日毎に敵と懶惰に戦う

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ホキ美術館はたてもの好きには堪らない美術館だった…


ホキ美術館 HOKI MUSEUM
千葉市にあるホキ美術館に行ってきた。できた当初から、とにかく建物はすごいよ!建物は一見の価値あるよ!あちこちから聞こえつつ、展示品は…?とか、なんかえらく遠そう…と思って、なんとなく足が遠のいていたのだけれど。実は千葉市内で、千葉から外房線で20分、土気駅からは

タクシーでもワンメーター、バスもあるし、歩いても20分かからないくらいの距離だったんですね。もっと遠いようなイメージをしていた

千葉市でも最大級の公園『昭和の森』に隣接していて、なるほど環境も良い…


んだけれど、実は逆側のお隣はすぐに新興住宅街になっているんですね。低層なので、住宅側からはあまり突飛でないような建物にはなっておるよ

うーん、いやー、じゅうぶん突飛か(笑)日建設計の山梨知彦さんによる、かなり自由気ままな建物で、周囲をぐるぐる回っても、なんだか構造がよくわからない不思議建築だ…


ホキ美術館 - Wikipedia
山梨知彦 - Wikipedia
一部の部分は空に向かって飛び出しているし!この飛び出している部分にも展示空間があるのよ

この美術館、医療用のニッチ分野で強いホギメディカルの創業者である保木将夫氏が、コレクションした写実絵画を公開するために造られた美術館なのであり。山梨知彦氏に、通りかかったら入りたくなるような美術館を!とリクエストしたらこんな美術館が出来上がったらしい。確かにこれは気になる。ショップに、5つの曲線を上下に組み合わせたようなこの美術館の構造がよくわかる、ペーパークラフトにもなるポスターが売られていて、これは買いだ

さて、この美術館、なんか建築好きだと外観だけ見て満足してしまいそうだけれど、中もなかなか凄い。
以下、許可をいただいて撮影しています。通常は内部は撮影禁止です
まず、絵画を飾っている空間なのに、絵の下に外の景色が見える不思議空間



絵を見ている下から外の風景がばっちり見える、しかも複雑に重なった不思議な建物なので、自分のたてものがいろんな角度から見えたりする

空に浮いている建物部分は鉄でできているので、絵画を止めるのもマグネットになっているんですね

最初の空間以外は地下になっているんですが、それぞれに白や黒や特徴的な空間の色のまとめ方がしてあって、天井の高さもさまざま




差し込む光をうまく活かした空間もあって、それぞれに変化があるので、結構広い美術館なんですが、飽きない

ほとんどは写実の絵画ばかりなんですが、富本憲吉とか板谷波山などの陶芸のコーナーもあります


展示ケースなんかもいちいち、凝った造りをしているなー

そしてこの美術館の目が行くところが天井

天井を見上げるとバラバラにならんでいて、この穴が、LEDの照明から、スプリンクラーから、スピーカー、煙検知器、防犯カメラ、赤外線センサー…ありとあらゆるものが同じようなサイズの穴のひとつひとつに割り振られている。一つの絵に20くらいの穴からLED照明が当たっているので、不思議にふんわりした雰囲気になるんですね



それ以外にも、細かいところを見ていると、めんどくさそうな仕上げとか

エンボス加工の案内とか

エレベーターも油圧式の1本棒で支えるタイプだったり

片側がガラスで、もう片方だけで支えている階段とか

なんかもう、いちいち、設計者が好き放題やってるな!施工業者泣いてそうだな!というのが感じ取れる楽しい美術館なのだ…


展示作品も。見る前は、写実なあ…みたいな感想だったんだけれど、写実と言われても人により表現の仕方がさまざまであり、写実とは言え『芸術家の目を通じた現実』であること、芸術家の目を通した世界を楽しむこと、それは変わらないんだな、ということを感じたのだった


五味さんのガラスの描写とか、ほんと凄かった…。写真だとしても、光の当て方をよほど工夫しないとこんなクリアにはならない、みたいな超絶表現。休日の昼は予約でいっぱいになるというレストランもおいしかったし



これはちょっと、足を運ぶ価値のある美術館だな、と思うのでした