ブログの方では毎度お久しぶりのあでのいです。
さてここ数日、今をときめく大人気バーチャルyoutuberのキズナアイさんがNHKのノーベル賞解説番組特設サイトにて出演なさった事に対し、とある社会学者教授さんが盛大に噛みつき、それが火種となってネットの片隅を揺るがす大論争が巻き起こっているのは、皆さんもご存知の通りと思われます。
批判論点については当の教授先生がいろいろウネウネ話を捏ねている訳で、まあ詳しくは当人のweb記事を読んでもらうとして、個人的にはその中の
「女性は理系が苦手という偏見が社会にある中、それを追認するように先生役に男性、聞き手役に女性を配置させる事がジェンダーギャップ問題への意識に欠ける」
って辺りの話がちょっと気になりまして、こうして筆をとった次第。
というのも私不肖あでのい、ここ10数年くらい理系科目の高校〜大学生向け「漫画で学ぶ◯◯」系漫画にはできるだけ目を通すようにしてるので、サブカル界隈の「教師役」「生徒役」のキャラ割り当てについては割と一家言あるのです。
という訳で本記事では、ここ10年くらいの「漫画で学ぶ◯◯」系漫画において、先生役生徒役にどんなキャラクターが配置されてきたかについて紹介してってみようかなと思います。まあ「紹介してどうすんの?」という話ではあるんですが、ぶっちゃけ件の論争についてはまともに参戦するのも面倒臭いというのが正直な所でして、本記事ではあくまで実例の提示だけにとどめて、そっから何を見出すかは読者に委ねようと思います。
という訳で興味ある方は読んでって頂けると幸いです。
はじめに – 近年の学習漫画の変化について
まずは少し前置きというか、近年の学習漫画の変化について少し触れておこうと思う。本題だけ知りたいという人は、下の実例紹介の下りまで飛んでもらって問題無い。
私が理系の学習漫画に積極的に手を出し始めたのは2000年代の半ば、当時17,8歳頃で科学の道を志すようになったのが原因だ。最初は単純に「初心者向けで分かりやすいし」という極めて真っ当な理由で読み始めたのだが、元来の漫画好き評論好きと相混じって「学習漫画」という形態そのものに興味を持つようになり、以来10数年、そこまで積極的に収集しているという訳ではないが、理系科目の「漫画で分かる」「漫画で学ぶ」と冠された学習漫画は見かけたらなるだけ目を通すようにしている(ここ数年はちょっとサボり気味だが)。
学習漫画の古くからの詳細な歴史について熟知している訳ではないが、そもそも理系の専門的な分野の学習漫画自体は、2000年以前にはほぼほぼ存在していなかった。学習漫画と言えば伝記や歴史を中心にした小学生向けのものがほとんどであり、年齢層の高めな書籍も趣味や健康などをテーマにした内容が支配的だった。
それが2000年以降、特に半ば頃から「漫画で学ぶ」系の書籍が爆発的に増加した。大阪市立図書館ホームページの蔵書検索で「マンガでわかる」で調べてみると(この表記方法が最も検索結果が多く出力される)、1990年から2004年までが120件、2005年から2018年までが728件と、6倍以上の増加を見せていることが分かる。検索結果もチラッと見るだけでも、専門的な理系分野をテーマとしたものが大幅に増えていることが分かるのではないだろうか。
(なぜ大阪市立図書館かは単にウェブブラウザのブックマークに入れていたからである)
さらに加えて言えば、タイトルに「漫画」と記載していながらも、実際には本当に漫画形式になっている訳でもなく、単にキャラクターイラストが多く描かれているだけ、という書籍もかなり含まれる。一例として以下に2000年に講談社ブルーバックスから出版された「マンガ量子論入門」を挙げる。
マンガ量子論入門―だれでもわかる現代物理 (ブルーバックス)
- 作者: ヨセフ・マッケヴォイ,オスカー・サラーティ,治部眞里
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/07/19
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この書籍が出版された2000年には既にこういった形式の本を「漫画」と呼ぶのはかなりマイノリティであったし、そもそも漫画文化に差異のあるイギリスで出版された書籍の邦訳なので、この本を例に挙げるのは少々アンフェアであるが、こうした形式の本にも実際90年代以前は「漫画」とタイトルに表記されていたりしたのだ。
さて、この学習漫画の爆発的増加の背景には当然「漫画」というジャンル自体の地位向上が大きいが、中でも所謂「萌えブーム」を影響は非常に強く、ゼロ年代中盤以前以降とでは学習漫画のイラストの雰囲気は全く異なるものとなっていると言って良い。90年代以前の作品の多くは(無論例外もあるが)、概ね流行の漫画文化とは離れた個性薄めの絵柄だった(70年代あたりの非劇画調の漫画絵、例えばドラえもんや009のような、と言うと語弊も若干あるが、まあそんな所)。
これまた1例に同じく講談社ブルーバックスの「マンガおはなし数学史」を紹介。こちらも出版は2000年である。
マンガ おはなし数学史―これなら読める!これならわかる! (ブルーバックス)
- 作者: 佐々木ケン,仲田紀夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/12/20
- メディア: 新書
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一応、萌え文脈を大いに汲んだ学習漫画シリーズとしてはあさりよしとお先生の「まんがサイエンス」などもあるが、(秘めたるフェティッシュの深遠さはともかく)少なくとも初期数巻の表紙パッと見ではそこまで「萌え」の雰囲気を押し出したものでは無い(この辺は実際まんがサイエンスの表紙を出版順に並べて眺めてみると色々感じるものがある)。
- 作者: あさりよしとお
- 出版社/メーカー: 学研プラス
- 発売日: 2012/09/05
- メディア: Kindle版
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これまた講談社ブルーバックスより2011年刊行の「マンガで読むマックスウェルの悪魔」。
- 作者: 月路よなぎ,銀杏社
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/11/22
- メディア: 新書
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これは児童文学の世界でも近いことは起きているそうで、出版界全体の潮流でもあるようだ。詳細は以下のまとめを参照されたい。
児童文庫のカバー、挿絵の変遷から考える「大人は子供たちの欲しがるものを少し信頼してあげよう」ということ - Togetter
ゼロ年代以降の高校生以上向け理系学習漫画の紹介
さて、長い前置きではあったが、ここから実際に私が所持している理系学習漫画を一つ一つ紹介していって、本題である「教師役と生徒役にどんなキャラクターが配役されたか」を見ていきたいと思う。ただし、書籍は先ほどから何度か紹介している講談社のブルーバックスと、それに加えてオーム社の「マンガでわかる」シリーズに限定する。これは前者の講談社ブルーバックスが名実共に日本における科学啓蒙書の総本山であること、後者のオーム社「マンガでわかる」シリーズが10数年に渡って理系科目の専門的な内容をテーマにした学習漫画を日本で最も継続的に出版して送り出していること、そして私自身もこの2社の書籍に関してはかなり網羅的に目を通していることの3点が理由である。
なお、元々がジェンダーギャップ論争が発端なので、ちゃんと男女に分類した上で最後に集計しておこうと思う。集計結果だけ知りたい人は一気に飛んでくれても問題無い。
マンガ おはなし数学史―これなら読める!これならわかる! (ブルーバックス)
- 作者: 佐々木ケン,仲田紀夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/12/20
- メディア: 新書
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内容は完全にどこでもドアな形状のタイムマシンを使って、時間旅行をしながら数学の歴史を学ぶという内容。
タイムスリップしながら各時代の偉人に教えを請う内容なので、あまり教師役の性別は関係無いように思うが、案内役の先生が男性なので、とりあえず教師役は男キャラとしてカウント。
面白いのが生徒役で、女子中学生に男子高校生、成人男性に老人女性と、かなりバラエティに富んだキャラクター配置となっている。
マンガ 化学式に強くなる―さようなら、「モル」アレルギー (ブルーバックス)
- 作者: 鈴木みそ,高松正勝
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/06/20
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内容はイケメンだが化学バカの男子大学生に、化学嫌いで恋愛脳なギャルめの女子高生が下心アリアリで家庭教師を頼み込み、苦手な化学を克服していく内容。中身はかなりしっかりしていて、高校1年レベルの化学を数式も使って説明していく。
私がこれを読んだのは確か高2の夏だったと記憶しているが、初めて読んだ時はかなり衝撃的だった。歴史漫画や雑学系などはともかくとして、これまでこうした学校の授業内容を追いかけるタイプの学習漫画と言ったら、「漫画」としては正直「毒にも薬にもならない」程度の内容だと思っていたので、絵柄は勿論、女の子の方がギャルでラブコメストーリーとしても面白い、というのは全くの予想外だったのだ。2001年当時としてはまだかなり異端だったと思う。
配役は先生役に「理系男性」、生徒役に「理科嫌い女子」とで、千田女史らが怒り狂うであろう典型的なジェンダー配役。
立て続けにブルーバックスから2冊紹介したが、ここからしばらくブルーバックスから漫画本の出版は見られなくなる。その間に現れたのがオーム社の「マンガでわかる」シリーズだ。
- 作者: 高橋信,トレンドプロ
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2004/07/01
- メディア: 単行本
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内容は上記の「化学式に強くなる」と多少似ており、数学苦手めな女子高生がイケメン目当てで統計学に興味があると言って家庭教師を頼もうとする話。が、実際家庭教師に現れたのは目当てのイケメンでなく瓶底メガネの冴えないオタク男で…という内容。学習漫画としては種々の分布関数を紹介するあたりから「初心者が漫画で学ぶ」という目的からしたら結構説明が苦しくなっているのだが、これは本の問題と言うより統計学の宿命と言った所。
表紙を見て分かる通り、かなり今風で萌え絵寄りな絵柄(と言っても10年前の漫画なのだが)。「大学レベルの数学を学習漫画の形式で」というコンセプト自体が当時としてはかなり珍しかったのだが、そこに堂々と一般的な漫画雑誌でも見かけるような可愛い萌え絵を載せてくるという手法は学習漫画界的にかなり革新的だったと思う。
ただまあ、当時はこの前年に「もえたん」も発売されており、何というか、アレもコレも全部萌えキャラ化じゃあ的な雰囲気の萌芽を日本全体あちこちで見かけていた頃でもあり、「とうとうこのレベルの理系本にまで」という気分もあった。
で、当然配役は先生役が男キャラ、生徒役が女キャラ。
ちなみにシリーズ第1弾である統計学は、この後「回帰分析編」「因子分析編」と続編が続き、キャラも継続して出演しているそうなのだが、そちらの方は残念ながら未読。
偉人と語るふしぎの化学史 化学法則が生み出されるプロセスを追体験する【電子書籍】[ 松本泉 ]
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内容は歴史系の定番の所謂「時間旅行モノ」。案内役が男性教師、生徒役は女子高生と男子高校生が一人ずつ。
ところで、元の騒動ではジェンダーギャップとして「先生役が男性で聞き手が女性」というステロタイプが批判された訳だが、実は生徒役に男女両方が配置された場合のステロタイプというのも多少あって、概ね女の子の方が真面目で勉強ができるタイプ、男の子の方が勉強嫌いで奔放なタイプが配置されやすい。本書はまさにそういったキャラクター設定で書かれている。
こうしたステロタイプもこれはこれで「女の子は大人しくしていなきゃ」という抑圧の現れとも取れるし、「男の子なんて基本バカ」という偏見の現れともとれるのだが、その辺もやはりジェンダー学的には批判対象なのだろうか。
- 作者: 小島寛之,十神真,ビーコム
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2005/12/01
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テーマが微分積分の割に舞台は新聞社で登場人物は皆社会人。会社の先輩後輩がそのまま先生役と生徒役。先生役は男性で生徒役は女性。登場人物を反映してか、内容も高校や大学の数学と言うより、実社会での実用例をふんだんに交えた「社会人向けの学び直し」の雰囲気を感じる。
- 作者: トレンドプロ,渋谷道雄,晴瀬ひろき
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2006/03/01
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ここに来て絵柄が完全に萌え漫画のそれになったのがハッキリ分かる。内容もけいおんブームを先取りしたかのようなJKガールズバンドもので、実際きららの雰囲気を強く感じる。
ここで遂に先生役に女キャラが配役された作品が登場。先生役もJK、生徒役もJK。主人公フミカの幼馴染のイケメン男子が序盤から登場するのだが、主人公とラブがコメるかと思いきや、女3人の友情の噛ませ犬化しており、この辺も百合人気を先取りした感があって面白い。
- 作者: 新田英雄,高津ケイタ,トレンドプロ
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2006/11/01
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内容はテニス部の女子高生が、冴えないガリ勉男子に教えを請う構図。という訳で先生役男キャラ、生徒役女キャラ。ちなみに作画は「恋愛☆SLG」の高津ケイタだ!(知らんとか言うな)
- 作者: 藤瀧和弘,マツダ,トレンドプロ
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2006/12/01
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内容は、電気の国エレクトピアで生まれ育ったレレコが、日本に電気について学びに来るという内容。ここに来て生徒役の主人公はまさかの異世界から来た女の子。所謂「落ちもの」という飛び道具がかまされる。先生役のヒカル先生は成人男性。落ちもので何らか学ぶ系の漫画なら普通はヒロインの方が先生役ではないかと思うが、この漫画では逆。しかしこのヒカル先生、電気系の研究者らしいが一貫して白衣姿。電気系ならせめて作業着ではなかろうか。
- 作者: 武村政春,咲良,ビーコム
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2008/01/01
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出席日数の足りない女子大生2人が何故か孤島で補講を受けるという内容。授業担当は老人教授だが、実際に直接先生役をするのは助教だか院生だかの若い男性。最後にちょっとだけSF染みたオチがある。という訳で先生役男キャラに生徒役女キャラ。
マンガ 物理に強くなる―力学は野球よりやさしい (ブルーバックス)
- 作者: 関口知彦(原作),鈴木みそ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/08/21
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内容は化学とは逆の男女配役で、野球部員の男子高校生が生徒役で、優等生タイプの女子高生が先生役で高校物理について学んでいる。2冊目ということでこなれたのか、個人的には化学式より日常会話から物理学の話への繋げ方が洗練されたように思う。その分逆に「何でもかんでも化学の話に無理矢理にでも持ってく化学バカ」のようなキャラのアクの強さは薄れて、キャラ魅力は落ちたかも?
- 作者: 藤瀧和弘,高山ヤマ,トレンドプロ
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2008/10/01
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先生役はアパートに引きこもって生活する若い女性大家で、生徒役はそこの住居人の男(大学生のように見えるがどういう社会的立場の人間かは明示されず)。そこだけ聞くと、この配役でどうやってシーケンス制御の話をするのかと疑問に思わされるが、アクロバットな論理展開でそこそこスムーズに導入を描いていて結構面白い。ヒロインの巨乳+ストレートロング+ジャージというビジュアルは、絵柄の好みも相まって個人的には結構お気に入りである。
- 作者: 石川憲二,柊ゆたか,ウェルテ,川端潔
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2008/12/01
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内容は演劇部の女子高生3人が、SFアレンジを入れたかぐや姫のストーリーを作るために、大学の先生に話を聞きに行くというストーリー。先生役は男性教授で生徒役はJK(にプラスで男子大学生1人)。
キャラ魅力もギャクのキレもシリーズ随一でギャグ漫画としても非常に面白い。序盤で主人公と金髪碧眼ナイスバディ留学生とがいきなり金色夜叉ごっこしながらの「貫一キーック!!」にはゲラゲラ笑った。個人的にだが、純粋に漫画としてはシリーズで最も面白いのではないだろうかと思う。アレンジかぐや姫のクオリティが結構高い。
作画の柊ゆたかは現在「新米姉妹のふたりごはん」でプチヒット中。
- 作者: 高橋信,井上いろは,トレンドプロ
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2008/11/01
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- 作者: 武村政春,菊野郎,オフィスsawa
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2009/01/01
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- 作者: 山本将史,高津ケイタ,トレンドプロ,新田英雄
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2009/06/01
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- 作者: 佐藤実,あづま笙子,トレンドプロ
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- 発売日: 2009/11/01
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- 作者: 原田知広,川本梨恵,ユニバーサルパブリシング
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2009/12/01
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Amazonの試し読みで読める範囲だけで先生役が男性教授、生徒役が女子大生であることが分かったので一応カウント。
- 作者: 石川憲二,柊ゆたか,ウェルテ,川端潔
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2009/12/01
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- 作者: 相知政司,石野人衣,トレンド・プロ
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- 発売日: 2010/11/12
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マンガ おはなし化学史―驚きと感動のエピソード満載! (ブルーバックス)
- 作者: 佐々木ケン,松本泉
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- 作者: 遠藤 雅守,トレンド・プロ,真西まり
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2011/08/25
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- 作者: 武居昌宏,松下マイ,オフィスsawa
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- 発売日: 2009/11/01
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- 作者: 田中賢一,松下マイ,オフィスsawa
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- 発売日: 2011/11/16
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- 作者: がそんみほ,銀杏社,鍵本 聡
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- 作者: 月路よなぎ,銀杏社
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- 作者: 秋鹿さくら,銀杏社
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マンガ 量子力学―この世を支配する奇妙な法則 (ブルーバックス)
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2011年冬にブルーバックスが出したこの漫画4冊、正直に言うと漫画としてのクオリティがオーム社の「マンガでわかる」シリーズと比べて数段低いのだが、中でもこの本はとにかく絵がプロレベルとは到底思えないクオリティで、おそらく「21世紀に講談社から出版された漫画」の中で低画力争いをしたらぶっち切りで1位が取れるのではないかと思う。作者は正真正銘の研究者で、東京大学在籍中に漫研に所属していたらしく、つまりそもそも完全に素人なのだ。何故そんな実力で魔法バトルものを描こうとしたのだ……。
ただ説明やストーリー自体はそこそこ面白いので、怖いものみたさで買ってみるのは良いと思う。敢えて中身のページはアップしない。
- 作者: 末益博志,長島利夫,オフィスsawa,円茂竹縄
- 出版社/メーカー: オーム社
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- 作者: 長谷川登志夫,トレンド・プロ,牧野博幸
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男子大学生が生徒役なのだが、先生役は宇宙人のユウキマン。乗っていた宇宙船が墜落し、主人公の下宿先に無理やり居候という展開。完全にオッサンキャラだしユウキ「マン」と言うくらいなので男なのだろう。地球人年齢で36歳とのこと。本記事でも唯一の先生役と生徒役が両方男性キャラの作品である。
絵柄だけでなくストーリー展開やギャグのノリまで徹頭徹尾懐かしい雰囲気を感じられるので30歳以上の人は是非読んでみると良いのではないかと思う。ターゲット読者は大学生なのでは?という疑問は華麗にスルーだ。
マンガ おはなし物理学史 物理学400年の流れを概観する (ブルーバックス)
- 作者: 佐々木ケン,小山慶太
- 出版社/メーカー: 講談社
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2015年にこの絵柄で商業漫画を出版できるというのも学習漫画ならではなのではないだろうか。
- 作者: 新田英雄,深森あき,トレンド・プロ制作
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集計およびまとめ
という訳で以上で終了。ブルーバックスの漫画書籍にしろオーム社の「マンガでわかる」シリーズにしろ、実際には私が持っていない本もいくつもあるのだが、ある程度の網羅にはなっているのではないかと思う。
さて、ではここから先生役と生徒役の性別集計に移る。まとめは以下の通りだ。
見て分かる通り、2006年ごろまでは圧倒的に「男性が先生役、女性が生徒役」という配役が支配的だったが、2008年以降では男女比はほぼ同等か、若干ながら「女性が先生役、男性が生徒役」の方が多いと言える。(まあサンプル数的に誤差範囲ではあるが)
これは学習漫画に限らず一般の漫画読みの実感とも合うのではないだろうか? 女性に何かを教わる系の漫画がここ10年程で飛躍的に増加したように感じているのは私だけではないはず。さらに言えば、学ぶ系に限らずバトル物やミステリー物でもホームズ役を女性キャラ、ワトソン役を男性キャラが担う漫画がかなり増えてきたように思う(あるいはドン・キホーテとサンチョ・パンサか)。
また、「先生役も生徒役も同じ性別」というのが男女共に極めて少ないことにも少し注目したい。これに関しては、恋愛感情を生徒役の学習モチベーションにしているパターンがいくつか見られた。生徒役は勉強嫌いで当該科目に苦手意識を持っている状態からスタートするパターンが多いため、いわゆる「不純な動機」を与えてやることでスムーズに勉強の話へと展開できる訳だ。
ただ、個人的にはそれよりも学習の進度を男女関係の進展に同期させることがドラマの進行として極めて有効だからでは無いかと推測している。漫画として面白い学習漫画を描こうとすれば、学習の進行とストーリーの進行を同期させるための仕掛けが必要となり、初学範囲を一通り習得することが別の何かの達成に繋げることでストーリーが盛り上がる。そう考えると、それを男女関係の成就に結びつけるのはかなり手っ取り早い方法のように感じられる(ここで同性愛云々の話もできなくはないのだがまあそれは置いといて)。勿論男女関係に頼る必要は無いが、恋愛要素が絡まない作品の場合も学習と同期しうる何らかの仕掛けが求められるのだ(逆に言うとそうした仕掛けが弱い作品は理論や知識の説明が良くても、1漫画作品としてはどうしても魅力に欠ける)。
さて私個人の学習漫画論はこの程度にしておいて、とりあえず少ないサンプル数ながらにデータらしいデータの提示はできたのではないかと思う。このデータから何を読み取るも、どう利用するも自由なので、この記事を読んでくれた読者の方々には是非とも有効活用してくれれば幸いである。
加えて言うなら、上記の調査結果は所詮私が趣味で個人的に集めている数十冊程度であり、本来学習マンガ界全体に比べたらごくごく1部に過ぎない(冒頭に述べた通り、2005年以降「マンガでわかる」のキーワードにヒットする書籍は700冊以上出ているのだ)。ので、本記事を呼び水に「自分も手持ちの調べてみました」って人が集まってくれるのが一番良いのだと思う。
という訳で今日の所はこの辺で。(本当は連休中にアップしたかったんだけど)
追記(10/12)
・最後に一文追加(加えて言うなら〜一番良いのだと思う)
・本記事を受けてid:bookroad氏が学研まんがについての記事を執筆されたのでリンク。本記事では手落ちの小学生向け書籍について語っておられるので興味ある人は是非以下参照。
学研まんがを読んでた自分は「女の子が頭のいい役」に慣れてたって個人的な話 - 備忘録、データ集、或いは一時保管所 https://bookroad.hatenablog.com/entry/2018/10/11/065123