◆ “都市封鎖”の英国はまるで“戦時下”のような状態 イタリアを始め欧州での急速な蔓延を尻目に、3月上旬までの英国の新型コロナウイルス対策は対岸の火事を見るかのごとくのんびりしたものであった。報告感染者数も少なく、首席科学顧問のもとに集まった精鋭の科学者たちによる対応シナリオは完璧のはずだった。死者が10名になった3月12日のボリス・ジョンソン首相の記者会見では、リスクの少ない若者らに自然感染を緩やかに広げていく戦略が披露され、科学的分析に基づき学校閉鎖や大規模イベントの中止はしないと宣言した。 ボリス・ジョンソン首相はエリザベス女王と電話会談を行った しかし、その週末に急遽発表された数理モデルによる分析は大きな衝撃を与えた。政府の方針のままでは、約25万人が死亡し、NHS(国民保健サービス)の受け入れ可能な患者数の少なくとも8倍の患者が殺到する可能性を示した。 週明けの3月16日、ジョン