これまで若年層を中心に価値観変容を論じてきたが、今回はシニアを中心に価値観変容を考察する。ここでの主役は、ネオ・シニアである。他の世代と異なる大きな特徴は、デジタルが世の中に普及する前に価値観が確立していることだ。デジタルがもたらす新たな知識や感情によって、彼らの価値観はいかに揺れ動くのか。シリーズ最終回の本編では、ネオ・シニアの価値観変容をひもときつつ、近未来においてビジネス機会をどう創出していくか、世代ごとの特徴を比較しながら考察すべきポイントを整理した。 「シニア」から「ネオ・シニア」への変容 「シニア」という言葉が持つイメージは幅広い。同じ年齢でも心身ともに元気で溌剌(はつらつ)とした人もいれば、落ち着いた魅力と深みを感じさせる人も存在する。そもそもシニアとは何歳からを指すのだろうか? 日本老年学会の定義では、65歳以上を「准高齢者」。75歳以上を「高齢者」。90歳以上を「超高齢者