量子コンピューターの世界で驚異的な技術革新が起きた。
グーグルは現地時間12月9日、最新の量子コンピューターチップ「Willow」を発表した。105個の量子ビットを搭載し、世界最速級のスーパーコンピューター「Frontier」で100垓年(10の25乗)かかる計算を、わずか5分で実行できる性能を達成したという。
これは、2019年に同社が発表した量子優位性の実証(従来型スーパーコンピューターの1万年分の計算を3分で実行)をさらに上回る、大幅な進歩となる。
Willowのもっとも重要な技術的発展は、量子ビットにおける性能向上だ。従来の「Sycamore」チップと比べて、量子状態を保持できる時間(T1時間)が5倍の約100マイクロ秒まで改善された上、エラー率も約2分の1に減っているという。
Willowの開発を進めたGoogle Quantum AIチームを率いているHartmut Neven氏は、Willowの技術が将来的に新薬開発、核融合エネルギー、バッテリー設計などの実用的な問題解決に貢献すると述べている。ただし、実用的な量子コンピューター実現には今後も時間を要し、商用化はまだしばらく先になる見通しだ。