2025-02-05

君の名は状態になった

最近、昼食の開拓ちょっとした楽しみになっている。

会社の周りにはチェーンの牛丼屋やラーメン屋が立ち並んでいるんだけど、そういうのはもう飽きた。せっかくなら誰も知らないような穴場を見つけて「ここ、美味いんだよ」とか言ってみたい。そんな野望を胸に日々彷徨っていた結果、最近通い始めたのが居酒屋ランチ営業

夜は普通居酒屋なんだけど、昼は定食屋みたいになっている。味は普通に悪くないし、何より空いているのが良い。混んでいる店はそれだけでストレスになるし、昼休憩なんて限られた時間しかないんだから、さっと食べてさっと帰れる方がありがたい。

今日もその居酒屋に足を運んだんだ。店内に入ると、寒いせいもあってか予想通り誰もいない。でもすぐあとにおっさん一人が入って来た。サラリーマン風のどこにでもいる普通おっさんだ。

おっさんも席につき、店員が注文を取りに来る。俺はA定食を注文して、客が少ないからか店員さんはそのままおっさんの方にも注文を取りにいってて、おっさんはB定食を注文したようだった。

適当スマホを弄って待っていると定食が運ばれてきた。

でも目の前に置かれたのはB定食

え?と思っておっさんの方を見ると、おっさんの前にはA定食が置かれている。

目が合う。

「……」

「……」

入れ替わってるーーーっ!!!???

俺の脳内にはRADWIMPSが流れ出していた。

いやいや、そんなことあるまさか君の名は。現象おっさんも俺も一瞬フリーズして、ちらちらとお互いの定食を見比べる。そしてどちらからともなく立ち上がり、無言のまま定食を手に取った。

店員さんは奥に引っ込んでしまっているし、大声を出すほどのことでもない。こういう時、人間言葉を交わさなくても通じ合うものがあるらしい。俺とおっさんは無言で席を移動し、無言で定食を交換した。

たったこれだけのことなのなんだけど結構キドキした。普段生活の中で、こういう体験って滅多にないし。おっさんもなんとなく気恥ずかしそうな表情を浮かべていた。

俺たちは無言のまま、それぞれの定食を食べ始めた。味は変わらない。だけど、ちょっとだけ特別ランチになった気がするんだ。

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