2012-06-19

ギリシャ20人と話しました

今年に入ってからフェイスブックであたって、スカイプメールを通して、ギリシャ20人と話しました。実際に話した人数はもっと多かったのですが、相手の身元がはっきりしているのがそれくらいということです。

使用言語は英語、ひとりだけ1970年から1985年にかけて日本に在住していたと言う人がいたので、その人とは日本語で話しました(その人は英語よりも日本語で話す方が楽だと言っていたので)。

高校生から年金生活者まで、多岐にわたります経済学者も含まれています


私がこれを行った理由は、日本にいるとどうしてもギリシャ人に対して辛辣見方になってしまうので、もし自分ギリシャ人だったらどう感じるだろう、そこにはまた別の感じ方があるのではないかと思ったからです。


大雑把に言うと、おおむねこんな感じ方が主流でした。

自分たちは今までと同じ生活を送っていただけで、特別贅沢をしたわけではない。きちんと働いてもいる。にもかかわらず突然こういう状況になってとまどっている。これが自分たちの責任だと言われてもしっくりこない。

ユーロ加入後、融資ダイレクトメールがうるさいほどにくるようになった。金融機関はどこも「借りろ、借りろ」の大号令で、要りもしない融資を押し売りのように押し付けることもあった。その大本外国資本のはず。そういうことをしておきながら、今になって銀行犠牲者みたいに振る舞うのは釈然としない。連中は金儲けでやっていただけ。

政府は確かに腐敗し、虚偽の報告をしていたが、ギリシャは弱い統治力を外国資本に付け込まれた。政府はずっと腐敗していたのだから、今になって急に腐敗したわけではない。腐敗しているなりにそれなに回っていたものを、外国資本に介入されてこういうことになってしまった。弱いことは問題かも知れないが、こうなったそもそもの原因は政府の腐敗ではなく、外国資本の行動にある。


そういうのを聞いていて、うーん、私もギリシャ人だったらそう感じるかもしれないな、と私は思いました。日本だって膨大な借金があるわけですが、それを私個人の責任にされても困ると、思いますし。仕事もない、あっても給与は遅配している、病院はやっていない、福祉は崩壊しているというような状況の時に、「お前が悪い」と言われてもこれ以上どうしろと?となるのは無理からぬことだと思いました。

腐敗なり、税捕捉率の低さなり、問題はあるにしてもドラクマ時代ギリシャギリシャなりに安定してやっていたわけですよ。これがユーロになって、言ってみれば生態系が崩れた。

そういうことだと思います

先進国医療援助「だけ」が入ってきて、途上国人口爆発が起きて更に貧困化が生じているのを、「計画性がなく産むのが悪い」と批判しているようなものです。計画性というのは時間をかけて、生態系の中で最適が練り上げられているわけで、何かの要素だけが外部からもたらされると生態系全部が破壊されてしまう、ギリシャはそれが金融で生じたということです。

ドイツ感情も、こういう事情を踏まえて起きているわけで、ただの感情的な反発ではありません。

そのあたりをお話を伺った人のうちのひとり、経済学者男性はこう指摘しました。

ユーロ統合は、ユーロ圏内の低開発諸国産業の発展をもたらす可能性もあった。だから南欧諸国ユーロに加盟したのだが、ドイツ年金支給開始年齢を67歳に引き上げるなど、いわば社会保障ダンピングを行ってそれに対抗した。ギリシャの開始年齢61歳は現状から言えば早すぎるかも知れないが、ドイツは遅すぎる。ドイツギリシャが対抗しようとすれば開始年齢を75歳程度にしなければならず、それでは高齢者はが餓死してしまう。ドイツでは高齢者にも職があるかも知れないが、ギリシャにはない。ドイツの行動がユーロ圏全体の利益無視したものであったことは確かなことだ」

こういう事情があるからドイツ感情もあるようです。

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