江口大和さん(元弁護士)が横浜地検特別刑事部から犯人隠避教唆の疑いをかけられ、逮捕されたのが平成30年10月15日。
彼はそれまでの任意の検事取調べにおいて被疑事実を否認していた。
そして、逮捕直後の弁解録取において彼は黙秘権の行使を宣言した。
日本国憲法第38条1項
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
ところがそこから約21日間、合計約56時間、一言も話さない江口さんに対して、横浜地検特別刑事部の検察官(そのうちのほとんどは川村政史検事)は取調べと称して「僕ちゃん」、「お子ちゃま」、「ガキ」呼ばわりし、「うっとうしい」、「どうやったらこんな弁護士ができあがるんだ」、「嘘を付きやすい体質」、「詐欺師的な類型の人に片足突っ込んでる」などと言ったり、江口さんの弁護人の活動を侮辱したりする発言をし続けた。
それでも江口さんは決して口を開くことはなく、耐え抜いた。
このような検察官の取調べは、憲法が保障する黙秘権を侵害するものであり、また江口さんの人格権を侵害するものであるとして国家賠償請求訴訟を提起しています。
そして今日、江口さんの原告本人尋問が行われ、法廷において取調べ録音録画映像の一部が上映され、江口さんが質問に答えました。
今回、私たち弁護団は、法廷で上映された動画について一人でも多くの方に見ていただくために公開することにしました。
なお、この動画は、国家賠償請求訴訟において国から証拠(民事訴訟の乙号証)として提出されたもののうち、その一部を抜粋したもの(法廷で上映したものと同じもの)です。
被疑者という立場になったら検事から何を言われてもサンドバックになって耐えなければならないのか。そんなはずはありません。
憲法が黙秘権を保障している意味は何なのか。検事からの罵詈雑言にひたすら耐えることは、憲法が黙秘権を保障していなくともできることです。
江口さんは今回22日間耐え抜きました。だから黙秘権は侵害されなかったと言えるのでしょうか。違います、彼の黙秘権は侵害されているのです。
憲法が黙秘権を保障していることの意味は、権利を行使する人に対して捜査官は取調べと称してこのような罵詈雑言を浴びせることが許されないということではないのか。
私たちはこの裁判で黙秘権の意味を正面から問うています。