「自動車界のユニクロになる」と宣言⋯ 中国EV・零跑汽車、LiDAR搭載モデルを業界最安値で発売

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中国新興自動車メーカーのなかでもコストパフォーマンスの高さにより頭角を現してきた電気自動車(EV)メーカー「零跑汽車(Leapmotor)」が3月10日、純電気自動車(BEV)新型コンパクトSUV「B10」の予約販売を開始した。価格は10万9800元~13万9800元(約230万~290万円)。LiDAR搭載タイプは12万9800元(約270万円)で、LiDAR搭載車両として業界最低価格を更新した。B10は4月に発売、納車が開始され、輸出用モデルも年内にリリースされる予定だ。

零跑汽車は昨年、自社開発したアーキテクチャ「LEAP3.0」を発表しているが、B10はこれを一新した「LEAP3.5」を初めて採用、統合度やスマートレベルがいっそう向上した。

LEAP3.5では、ゾーンセントラル型アーキテクチャに進化させたことでコックピットとドライビングシステムの統合制御を実現、3つのドメインコントローラーをひとつにまとめてモジュール化し、クアルコムのSoC「Snapdragon 8295」により通信の遅延を数秒レベルに抑えた。高度に統合することで、ハーネスの総延長は996メートル、電子制御ユニット(ECU)は22個に減り、E/E(電気・電子)アーキテクチャのエネルギー消費が25%削減された。

LEAP3.5ではスマート機能も大きな目玉だ。例えば、スマートコックピットについてはSnapdragon 8295を搭載し、アリババの「通義千問(Tongyi Qianwen)」とDeepSeekを組み合わせたAIアシスタントを採用している。

零跑汽車は今年、スマート化レベルを高めることに重点を置いている。中型車のCシリーズとは異なり、B10では初めて自動運転用の「Snapdragon 8650」を搭載、スパース計算の性能は200TOPSに達し、消費電力は半分になった。また、中国の大手車載LiDARメーカー禾賽科技(Hesai Technology)の長距離計測LiDARを搭載し、LiDAR搭載の高度スマート化車両として初めて価格を12万元台(約250万円)に下げた。高速道路用NOAや自動駐車システムなどをサポートし、さらに都市型NOAなどに進化する能力を備えているという。

3月初めに、トヨタ自動車と中国・広州汽車集団の合弁会社・広汽トヨタが、高度自動運転システム搭載のSUV「鉑智3X(bZ3X)」をLiDAR搭載車として初の14万元台(約290万円)で発売したが、わずか数日でこの記録を塗り替えた。

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零跑汽車はB10に大きな期待を寄せている。シニアバイスプレジデントの曹力氏は「Cシリーズは1カ月の販売台数が4万台を超えたが、Bシリーズは何としてもそれを上回らなくてはならない」と述べる。

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零跑汽車の2024年納車台数は、前年の14万4155台から103.8%増加して29万3724台となり、そのうちCシリーズは22万5071台だった。同年10-12月期に黒字化し、世界の新興自動車メーカーとしては、米テスラ、中国・理想汽車に続く3社目の黒字達成メーカーとなった。

創業者の朱江明CEOは、この数年の目覚ましい成長が、技術革新とコストベース・プライシングという2つの戦略によるものだと説明する。主要部品の自社開発と製造を続けることで、技術力や製品、コストの面で優位性を手に入れたほか、高い利益率を追求するのではなく、コストに見合った価格設定にしたことが奏功したという。朱CEOは自社ブランドを「自動車界のユニクロ」と位置付け、「より高機能、高品質かつ安価な製品をユーザーに提供したいと考えている」と語った。

現在は、自社の技術を他社に提供しようとしている。朱CEOは、自社で研究開発したEVパワートレインやバッテリー、電子技術などに関して社外で10件のプロジェクトが決定していることを明らかにした。今年3月には中国第一汽車集団(China FAW Group)と、新エネルギー車の共同開発や部品で協力することに合意した。

海外市場については、欧州自動車大手のステランティスと「零跑国際(Leapmotor International)」を設立している。欧州市場に500カ所近い拠点を設けており、電動SUV「T03」と「C10」を次々に納車している。今年中に輸出用「B10」もリリースされる予定で、もうひとつの新型車「B05」は今年後半に海外市場を中心に発売される。さらに欧州での現地化に向け工場用地選定を進めており、2026年上半期にも現地製造を開始したいとしている。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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