中国AMRメーカー「YOUIBOT」、日本市場を本格開拓へ 半導体や製造業の自動化ニーズに照準

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中国のの自律走行搬送ロボット(AMR)大手「優艾智合(YOUIBOT)」は2月27日、日本法人「Youibot Robotics Japan(ユーアイボット・ロボティクス・ジャパン)」(東京・品川区)の事務所開所式を開催した。代理店として同社製品を販売する山善、ダイドー、日本機材、三光電業などが出席し、日本市場での販売拡大を支える体制を強化する方針を示した。

YOUIBOTは2017年に設立され、広東省深圳市に本社を構える。高精度SLAM(自己位置推定・地図生成)技術を基盤に、電子機器製造、半導体、自動車部品、新エネルギー、倉庫物流といった業界に向け、高効率かつ安定した自動化ソリューションを提供している。

​​主力製品は、工場内物流と巡回点検の2つの領域に特化している。例えば、半導体ウエハ製造工場では、1台のロボットが4人分の作業を代替し、繊細かつ高価なウエハを迅速かつ安全に搬送できる。また、電力プラントなどでは、赤外線サーモグラフィーやAI音声認識技術を活用し、これまで8人のエンジニアが協力して行っていた複雑な巡回点検作業を1台で実現できるという。

同社の製品はすでに日本、韓国、シンガポール、スペイン、ドイツ、イタリアなど30カ国・地域に輸出されている。特に半導体製造のエッチング、FAB、ダイシング、パッケージングなどの生産工程をカバーし、半導体業界向けのAMR市場では世界トップクラスの出荷量を誇る。これまでに台湾積体電路製造(TSMC)や中芯国際集成電路製造(SMIC)などに数百台のロボットを納入し、高度なクリーンルーム環境に適応するソリューションを提供している。

半導体工場で稼働するYOUIBOT製品

また、さまざまな業界やシーンに対応する製品ラインアップを構築しており、複数のロボットを制御して協調稼働させる技術にも強みを持つ。

日本市場への進出と成長戦略

YOUIBOTは、物流業界でトラック運転手が不足する「2024年問題」をはじめ、各産業における自動化ニーズの高まりを見据え、2022年から日本市場の開拓を進めてきた。一部製造業の国内回帰が進む中、スマートファクトリー化や物流自動化ソリューションへの需要も拡大しており、日本市場での成長余地は大きいとみている。

同社の張朝輝CEOによると、すでに日本の自動車業界や3C(コンピューター、通信機器、家電)業界の大手企業と提携し、ソリューションの導入を進めている。例えば、日本の大手自動車部品メーカーの工場では、フレキシブルリフトロボットなどさまざまなAMRや、それらを連携させるプラットフォーム型AMR「P200」を複数台導入し、部品搬送の効率向上とコスト削減を実現した。現在は、半導体企業との商談も積極的に進めているという。

YOUIBOTの製品技術ロードマップ

日本の顧客への対応力を強化するため、2024年に日本法人としてYouibot Robotics Japanを設立し、技術サポート、製品トレーニング、現場導入支援、カスタマーサポートなどのフルサポート体制を整えた。さらに、日本市場のニーズに応じ、よりコンパクトで長時間稼働可能な製品を開発し、ローカライズ戦略を推進する。

近年、日本市場には中国発の産業ロボットメーカーが多数参入し、競争が激化している。これについて、張CEOは「中国市場は世界でも最も競争が厳しい市場だ。その中で培った製品力とサービス力が当社の強みだ。欧米のメーカーと比べてコストパフォーマンスの高い製品を提供することで、日本市場でも十分な競争力を発揮できると確信している」と自信を示した。

日本メディアの囲み取材を受ける張朝輝CEOと日本法人代表の張琼氏

日本法人代表の張琼氏は、今後の事業拡大に向け、人材の現地採用を強化すると明らかにした。また、2025年の目標売上高を2億円とし、27年までに8億円に引き上げて事業の黒字化を目指すと同時に、グローバル市場への展開をさらに加速する計画だという。

(取材:Wang Yingying、編集:田村広子)

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