二年前、大学に入ったばかりのころが懐かしい。入学したとき、田舎とは違うなにもかもに驚いた。人の数が多くて、夜中までそこらじゅう明かりがついていて、ネットで話題になった店には電車一本でいける。当時の僕は起業に漠然とした憧れを抱いていて、渋谷でよく分からんなりに勉強会とかMeetupに参加した。大学の講義が終わった後は、高校の頃から疑問に思っていたことや、講義で納得いかないところを教授にぶつけて議論をして、好奇心の赴くまま、成長を求めて邁進していた。大学には思ったよりまじめな人がいなくて、みんなどうやって楽に単位と点数を得るのかとか、家系ラーメンやTwitterの話ばかりしていてびっくりしたけど、そういう人々とも楽しくやっていた。なんだかやけにキラキラとしていて、これが大学生活というものかと思った。一方で都会と田舎の格差を感じていたので、絶対ここでチャンスをつかんでやる、勉強するぞと意気込んでいた。
そしたら、キャパオーバーして小さいころかかった病気が再発してしまった。
ずいぶん昔に何年かかけて完治したのでもう大丈夫だと思って油断していた。きっと原因は、不規則な生活とひどい食生活のせいと思う。当時は前のめり過ぎて寝てなかった。それでも、案外治療がうまくいって秋ごろからまた大学に通えそうなレベルに回復した。
秋から大学に戻ったとき、周りの景色が全然違っていたのを覚えている。なんだか周りの大学生が自分より数段先を行っているような、もう自分が取り戻せないくらいの、どうがんばっても追いつけない差を感じた。それは、僕が夏学期のテストに出られず、追試期間も治療に専念していて、単位の差ができていたからかもしれないし、固まってきたクラスのグループになじめなかったせいかもしれない。久々に会った知り合いにどう声をかけたらいいかもわからなくて、だんだんキャンパスで人ごみにまぎれて歩くのが息苦しくなって、講義に出るだけで精一杯になって、思考がだんだん余裕を失っていった。ホームで帰りの電車を待つ間、なんだかどうしようもなく逃げたい気持ちになった。そして、ついに大学に行けなくなった。
何か月も家にこもっていた。たまに夜中に目が覚めて無性に外に出たくなるので、そのときはチャンスと思ってコンビニに行って食料と水を確保した。親からの連絡も全部無視して、同級生や高校の友達からのLINEやSNSも全部無視して、とにかく一人で、ずっと寝ていた。ほんとうにつらいとき、自分は誰もいない薄暗がりの中でしか動けなくなってしまうんだなと思った。とにかく、意識があるときは常に死にたいと思っていて、その気持ちが強いほど空がやけにきれいに見えて、とにかく夕焼けが美しくて、雨粒がきれいで、あぁほんとうに世界がきれいだ、僕は死ぬのか、みたいなことをずっと考えていた。
翌年の四月になって、もう一度通おうと思った。時間が自分を回復させてくれたのもあったし、もう一度チャレンジしてみようと思っていた。でも、大学の事務に書類を提出しにいったとき、少しきつい対応をされて、ぎりぎりのいっぱいいっぱいで大学にたどり着いた僕は、もうそこで、また、つぶれてしまった。
それから二か月後、去年6月に、精神科を受けた。一か月ほど前に、外へ体を慣らそうと思って電車に乗ったところで強烈な吐き気を感じて倒れて病院に運ばれたが、精密検査をしてもらってもなにも異常がなく、精神科を勧められたからだ。そこで症状を話して薬をもらったが、どうも先生と性格が合わずに精神科に行くこと自体が苦痛になってしまい、薬を飲んでないけど飲んでると嘘をつくようになり、それから3か月ほどたって、精神科に通うのをやめた。もちろん大学にも通えず、一週間に一度外に出られるレベルの低空飛行を維持していた。親は精神科とか精神の病気にあまりいい反応を示さない感じだったので、自分のつらさとか、不安が話せなかった。高校のときの友達もだんだんそれぞれの忙しさに巻き込まれていくのを見て、自分の不安を上乗せしちゃうのはよくないなって思って、なんだか頼れなかった。結局、それは自分がただ人に甘えることができないだけなんだってことは、後から気づくんだけど。
今年の一月になって、僕は自分の体調・精神を管理する方法を思いついた。それは、日々考えたことと体調をすべて記録して、その記録からよくないときはどうしたらよくなるか、どのくらいの期間でよくなるのか、自分はなんの音楽でテンションが上がるのか、なんの食べ物でテンションが上がるのか、そしてそれらはどのくらい持続するのか、かなり細かく症状別に対策をたてる、というもの。プログラミングをちょっと勉強したおかげで、これらの記録を入力して分析しやすい形にする、調べやすくするといった工夫ができるようになったのが大きかった。まぁなんというか、今まではまったパターンはきっちり学習して調べ上げて次来たら潰しましょうということで、言ってみれば当たり前なんだけど今までそれができてなかった。
これが案外うまくいって、洗濯や茶碗洗いをためずにできるようになり、毎日外に出ても気分が悪くなったり体がだるくなったりすることもなくなり、電車に乗っても吐き気はせず、春休みの大学のキャンパスを歩いても、それほどつらく感じなくなっていった。
そして今年四月、僕は三度目の1年生になり、自分なりの体調・精神管理方法を投入して講義に通い始めた。途中から、大学の医療機関と心療相談所も利用して、薬と対話によるものを並行して取り入れている。躁鬱混合と判断され、確かに今までのを見ると春ごろに無限にやる気が湧く躁が来て、夏から秋にかけて鬱に転落というパターンが多い。躁のときはブレーキをかける、鬱のときは下がりすぎないように薬を投入する。精神科の先生となんだか気が合って心理的安全性を築けて、この人に任せよう、と思えた。心療相談所でははじめ性格が合わなかったが、去年精神科の先生とうまくいかず失敗した経験から、まず心理的安全性を築くことだけを目標に話を続けていたら最近少しづつ話せるようになってきた。ここではカウンセリングを受けながら、認知行動療法を学んでいる。
そして4月は出席率が90パーセントを超えた。これはほんとにうれしかった。がんばればなんとかなる、今までもほんとにつらかった、大学に行かずゴミみたいな生活してるくせに気持ちはぜんっぜん晴れなくてとにかく苦しさでいっぱいだったけど、ここを回していけば光が見える、と思った。
そして今、5月中頃から精神的にどうしてもつらくなってしまって、また大学に通えなくなってしまった。今回の鬱はとにかくズドンと来て、一気に外に出られなくなって、しかも一週間あまりごはんが喉を通らなかった。それから少しづつ回復して、今は普通にご飯が食べられるようになった。ようやく先日先生から薬ももらえて、少しづつ安定してきている。僕が積み上げてきた体調精神管理方法も、さすがに一気になにもできなくなるレベルに突き落とされることは想定しておらず無力だった。でも、これでまたひとつ学習したので、次は負けない。来週、講義に一回でも行けたら自分の勝ち、と思っている。また一からだけど、積み上げよう。
親からお金もらって、環境も与えられて、自分の望む大学に自分の学力で入って、一般的に見て自分はきっと幸せなんだろうな、と思う。特に、親にはほんとうに申し訳ない気持ちでいっぱいである。その申し訳なさと、そろそろ自分の反抗期が終わってきたのと、愚痴を吐き出すのは精神的によいことだ、という気づきから、最近週に一回田舎にいる親とSkypeをしている。ぬいぐるみをウェブカメラにぐいぐい押しつけて「あー俺は同級生がSNSで就活関連の意識高い系発言してるのとか、遊びに行ったとかの楽しそうな写真とか見てほんとうらやましいんだチクショウ、あと彼女ほしい」などととりとめもない話をする僕に「なんか自分のかっこ悪いところも話してくれるようになって嬉しい」と返してくれる親はほんとうに優しくて、高校のころは言えなかった感謝がストレートに言えるようになって、そこは少しだけ成長したのかもしれない。親って案外話してみるもんなんだなと思う。
でも、こんな夜はときどきつらくなる。自分は死にたくないけど、衝動的に思考が狭まり死にたくなることはよくある。それがより強くなるとやっぱり周りの景色がきれいに見えるようになる。少し恐怖を感じる。自分の思考が当てにならないことに悲しくなる。そもそも今の悲しみも躁鬱の波によるものなのかも、と思う。よく分からない。ほんとうによく分からない曖昧なものの中で生きていて、これから自分がどこへ行きたいかもよく分からず、その行き場所を探そうにも体力がない。優先順位はよく分かっている。精神を回復させ、生活を回し、運動を投入し、筋トレに入って自分に少し自信がついたところで、自分の好きなことを片っ端から試して、好きなことと向いていることを探す。それが分かっていても、そこに至るまでの膨大な試行錯誤を予感してしまう。なんだかこんな夜はとってもつらくって仕方なくて、とりとめもなく書き込んでみたくなった。もし読んでくれる人がいたなら嬉しいな。ありがとう。
読みました。あなたは自分の人生を自分のペースで生きることに長けていると思いました。 進学したり就職したり結婚したりと、周囲と同じタイミングでライフステージを移る人は多く...
ただの怠惰で2留した僕には刺さる文章だった(私はクズですがあなたを尊敬します)
読んだよ。文才があると思った。
中学でくだらないピエロをやって勝手に落ち込んで引きこもったりして、成績良くても内申ボロボロになり偏差値30-40台の私立高校にしか入れなかったがそこでアホだけど温かい奴らと...
あなたの日記を読んで、自分とすごく似た大学生活だと思いました。 私も一年の休学をはさんで
ごめんなさい、このサイトを使うのが初めてなのもあって先程間違えて書きかけのままトラックバックしてしまったのですが、もう一度頭から投稿させて下さい。 エントリを読んで、自...
私も三年前くらいはそんなかんじでした。これから持ち直したりぶり返したりあると思います。一喜一憂せずに(無理だと思いますけど)、頑張って(無理だと思いますけど)下さい。...
また同じように誤って途中送信してしまい、改行もよくわからないし…もう改行しません。何にせよ、自分のペースで行きましょう。芯が強くて懸命なあなたに、必要な分のお休みと、...
みんな遠慮して書かないだろうか敢えてら俺が書いてやるが、お前ヘンな宗教にハマってそうな感じがしてキモい。
宗教くらいで排除に走るな おまえこそ死ね
うわきんもー
文章が 書けるので 文筆家に なると よいです。 旅行をして 風景を見て いろいろな人と 会話してみると よいでしょう。 http://anond.hatelabo.jp...
社会的に破滅するほどテンションが上がってる訳でもなさそうだから双極II型障害かな? この手のタイプってだいたい躁と軽躁の区別付いてないけどなんなんだろ。
「心理的安全性(サイコロジカル・セーフティ)」って、心理学用語みたいだけど、ググってみたら企業・人事・経営・ビジネス関係のサイトばかり出てくるな。 自己啓発本とかでこの...
村上春樹の文章はムカつかないのにこの増田の文章はなんだか鼻についてムカつく。 なんでだろう。 やっぱり自分ははてなの人とは好みが合わないんだな。
その判断は早計 そのブコメ欄にははてなで目立つゴミクズ連中はほぼ湧いていない はてなでは珍しいきれいなブコメ欄だよ あ、でもゴミクズに共感するようなゴミクズなら死んでね
いやぁ、ちょっとお綺麗すぎて、facebookあたりでシェアされてるようなちょっといい小噺みたいでねぇ。 あのブコメ欄もいつものはてなではなくて、それこそfacebookか互助会みたいで肌に...
はいはいわかったからさっさと死ね
更年期かよ
元増田はつまらないと思ったから 途中で読み飛ばしたけど さすがにプロのベストセラー作家の文章と比べるどうなの
anond:20170604012351 >講義で納得いかないところを教授にぶつけて議論をして、好奇心の赴くまま、成長を求めて邁進していた。大学には思ったよりまじめな人がいなくて、みんなどうやっ...
んな近場ばっかみて競争してる気になってるからしんどい。
他人事とは思えなかったので書いてみる。 自分も大学時代ずっと増田と同じような気持ちを抱えてた。 (ただ病院に行かなかったから、と言うだけかもしれないけど) ギリギリ躁鬱...
ほかの人も書いてるけど、ハタチ前後って精神的にいちばん大変な時期です。 出口が見えない、というかあるのかどうかすら定かではない、真っ暗なトンネルの中をさまよっている気分...
もう病気に立ち向かってることが勝ちだわ。 人生においての勝ちだわ。 俺もときどき不安障害に苦しめられる。でも貴方みたいに立ち向かえなくなって結局逃げてしまう。そんな生活...
少し追記:大学に入って二年。なんだかとってもつらい。 6月頃にお世話になった増田です。記事への反応やブックマークコメントをくれた方々、本当にありがとうございました。コメ...
https://anond.hatelabo.jp/20170604012351 魔の二年目