個人崇拝と政治と科学技術が小さな誤りを残し密に絡み合った結果、技術や科学的視点の劣化を生み国力衰退を招く一因になっていった様が伝わる書でした。若い人たちはぜひ手にとって読んでみてほしい。
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新版 日本のルィセンコ論争 単行本 – 2017/7/19
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かつて、非科学的な遺伝学説が日本の生物学会を席捲し、科学は機能不全に陥った。
本書は日本の生物学史の暗黒期の記録であり、科学と政治の緊張関係や捏造事件
について考える時、必ず振り返られるべき書である。
ソ連の生物学者ルィセンコは、1930年代に「春化処理」によって農作物を増産できる
と主張した。この理論は実験による検証を経ないままスターリン政権に採用され、
理論に批判的な生物学者への弾圧を招き、のちに農業生産に大損害をもたらした。
日本でも同様の混乱が起きたことは語られなくなって久しい。
本書は、日本でルィセンコ理論が台頭していった過程を、当時の科学者たちの
問題意識や議論を精緻に追うことで描きだす。
日本でこの理論が紹介された当初は、新学説を科学的に検証しようという態度が
支持派反対派双方に見られたという。しかし議論は次第に思想論争へと変質していく。
ルィセンコ理論は戦後の農業改革運動が失敗するまで暴走し続けた。
近年、ルィセンコ学説の根拠とされた現象の一部は「エピジェネティクス」という
まったく異なるメカニズムで解釈できることが明らかになった。
巻頭に本書のテーマと21世紀に至る生物学史の関係を紹介する解説を付した、
初版刊行50周年記念版として本書をおくる。
[初版『ルィセンコ論争』1967年刊、〈みすずライブラリー〉版『日本のルィセンコ論争』1997年刊、
新版『日本のルィセンコ論争』米本昌平新解説]
本書は日本の生物学史の暗黒期の記録であり、科学と政治の緊張関係や捏造事件
について考える時、必ず振り返られるべき書である。
ソ連の生物学者ルィセンコは、1930年代に「春化処理」によって農作物を増産できる
と主張した。この理論は実験による検証を経ないままスターリン政権に採用され、
理論に批判的な生物学者への弾圧を招き、のちに農業生産に大損害をもたらした。
日本でも同様の混乱が起きたことは語られなくなって久しい。
本書は、日本でルィセンコ理論が台頭していった過程を、当時の科学者たちの
問題意識や議論を精緻に追うことで描きだす。
日本でこの理論が紹介された当初は、新学説を科学的に検証しようという態度が
支持派反対派双方に見られたという。しかし議論は次第に思想論争へと変質していく。
ルィセンコ理論は戦後の農業改革運動が失敗するまで暴走し続けた。
近年、ルィセンコ学説の根拠とされた現象の一部は「エピジェネティクス」という
まったく異なるメカニズムで解釈できることが明らかになった。
巻頭に本書のテーマと21世紀に至る生物学史の関係を紹介する解説を付した、
初版刊行50周年記念版として本書をおくる。
[初版『ルィセンコ論争』1967年刊、〈みすずライブラリー〉版『日本のルィセンコ論争』1997年刊、
新版『日本のルィセンコ論争』米本昌平新解説]
- 本の長さ280ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日2017/7/19
- ISBN-104622086204
- ISBN-13978-4622086208
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商品の説明
出版社からのコメント
著者について
中村禎里(なかむら・ていり) 1932年、東京に生まれる。1958年、東京都立大学理学部卒業。1967年、立正大学教養部講師。
その後、助教授、教授を経て、1995年から同大学仏教学部教授。2014年歿。
著書『生物学と社会』(みすず書房、1970)『生物学を創った人びと』(日本放送出版協会、1974)
『危機に立つ科学者』(河出書房新社、1976)『日本人の動物観』(海鳴社、1984)『狸とその世界』
(朝日新聞社、1990)『河童の日本史』(日本エディタースクール出版部、1996)ほか。
米本昌平(よねもと・しょうへい)
1946年、愛知県生まれ。科学史家。三菱化成生命科学研究所、科学技術文明研究所を経て、
現在は東京大学教養学部・客員教授。
著書『遺伝管理社会』(弘文堂、1989)[毎日出版文化賞受賞]、『地球環境問題とは何か』(岩波
新書、1994)、『知政学のすすめ』(中公叢書、1998)[吉野作造賞受賞]、『優生学と人間社会』(共著、
講談社現代新書、2000)、『バイオポリテイクス』(中公新書、2006)[科学ジャーナリスト賞受賞]、
『バイオエピステモロジー』(書籍工房早山、2015)ほか。
その後、助教授、教授を経て、1995年から同大学仏教学部教授。2014年歿。
著書『生物学と社会』(みすず書房、1970)『生物学を創った人びと』(日本放送出版協会、1974)
『危機に立つ科学者』(河出書房新社、1976)『日本人の動物観』(海鳴社、1984)『狸とその世界』
(朝日新聞社、1990)『河童の日本史』(日本エディタースクール出版部、1996)ほか。
米本昌平(よねもと・しょうへい)
1946年、愛知県生まれ。科学史家。三菱化成生命科学研究所、科学技術文明研究所を経て、
現在は東京大学教養学部・客員教授。
著書『遺伝管理社会』(弘文堂、1989)[毎日出版文化賞受賞]、『地球環境問題とは何か』(岩波
新書、1994)、『知政学のすすめ』(中公叢書、1998)[吉野作造賞受賞]、『優生学と人間社会』(共著、
講談社現代新書、2000)、『バイオポリテイクス』(中公新書、2006)[科学ジャーナリスト賞受賞]、
『バイオエピステモロジー』(書籍工房早山、2015)ほか。
登録情報
- 出版社 : みすず書房 (2017/7/19)
- 発売日 : 2017/7/19
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 280ページ
- ISBN-10 : 4622086204
- ISBN-13 : 978-4622086208
- Amazon 売れ筋ランキング: - 610,846位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 59,855位科学・テクノロジー (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4.8つ
5つのうち4.8つ
5グローバルレーティング
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星5つ82%18%0%0%0%82%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星4つ82%18%0%0%0%18%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星3つ82%18%0%0%0%0%
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評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
上位レビュー、対象国: 日本
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- 2019年10月13日に日本でレビュー済みさて、ルイセンコとは懐かしい名前。大昔、メンデルとルイセンコという児童向けの立派な装丁の本を貰ったことあり。メンデルの法則を打ち破ったルイセンコという1955年頃の本。小学校低中学年向きの本。
ところが、ルイセンコは今ではペテン師扱いですね。旧ソ連で猛威を振るった学者、フルシチョフはルイセンコ説を信じて農業開発。しかし無残な結果。日本の科学界では、ルイセンコ説が主流の時代あり。
この本はその潮流を批判のようですね。っルイセンコ騒動となれば、STAP説を思い出しますね。
科学の衣があれば人はなんと信じやすいものか。
その児童書の半分には人工衛星の打ち上げの評価あり。多段式で巨大なロケットとなるもの。まだスプートニクの
打ち上げ前でしたが、概ね正しい評価でした。
ルイセンコの名前を聞いたのは1960年代まででした。その後は全く忘却の彼方でしたが、この本により往時をおもいだしました。有り難うございます。
- 2020年11月22日に日本でレビュー済み新装版にある米本昌平氏の解説がわかりやすい。エピジェネティックの時代になって、形を変えたルイセンコ学説が復活してくる可能性もあると。
本書の初版は、1960年代に出版され、当時は影響力を持っていた論客を実名で論評している点に敬意を表します。が、19世紀ではなく20世紀の日本(だけじゃなく世界)で、こんなことがあったなんて・・・と思ってしまう。本書には書かれていませんが、バナールもルイセンコ派についてしまって、しかもそれを撤回しなかった。ソ連への憧憬があったのでしょうか?
逆に、今ではすぐに”ネオ”ルイセンコのレッテルを張りたがる人もいる。後遺症も大きい暗黒史ですが、反省のために読んでみました。