郎『ひふみん×もぎけん ほがらか脳のすすめ 誰でもなれる天才脳の秘密』(集英社)の一部を抜粋・編集したものです。 将棋は対戦直後、囲碁は数時間後 感想戦にみる「文化の違い」 茂木 将棋のタイトル戦では前夜祭がありますね。どんな感じの催しなんですか。 加藤 最近はだいたい立食パーティになりましたが、かつては関係者がそろって着席し、食事をして話をするという感じでした。この点、囲碁はずいぶん違うようです。決戦のゴングが鳴っているのだから前夜祭では一緒に食事をしない、と、囲碁のトップ棋士の方から聞いたこ
人気ドラマシリーズ『孤独のグルメ』の特別編と銘打つドラマ24『それぞれの孤独のグルメ』が、テレビ東京開局60周年連続ドラマとして放送中だ。 シリーズ放送開始から12年目を迎え、シーズン11作目となった本作は、主人公・井之頭五郎だけではなく、さまざまな職業の人たちの独り飯グルメにフォーカスする新機軸を打ち出している。 それはシリーズの新たな方向性になるのか。第4話まで放送されたが、確かに食事と重なる人間ドラマが繰り広げられ、井之頭五郎の名食事シーンも盛り込まれることで、同作を人気シリーズに押し上げたポイントはしっかり押さえられている。 ただ、違和感がある。情報量が増えたことで、本来の持ち味が薄れてしまっているのだ。 多種多様な主人公と井之頭五郎の独り飯 『それぞれの孤独のグルメ』は、毎話さまざまな世代や職業の主人公が登場し、“誰にも邪魔されず、気を使わず、気の向くまま好きなものを食べる”従来
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