ジャスト日本です。
「人間は考える葦(あし)である」
これは17世紀 フランスの哲学者・パスカルが遺した言葉です。 人間は、大きな宇宙から見たら1本の葦のようにか細く、少しの風にも簡単になびく弱いものですが、ただそれは「思考する」ことが出来る存在であり、偉大であるということを意味した言葉です。
プロレスについて考える葦は、葦の数だけ多種多様にタイプが違うもの。考える葦であるプロレス好きの皆さんがクロストークする場を私は立ち上げました。
さまざまなジャンルで活躍するプロレスを愛するゲストが集まり言葉のキャッチボールを展開し、それぞれ違う人生を歩んできた者たちがプロレス論とプロレスへの想いを熱く語る対談…それが「プロレス人間交差点」です。
今回はNPO法人九州プロレスの筑前りょう太理事長とプロレス団体GLEATを運営するリデットエンターテインメントの鈴木裕之社長の経営者対談が実現しました。団体経営、選手育成、業界の未来といったテーマで有意義な内容となりました。
筑前りょう太
・NPO法人 九州プロレス 理事長・プロレスラー
・一般社団法人 日本プロレスリング連盟業務執行理事
・初代 九州プロレス選手権王者
185 cm 100kg
タイトル歴/2003ストロンゲストーKチャンピオン
・ストロンゲストーKタッグチャンピオン
・UWA世界タッグチャンピオン
・九州プロレスタッグチャンピオン
1973年福岡県志免町出身。小学3年生の時に見たタイガーマスクがきっかけでプロレスにのめり込む。 1997年春に九州産業大学を卒業後、単身メキシコに渡り1998年1月、現地でミル・マスカラスを相手にデビュー。3年間の修行後、帰国しKAIENTAI-DOJOの所属選手となり、新日本プロレス等でも活躍。 2008年に帰郷し九州をプロレスで元気にするため「NPO法人 九州プロレス」を設立し活動をスタートさせる。中高生の不登校児に「プロレス授業」を毎週開講し青少年健全育成に尽力する。また福祉施設への訪問活動も活発に行い幅広く 元気を発信している。 2013年、鹿児島で“野獣”ボブ・サップと初対決し敗北を喫するも、翌2014年8月に再戦を行い、見事勝利を収めた。 2025年に法人化されたプロレス界初の業界団体「日本プロレスリング連盟」では要職に就任し、プロレス界全体の発展に尽力する。家庭では四児の父親
九州プロレス紹介VTR
https://youtu.be/FpmOL6O-Ec4
鈴木裕之
リデットエンターテインメント代表取締役社長
1989年 3月 私立自由の森学園高等学校卒業
1992年 12月 英国留学
1994年 6月 英国より帰国
2002年 9月 有限会社エス・ピー広告入社
2009年 6月 代表取締役に就任
2018年 10月 リデットエンターテインメント株式会社に社名変更
2025年 8月 現在に至る
(画像は本人提供です)
GLEATの2025年
最大となるビッグマッチ
GLEAT
VER.MEGA in 横浜BUNTAI
11月3日(月祝)17:00試合開始
横浜BUNTAI
ローソンチケット、ぴあ、イープラス
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九州プロレスとGLEATは、地域密着とベンチャー精神という異なるアプローチで、プロレス界に新たな価値を生み出しています。家族連れを入り口に地域を盛り上げる九州プロレスは、NPO法人としての使命を貫き、プロレスの魅力を幅広く伝えています。一方、エンタメ業界全体に挑むGLEATは、商業的視点で新たなファン層の開拓を目指しています。選手育成、今後の展望を通じて、両団体の首脳によるプロレス文化を次世代につなぐための戦略が語られました。そして業界の未来はどのような形が理想なのか⁈ この対談は、プロレスの可能性を広げる挑戦の核心に迫ります。
皆さん、是非ご覧下さい!
「プロレス人間交差点 筑前りょう太☓鈴木裕之〜九州プロレスとGLEATの挑戦〜」前編「独自戦略」
プロレス人間交差点 筑前りょう太✕鈴木裕之〜九州プロレスとGLEATの挑戦〜
後編「業界の未来」
それぞれの団体が目指すファンづくりの方向性
── ファン層の獲得について、九州プロレスのターゲットはどのような層ですか? また、具体的な取り組みは?
筑前理事長 九州プロレスは、家族連れや子供たちを主なターゲットとしています。プロレスに詳しくない人でも楽しめる「入り口」になりたいという思いがあります。プロレスの魅力を知ってもらい、他の団体にも興味を持ってもらえれば理想的です。
──プロレスの入り口を目指しているんですね!
筑前理事長 はい。最近はストーリー性のある試合展開を通じて、幅広い層にアピールしています。例えば、子供が中学生になるとプロレスから離れてしまう傾向があるため、ストーリー性を強化することで、成長してもプロレスに興味を持ち続けられるようにしたいと考えています。無料観戦イベントも、初心者が気軽にプロレスに触れる機会として重要です。
── GLEATのファン層についてはいかがですか? ターゲット層や具体的な施策は?
鈴木社長 GLEATは、将来的にメジャー団体のような、家族連れや3世代で楽しめるプロレスを目指しています。YouTubeの視聴データを見ると、45~60代のファンが多いですが、会場には若年層も来ています。
──やはり高年齢層が多いが、もっと若年層を取り込んでいきたいところですね。
鈴木社長 若いファン層を取り込むのは難しいですが、段階を経て家族連れを意識した施策で、親子や3世代で楽しめる団体を目指したい。世代を超えて愛されるエンターテインメントが理想です。具体的には、試合のエンターテインメント性を高めるだけでなく、イベント全体で家族が楽しめる雰囲気を創りだしていくことと考えます。長く続くエンターテインメントは、家族でつながっていくものだと考えています。
──ありがとうございます!ではプロレス文化を広めるための戦略や、気をつけていることはありますか?
筑前理事長 わかりやすさを最優先にしています。力道山やタイガーマスクのような、誰が見ても引き込まれる試合展開がプロレスの強みです。マニアックになりすぎず、初心者にも楽しめるバランスを意識していますが、その塩梅は難しいです。
──確かにそうですよね。
筑前理事長 退屈にならないよう、常に試合内容や演出のバランスを考え、プロレスの魅力を最大限に引き出す運営を心がけています。地域密着のイベントでは、地元の文化や特色を取り入れることで、プロレスを身近に感じてもらう工夫もしています。
鈴木社長 九州プロレスさんは無料観戦が多く、気軽に楽しめる環境が強みだと思います。一方、GLEATは有料観戦が基本で、チケット購入のハードルが高い分、独自性をどう打ち出すかが課題です。
──独自色の出し方はなかなか難しい課題ですね。
鈴木社長 GLEATでは他団体との差別化として、UWFや格闘技要素を取り入れたプロレスを提供していますが、プロレス主体である以上、さらなる特徴付けが必要です。九州プロレスさんの地域密着の独自性は、業界でも唯一無二だと感じてますよ!
筑前理事長 ありがとうございます!そういっていただき嬉しいです。
鈴木社長 だから現在のGLEATとしては、エンタメ業界全体での競争を意識し、プロレスファン以外にも訴求するコンテンツ作りを目指しています。
多様なルーツを活かした育成と運営
── 団体運営で大切にしていることは何ですか? 選手やスタッフとの関係性についても教えてください。
筑前理事長 九州プロレスは、選手それぞれのルーツが異なるため、九州を元気にするという目的のもと、理念を共有することを最重視しています。UWFスタイル、ルチャリブレ、さまざまなインディー団体など多様な背景を持つ選手が集まる中、互いの個性を尊重しつつ、団体の目的に沿って調整しています。
──九州プロレスの選手たちは色々な団体から集まってきてますよね。
筑前理事長 そうなんですよ。多様な背景を持つ選手たちが集まってきたからこそ、「プロレスを通じて九州を元気にする」という目的が明確だからこそ、選手やスタッフの多様な意見やスタイルが自然と一つにまとまっていきます。スタッフにはプロレス以外の業界出身者も多く、彼らの視点が新しいアイデアを生み、団体の運営に深みを加えています。
── 九州プロレスの選手育成は、どのような指導スタイルですか?
筑前理事長 各選手のルーツを活かし、日替わりで指導してもらっています。UWF、ルチャ、日本プロレスなど多様なスタイルが混在し、若手選手は良いところを吸収してオールマイティーに育っています。
──九州プロレスの若手選手はひとつの団体にいながら色々なスタイルを学べているんですね。
筑前理事長 この多様性が団体の強みであり、選手はさまざまなスタイルを学び、リング上で柔軟に対応できる力を身につけています。例えば、UWF出身の選手からは関節技やグラウンドの技術を、ルチャ出身の選手からはアクロバティックな動きを学ぶことで、若手選手の成長が加速しています。
──ありがとうございます。GLEATの運営や選手育成で大切にしていることは?
鈴木社長 GLEATも多様なルーツを持つ選手が集まる団体ですが、理念を統一し、お客様を喜ばせることを第一に考えています。
──GLEATも九州プロレス同様にさまざまなスタイルを持つ選手たちが集まっていますね。
鈴木社長 そうですね。GLEATでは過去に各団体の出身者による主張のぶつかり合いがありましたが、今年は所属選手主体でGLEATのリングを創造する方針にシフトしました。私は全社の経営に専念し、GLEATは選手と社員に任せています。
──ちなみにGLEATには道場はあるんですか?
鈴木社長 道場がありません。そのため、週1~2回の合同練習を外部施設で実施しています。自前の道場設立は計画中ですが、コロナ禍での旗揚げもあり、資金面で慎重に進めています。スタッフとの連携では、広告事業のノウハウを活かし、プロモーションやファンエンゲージメントを強化しています。
会場規模がもたらす影響
── 会場規模の選択について、どのように考えていますか? また、選手への影響は?
鈴木社長 大きな会場では集客が難しい場合があり、5000人規模で1000~2000人しか入らないこともあります。一方、小さな会場でも集客が減るリスクがあるため、身の丈に合った会場選びを意識しています。後楽園ホールの大会を減らし、新宿フェイスなど新たな会場を活用することで、コストと集客のバランスを取っています。
──確かに言われてみるとGLEATは今年に入ってから後楽園大会は減りましたね。
鈴木社長 はい。大きな会場に挑戦しないと集客は増えませんが、失敗のリスクも高いため、戦略的な会場選びが重要です。選手にとっては、会場規模がモチベーションに影響し、大きな舞台で戦うことで新たな力を発揮する機会にもなります。
筑前理事長 会場規模は選手のモチベーションに大きく影響します。福岡国際センターのような大きな会場での大会は、選手の意気込みも高まります。
──確かにそうですね。
筑前理事長 多くの人にプロレスを見てもらいたいという思いがあり、会場サイズが団体の規模感を反映し、選手のモチベーションにも直結します。地域密着のイベントでは、地元の小さな会場で親しみやすさを重視しつつ、大きな会場ではプロレスのスケール感を伝えたいと考えています。
プロレス業界の信頼と発展のために
── 筑前理事長は一般社団法人日本プロレスリング連盟(UJPW)の業務執行理事を務めていますが、その経緯と目的について教えてください。
筑前理事長 もうずっとプロレス業界全体の連携の必要性を感じていました。個々の団体が強くなるだけではなく、業界全体としてプロレス文化を高め、信頼される一文化・産業にする必要があると考えていました。
──以前から筑前理事長はプロレス界にはもっと連携性が必要とお考えだったんですね。
筑前理事長 そうなんですよ。新日本プロレスの木谷高明オーナーが連盟設立を提案した際、これは大きなチャンスだと捉え、積極的に関与しました。SNSやメールを通じてアイデアを伝え合い、現在の形に至りました。各団体がしのぎを削りつつ、全体でプロレス文化を高める取り組みが必要です。業界全体が成長することで、プロレスの価値がさらに広く認められると信じています。
──鈴木社長は日本プロレスリング連盟への参加についてどう考えていますか?
鈴木社長 GLEATはまだ連盟に加入していません。加入条件は公開されていますが、現時点では申請していない状況です。今後、加入を検討する可能性はありますが、まずは自団体としての基盤を固めることが優先です。連盟の取り組みは業界全体の向上に繋がるため、尊敬していますし、将来的に協力できる機会があれば積極的に考えたいです。
──ありがとうございます。プロレス界の未来について、どのようなビジョンをお持ちですか?
筑前理事長 プロレスを産業文化として確立し、子供たちにもその価値を知ってもらいたいです。自治体や行政との連携を通じてプロレスが社会的な信用を得る事で、各団体の選手やフロントの頑張りがもっと世の中に届く状況を創れます。そうする事で、この国や世界における一文化としての存在感を増していきたいと思っています。
──素晴らしいです!
筑前理事長 NPO法人としての活動が、その一助になると考えています。プロレスが地域社会に貢献し、信頼される存在になることで、業界全体の地位が向上すると信じています。
鈴木社長 最近のプロレス界では怪我の増加が課題であり、プロレスラーのライセンス制度の必要性を考えます。団体ごとの基準設定が現実的で、選手の安全を守るガイドラインが求められます。
──同感です。是非とも実現していただきたいです。
鈴木社長 以前、長州力さんが「今のプロレスはオープンキッチンですね。すべて見えている。選手全員がシェフで、料理を作るところからすべてが見えている」と言われたことがありましたが、今はその意味がよくわかります。プロレスの存在意義を明確にし、ファンに安心感を提供したい。怪我からの復帰がプロレスの見せ場になる一方、ガイドラインがあれば選手を守りやすくなり、業界全体の信頼性が高まります。
九州プロレスとGLEAT 注目選手と大胆な挑戦
── 九州プロレスで注目している選手は?
筑前理事長 新潟プロレス出身のシマ重野選手ですね。52歳になってこれまでやってきたことをリセットして九州プロレスに来たんですけど、生き様を見せつけてほしいなと思っています。彼の人生経験と情熱に期待しています。あと台湾出身のジェット・ウィー選手。今、九州が台湾の企業や人の流入が盛んなんですよ。だから彼には日本と台湾の架け橋として、国際的な活躍を期待しています。佐々木日田丸選手は、UWFスタイルへの強いこだわりを持ち、現代プロレスでも結果を出してほしいです。
──日田丸選手は自身のプロデュースUWFルール興行『STARLANE』2021年9月6日、福岡・西鉄ホール大会での中村大介戦がめちゃくちゃ面白かったんですよ。
筑前理事長 ありがとうございます!
鈴木社長 田村潔司エグゼクティブディレクターが考えているUは実は日田丸選手がやっている『STARLANE』で、U-FILE CAMP(田村潔司がUWF、UWFインターナショナル、リングスといったリングでプロ格闘技選手としての活動で培った技術を集約した格闘技ジム)で育った選手たちが参戦してましたし、LIDET UWFより田村潔司イズムが根強いと思います。
──確かにそうですね!
筑前理事長 日田丸選手はいまでも田村潔司との試合を夢見て頑張ってますよ。
──2022年8月12日の九州プロレス・福岡アイランドシティフォーラム大会でUWFルール・佐々木日田丸(STARLANES) VS 田中稔(LIDET UWF) が実現しましたが、またいずれ日田丸選手のSTARLANE軍団とLIDET UWFの全面対抗戦とかあったら面白そうですね。それから2023年に元WWEのスーパースターであるTAJIRI選手が九州プロレスに入団されましたが、彼の存在は大きいんじゃないですか。
筑前理事長 TAJIRI選手は、リング内外でスーパースターとしての影響力を発揮しています。常に「自分らしくあること」を考えて行動や言動を実践している姿はみんなのお手本になってますよね。さまざまな団体を経験してきた彼ですが、入団後は驚くほどのリーダーシップとお手本となる姿勢を見せ、団体の注目度を大きく高めてくれています。
──九州プロレスにTAJIRI選手が入団してから注目度が上がりましたよね。
筑前理事長 そうですね。TAJIRI選手の存在は、若手選手にとっても大きな刺激となり、九州プロレスの魅力をさらに引き上げています。
──ありがとうございます。では鈴木社長、GLEATの注目選手をお聞かせください。
鈴木社長 2025年は選手たちにリングを託していく中で、上半期は石田凱士選手がチャンピオンとして団体を牽引してくれました。中嶋勝彦選手が2大タイトルを戴冠した今、下半期はどうなるのか私には想定できないですね。CIMA選手、田中稔選手や鈴木鼓太郎選手は一歩引きながらも存在感を示し、安定したパフォーマンスでファンを魅了していますし、20代~30代の選手たちが彼らに負けない存在感を出してGLEATを引っ張っていくのか注目していると言うよりも切なる願いです。
──海千山千のベテランも生きのいい20代から30代が多く在籍しているのがGLEATの素晴らしさですね。
鈴木社長 中国出身の俊桀選手にも期待しています。彼はCIMA選手に対するリスペクトが強くて、中国国内のプロレスラーの中でもポジションが高いと感じます。実際に中国の団体にGLEATの選手を派遣するという話もあがってきています。今後、俊桀選手を起点にして中国マーケットを開拓していくという道が見えてくるかもしれません。
──そうなんですね!
鈴木社長 これは新日本プロレスの木谷オーナーもおっしゃっておりましたが、中国市場はWWEさんでも成功していないほど難易度が高いです。でも今、中国にどんどんプロレス団体が旗揚げされていって活性化されているので、そこにGLEATが食い込めたらいいなと考えています。
──GLEATといえば、2024年から中嶋勝彦選手が参戦してますよね。現在(2025年8月5日時点)はG-REX王座&LIDET UWF世界王座の二冠王ですが、中嶋選手の存在はどのように捉えてますか。
鈴木社長 中嶋勝彦選手はGLEATに混沌と混乱を生んでくれますね。2024年までのGLEATは選手が一致団結、一蓮托生で盛り上げるところが強みでしたが、彼が参戦してから、一気に「VS中嶋勝彦」という対立構図ができて試合のクオリティーが高まりました。中嶋選手は一級品のプロレスラーなのでGLEATにとって良い効果を及ぼしています。とにかく色々な意味で安心して見てられないですね。
──中嶋選手はどう動くのか読めないですよね。
鈴木社長 そうです。以前、「黒幕」という話もありましたけど結局は中嶋選手の考えがすべて。誰かの意図が働いているわけではなく。「GLEATに闘いがない」と言って、うちのリングに闘いを注入してくれていますけど、「闘いはリング上だけではなく全方位」と痛感しています。
──リデットエンターテインメントがオーナー時代のノアでの中嶋選手とはコミュニケーションは取られていたのですか?
鈴木社長 実はあの頃、1年間で中嶋選手とはトータルして1分くらいしか話していません。お互いに警戒し合ったのか、あまり近づかないようにしていました。でもGLEATに上がってから「こんなに喋る人なのか」と驚きました。ノアを辞めてからフリーになって色々とアクションしていますが、あれは本人の意思で好きにやっているのですから。
──そうなんですね!!
鈴木社長 どこまで中嶋選手がGLEATにいるのかは不明ですけど、彼が仕掛けるリング内外での全方位の戦いは、GLEATに新たなエネルギーを注入してくれていて、良くも悪くも活性化しています。
── 今後の仕掛けや展望について教えてください。
筑前理事長 2028年の20周年で福岡ドーム大会を目指しています。収容人数3~4万人規模の大勝負ですが、この3年間で成長し、プロレス団体として初の快挙を実現したいです。この目標は、九州プロレスの集大成として、プロレスの可能性を広く示す機会になると考えています。準備には時間が必要ですが、地域の支援とファンの期待に応えられるよう、全力で取り組んでいきます。
鈴木社長 GLEATは、所属選手で地盤を固めつつ、外部との交流を強化します。今年は8月16~17日にZOZOマリンスタジアム&幕張メッセで開催される「SUMMER SONIC 2025」でGLEATの提供試合が行われます。サマソニでの試合はプロレスファン以外にも魅力を届ける挑戦です。エンタメ業界の一員として、集客拡大を目指し、業界初の試みを通じて新たなファン層を開拓したい。プロレスをエンターテインメントのメインストリームに押し上げるため、斬新な企画を続けていきます。
── 対談を振り返っていかがでしたか?
筑前理事長 鈴木社長と話すのは光栄でした。プロレス界の発展につながる議論ができ、夢のような時間でした。異なるアプローチを持つ団体同士が、業界全体の未来を考える機会は貴重です。こうした対話が、プロレスの新たな可能性を開く一歩になると信じています。
鈴木社長 筑前理事長は業界の良心です。連盟での取り組みが業界を高め、GLEATもその理想に追随したい。プロレスの歴史を尊重しつつ、共に発展を目指したい。プロレスは創造と破壊が同時に進む業界ですが、理事長の熱量に学ばせてもらいました。異なる視点のぶつかり合いが、業界をさらに強くすると感じました。
筑前理事長 鈴木社長のような企業経営者がプロレスに関わるのは、業界にとって非常に貴重です。プロレスの50年にわたる独立経営の歴史を尊重し、時間をかけて協調しながら発展させたい。焦らず怠らず、着実に進めていければと思います。
── 本日はありがとうございました。今後、両団体の交流や発展に大きな期待を寄せています。
筑前理事長 ありがとうございました。
鈴木社長 ありがとうございました。
【編集後記】
九州プロレスとGLEAT、異なる背景を持つ両団体のトップが交差する本対談は、プロレス界の多様性と可能性を鮮明に示しました。筑前理事長の地域密着と情熱、鈴木社長の商業的視点と革新性が、プロレスの未来をどう切り開くのか。無料観戦で間口を広げる九州プロレスと、エンタメ業界に挑むGLEATの挑戦は、競争を超えた協調の重要性を訴え、プロレスが新たなファン層や文化として広がる可能性を示しています。両者の対話は、プロレス業界全体への力強いメッセージとなり、今後の展開に大きな期待を抱かせます。プロレスが地域やエンタメ業界で新たな価値を生み出す未来が、すぐそこに見えるかもしれません。
(プロレス人間交差点 筑前りょう太✕鈴木裕之・完)