バッグ
エースのスーツケース。
[世界が見ほれる、日本の逸品。]
2024.12.16
ジャパンクオリティーの真価を発揮する頼もしき旅の相棒。
日本品質の信頼を守る熟練職人の仕上げ技術
約1900万本。これは、プロテカを擁するバッグとラゲージの総合メーカー、エースの北海道赤平工場が、これまで製造してきた累計生産数である。その驚くべき数字の裏には、最新設備やロボットの導入によるシステマチックな効率化と、熟練職人の卓越した技術、さらに厳格な品質テストなど、“メイド・イン・ニッポン”の真価が見て取れる。
1971年に操業開始した「エースラゲージ赤平工場」は、同社がこれまで培った技術とノウハウが集約された最先端ファクトリー。年間約18万本の高品質製品を生み出す一方、海外の生産拠点に対するマザー工場としての機能を有する。
ひと口にラゲージと言っても、ファスナータイプとフレームタイプでは、製造工程が異なる。フレームタイプを例にすると、プロテカではレーシングカーのホイールにも使われる軽量硬質なマグネシム合金を採用。操作性を左右する枠曲げや静電気を利用した塗装は、最新の機械やロボットを活用。ただ、仕上げとなるパーツの組み立て工程では、丁寧な手作業が必要となる。特に内装生地は、一般的にミシンで縫い付けるが、手貼りで仕上げる製品も多いプロテカの場合、より高度な技術が求められる。たたずまいの美しさにつながる工程だけに、素早くきれいに貼り付ける仕上げは、職人の手に委ねられるのだ。また、専用のハンマーや工具を用いてゆがみを微調整する作業は、職人の知識と経験がものをいう。同様にファスナータイプでも、腕ミシンを使ってシェルにファスナーを真っすぐに縫い合わせる緻密さが求められる。“神は細部に宿る”という言葉があるように、こうした精度の高い作業が、クオリティーを引き上げているのは間違いない。
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厳格なテストを課す関所「エース品質管理研究所」
赤平工場には、品質管理を目的とする「エース品質管理研究所」を併設。ハンドル強度テストやキャスター走行テストなど、全8項目にも及ぶ厳しい審査は、まさしく最後の砦にふさわしい。なかでも巨大なドラム型洗濯機のような箱に重りを入れたラゲージを投入し、ひたすら落下を繰り返す転落テストは圧巻だ。一見ぞんざいに扱われる製品と工場内に響くインダストリアルな爆音に面食らうが、その厳しさが品質の確かさを裏付ける。
時代の推移に伴い、旅のスタイルが多様化するなか、ラゲージに求められるものも変わる。それでも、エースが支持される理由は、ユーザーに対する強い責任感にあると言えるだろう。
道央に施設を構える「エースラゲージ赤平工場」。ハードケースだけでも年間約15万本生産するとあって、最新機器やロボットを導入するなど、生産効率を上げるシステムが充実。それでも、腕ミシンを使ってシェルにファスナーを縫い付ける工程や、ハンマーでゆがみやズレを微調整する作業など、高度な職人技術が随所に見て取れる。工場内に併設された「エース品質管理研究所」では、耐温テストやボディ表面摩擦テストなど、全8項目をチェック。キャスター走行試験では、重りを入れたケースをスタッフが実際に16㎞走行させて耐久性を確認するなど、徹底した品質管理を誇る。
Photograph: Tetsuya Niikura
Styling: Hidetoshi Nakato(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: Ken Yoshimura
Text: Tetsuya Sato