第九回萌理賞・選考結果発表
開催場所
- 開催
- 人力検索はてな - 第九回萌理賞(開催場所)
- イラスト展示
- 「萌理学園」設定
結果発表 - 小説部門
萌理賞(200pt)
- 「世界ガール」
「平行世界」でセカイ系的世界観を出しちゃうし、どういう物語なのか曖昧なまま、美味しいイメージだけ持ってく感じもしますが…しかしですね、これは萌理学園の設定に一応あって*1、学園のどこか(いつか)に、こういう世界があると示すと、想像が広がる余地があります。
しかも、言葉の感覚が詩的で素晴らしいんです*2。「意地汚い夢」「永遠とは停滞と逃避と思い出の中にしかない」といった後悔と韜晦のスタイルに、美少女ノベルゲームの影響をそこはかとなく感じます。
「桜吹雪」と言えば済むところを、「桃色の吹雪」といい、「息をする事もままならない」と本物の吹雪のように誇張し、それが「溜息が出るほどの」と矛盾を孕んでいます。「遠心力」で空中分解しそうな際どいバランスでありながら、一つの文章にまとめています。つまり、春のように華やかなのです。
萌賞(50pt)
- 「望月さんが僕の肩を撫でた。嫌な感じがした。」
「抱擁症候群」も「萌え」的に魅力なので、どちらにするか迷ったのですが、「抱擁〜」の魅力は設定にあるんですね。だから原作部門に出してもいい感じなんです。つまり「俺」が「梓」のことをあれこれ語っているんです。対して「望月さん〜」は、「僕」と「望月さん」と「チョコをくれた女の子」の関係を描いている点で、小説になっています。
あるいは、「抱擁〜」は話としてまとまっていますが、予定調和とは言わないまでも、途中の時点でバッド(ハッピー?)エンド確定で選択肢がなさそうな感じなんですね。「望月さん〜」は望月さんを選ばない選択肢も常にチラついているために、主人公をそそのかす「誘惑」になっており、だからスリリングでエロいわけです。「梓」は待っているだけなので、ツンデレ(ヤンデレ)はありますが、この誘惑のエロスがないのです。
ちなみに、「無題(彼女たちの緊張〜)」は、彼女を見ているだけの話なので、ナンパしたところから初めて欲しいという気がします。入学式が終わって校舎に向かう途中、遠くに桜並木が見えて…とか、絵になる書き方はできると思いますし、生徒会長とすれ違ってもいいわけです。それで、西条が主役みたいな話になっているんですけど、たぶん、主人公と西条の彼女が焦点なんじゃないかと思うんですよ。
理賞(50pt)
- 「桜花チルアウト」
これも「緋徒花」が整然とした文章で「理」を感じたので、どちらにするか迷いました。率直に言うと、文章の完成度は「緋徒花」の方が高いと思います。「桜花」は、「精神は一種の昂揚に、滂沱の涙を流している」といった堅い地の文章と、「ひぐっ」「うん」「なら」「んふ」といった幼い感じの会話がチグハグに乖離している気がします。難しい言葉を使えば良いというわけではなくて、全体を見る必要があります。
しかし…「妖精」とか、短編なのにポンポン設定を出してしまうところが、「萌理学園」というシェアワールドを豊かにしていると思うんですね。萌理賞を何回もやっていて、「実は死んでいた」「実は殺していた」系のオチが結構多くて、あまりインパクトを感じなくなってきました。それに、桜→死体という連想より、桜→妖精という連想の方が、単純に萌える、可能性を感じます。
ちなみに、「若草萌ゆる前に」との違いは、見た目ではなくて、精神的に変身するところですね。これがもしイラストだと違ってくるかもしれませんが、やはり文章だと目に見えないもの(「精神」とか「関係」とか)を描く、という部分は重要になっています。あと、「ミス萌理」とか魅力的なんですが、これもやはり設定部門に出してよさそうな感じなんですね。
結果発表 - 原作部門
大賞(100pt)
- 「萌理学園校歌」
ちょっと設定の選考で人物が不利な気もしているんですが、校歌で学年の違いが分かるというのは、プロレスの入場曲みたいな感じで、面白いんじゃないかという感じがします。「ヘンリエッタ・リリ・篠塚」は、イラストが欲しいし、物語も欲しい、と思ってしまいます。じゃあどうすればいいかというと…。
あだ名を聞いても姿がイメージできないんですね。でも髪型と、格闘技の種類が、あればイメージできます。例えば、「おかっぱ」「合気道」、「縦ロール」「フェンシング」、「アフロ」「カポエイラ」とか。もう少しひねると、長いポニーテールで首を締め上げるとか、リボンにジェットがついていて頭突きするとか、アホ毛が鋭い刃のように相手を切り刻むとか…。
別に髪で遊ばなくてもいいんですが、単語二つだけでも結構想像できるということです。「リリ」はキックが強烈ということで、例えば柄のパンストを履いていて、そのプリントした絵柄が残像に残る、とか、髪の毛がツインテールなら蹴りの瞬間螺旋状になる、みたいに具体的に書いた方が、読者が想像しやすいと思います。
参加賞(10pt)
残りの参加者全員
結果発表 - イラスト部門
大賞(1000pt)
やはり人物が二人いるので、想像が広がるのと、階段の向こうから光が溢れる桜並木、というのが良いイメージを構成しています。例えば二人の未来、とかそういうものを暗示している感じですよね。その点「無題(下校時の一コマ)」は、割と普通の道路と桜なのと、人物が画面に対してやや小さい気がしました。
「卒業」は、今までの投稿作がわりと大人しい作品だったので、かなり萌えたのですが、基本的に描き文字はあまり高く評価しないことにしています。イラストで見せる部分が基本になるでしょう。バナーにしたときによく分からないですし。でもこのあとバイクで走り出す(あるいは乗れなくてチャリンコで帰る)ところを想像させるのは単純に楽しいです。
というわけで、萌えマガのバナーは「桜」になります。…といってもバナーの画像を作る時間を何とかして取らないのと、四月の萌理賞が始まってしまいますし…。これは二月分もあるので大変遅れていて、申し訳ないところです。
次回予告
文章とイラストを一本化して、随分こぢんまりした感じになりました。「萌理学園」の枠を外した方が以前みたいに投稿が集まるんじゃないかとも思うんですが、短編なんだけどみんなが少しずつ世界観を作っていくことに、将来的な可能性はあると感じています。今「東方」みたいな感じで、いつか動画で色々なキャラが見られたらいいなと思います。参加者の方も読者の方々もお疲れ様でした。次回をお楽しみに。
お知らせ
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