「サービス残業は非常に嫌なものである。しかし、それをやらせる方はもっと嫌なのだ」と名言っぽく言っても免罪符にはならないだろう。
当時俺はサービス残業を平気でする完璧な社畜になっていて、もう抗議する余力も転職する余力もなかった。待遇は最悪。でも、もうこれでいいんだ、俺が我慢すればいいと思ってた。
部下ができ、立場が変わった時、俺だけが我慢すればいい問題ではないと気づいた。サービス残業を「やらされる」会社にいれば、いつでも「やらせる」側に回る可能性があることが頭になかった。
契約社員という形で入社してきた部下は2週間くらいは黙ってサービス残業をしていた。しかし、ある日、「○○さん、話があります」とサービス残業について抗議してきた。俺は自分の上司にやられたことにならって、同じようにサービス残業をやるように指導したので実践報告をしてみる。
「お客様が喜ぶ顔を思えば金なんか関係なくなるよな。俺たちは金のためではなく人の幸せのために働いているんだ」
やりがいの搾取って言うんだっけ? これ反論しにくいよね。反論すると、自分が人の幸せより金のために働いているみたいになってしまうからね。まあ本当は仕事は金のためにやるものだし「金」と「人のため」は両立するから、詭弁そのものなんだけど。
こんな感じで、やりがい面を強調したんだが、どうもそれだと不満だったらしく、1週間後にまた「○○さん、話があります」って来たよ。「この仕事にやりがいは感じていますが、やはり、生活のために働いた分だけお金は頂かないといけません」だって。俺より強いw
「いや、別に残業はしなくていいんだよ? 定時以内に終わるならさ。君が無能なわけではないよ。でも君はまだ会社に入ったばかりで、仕事になれていない。だから時間がかかって、定時過ぎになってしまうのはしょうがないんだよ。もしそれで残業代を君あげてしまうと仕事が遅い人が得してしまうだろ? だから払えないんだ」
この仕事遅いから理論はやりがい理論より少し論理的で悪くはない。部下は実際に仕事が遅かったので何も反論が言えなかったようだ。
「俺の仕事が遅くても関係ない。仕事を残ってやってるんだから残業代払え!」
は正論だけど自分の無能を棚に上げているみたいで、言いづらい。これにより、3ヶ月間、部下は文句を言わなかったが、ある日の朝「○○さん、話があります」とまた言い出した。
「すいません。仕事は入社時より大分速くなったはずですが、全然定時以内に仕事が終わる気がしません。私の今日の仕事量を見て下さい」と言って、俺に今日の仕事の予定表を見せてきた。見ると、部下の言う通りどう考えても時間内に終わらない量。「そこでアドバイスを頂きたいのですが、この仕事量を1日で終わらせる方法を教えて下さい」と部下は平坦な声で言った。いくつかの仕事についてスピードアップのためのテクニックは教えることができたが、やはり定時以内には終わらない量。追い詰められた俺は無理矢理話を打ち切る形でそのまま席を立った。もうその日の夜、部下がずかずかとやってきて、すぐに「○○さん、話があるんですが」と言った。話というのはやはり、サービス残業は嫌だと言うことだった。しょうがないので3つめのカードを切った。
俺「金はな後からついてくるんだよ。まずは金の事を気にせずがむしゃらに働け。お前がどれほどの能力を持っているか判らない内は、給料を上げることはできないよ。そりゃそうだろ? 給料を高くしたのに働きはよくならなかったでは、こっちが困る。まずは、お前の能力をアピールしてみろ。そうしたらそれ相応の給料になる」
俺「……」
部下「私は今、定時以降は無給で働いていますよね?」
俺「ま、まあ、そうだ」
部下「それは定時以降の私の仕事に給料を払う価値がないからですか? 価値がないならやらなくていいってことですよね?」
俺「・・・・・・」
瞬殺された。
結果どうなったか。俺は上司に相談するよと言って、上司に経緯を話した。その後、俺の上司が直接部下と話したらしいがそれでも納得いかなかったらしく、彼は会社を去っていった。
はじめて俺がサービス残業をやらされた時の事は今でも覚えている。ああこれがサービス残業かとぼんやりと思いながら働いた後、身体に大きくのしかかった疲労。金にならない仕事は疲れるんだとはじめて知った。いいように使われている自分に対して苛立ちを覚えたし、悲しくもあった。家に帰って、ネットで「サービス残業 ○○」と検索しては溜息をついた。何度か上司に抗議もした。そのたびに傷ついた。いつしか、抗議をするより黙って働いた方が楽だと思うようになった。どんな環境だって、割り切ってしまえば楽なんだ、と。でもそれは違う。気づいたよ。俺が耐えた不幸は俺の後を歩く人間が辿る不幸だって。俺が耐えても意味ない。誰かが断ち切らないといけないんだって。俺は断ち切ることができず、不幸の連鎖に手を貸してしまった。本当に俺がすべきだったのは部下にサービス残業やらせる方法を考えるのではなく、部下と一緒になって上司に「××さん、話があるんですが。サービス残業は嫌です」と言うことだったんだ。もう遅いけど。
俺も部下にならって先月仕事を辞めた。最悪な待遇について諦めていたんだけど、部下が辞めた時現実に戻されて会社を辞める勇気が出たんだよ。逆に部下に助けられてしまったな。
俺はサビ残とか割に合わない仕事だったら速攻やめるからね なんでクソ企業にしがみつく理由が全く分からん そんなに自分が無能だとアピールしたいのか?
誰も雇ってくれないかもしれない現実が怖くて他の職場に行けないんだよ。かわいそうだよね。
うちの場合 上司「ここの部署は月10時間まで認めるから後よろしくー。 できるだけ残業しないで帰ってねー(笑) 残業せざるを得ない特別な事情があったら個別に請求しに来て(メカ...
環境の悪いところはどんどんやめるべきだと思う。 そうしないと改善しない。 労働基準局がもっと頑張るなら話は別だが、そうでない以上は 個人がやるしかないな。
でも衣食職住は難しいよ。だって次がないもん。 住むところだってちょっと嫌なら出て行きたいけど実際は条件の合うところを見つけるのはかなり困難で、でも野宿とかそうそうできる...
俺は小さい会社やってるんだけど、サービス残業って概念が本気でわからん。 残業したら残業代つけるよって雇用契約結んでて、上司の命令で残業してて、残業代出さないって意味わか...
日本の教育がクソすぎて、労働者側に「雇用契約」という概念を知らない人間がたくさんいるのです。
仕事で自己実現! とかそういう側面ばかり強調しすぎなんだよな。
大企業の場合は経営者は管理職処分して尻尾切できるから経営者のリスクは大したことない 中小企業の場合は従業員のほうも労働法ろくに知らないし転職可能な職場も大抵待遇変わらん...
バカだなーできねーよw 最後の賠償は結局会社がするしかないんだから尻尾切ったところでなんの意味もない。 本当に働いたことある?
ほんとにバカだよね。 訴えられたら100%負けてなおかつ懲罰で2倍支払確定なのに 前の会社で2つのうち一つは結局全部残業代2年にさかのぼってて支払ってて もう一つは訴えられて2...
1 仕事はやりがい理論 「お客様が喜ぶ顔を思えば金なんか関係なくなるよな。俺たちは金のためではなく人の幸せのために働いているんだ」 やりがいの搾取って言うんだっけ?...
昔いた会社は1分単位で残業つけれるシステムだったなあ 今リストラしまくってるけど
待遇のクソさで戦ったらクビにされた!!!! しかも「難しくて何言ってるかわからない!」とかいって理解できないって 更に「私は心が弱い」と触れ回られてる。 こういうの実名出...
残業代未払い(サービス残業)が悪である事を分かりやすく示すため 架空の事例で企業とモンスター利用者との関係に例えてみた。 見ての通り違法行為をしてはいけませんよ。 架空の...
残業するほうだから 少しでも良いものを 自腹きって サービス残業もして、 品質を上げているよ。 残業0申告 クオリティーアップ すこしでも企業に都合よく 労働者に都合が悪い用に ...
投稿主がすでに反省している通り。 部下の言っていることが正論だな。 「お前がどれほどの能力を持っているか判らない内は、給料を上げることはできないよ。そりゃそうだろ?」 ...
「身も蓋もない言い方ですが、どんな理屈をもってしても、サービス残業(賃金不払残業)を法的に正当化する余地は、1ミリたりともありません」 光永弁護士はキッパリと述べる。 http...
こんな古き良きエントリーに合わせてくれてありがとう。