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ボクがデジタルの時間管理をやめてアナログ手帳に戻す理由

2012年11月26日(月) 16:24:21

手帳、あけましておめでとう!

ボクが愛用している手帳「アクション・プランナー」では、11月26日の今日が2013年版のトップページになる。
つうことで今日からオレ手帳的には2013年です。今年もよろしくお願いします。

※ もちろん普通の人は1月1日から新しいのを使うけど、手帳って少し前から始まるようになっているじゃないですか。それがこの手帳の場合、11/26なわけですね。

先週の日曜日、このアクション・プランナーの生みの親である佐々木かをりさんと博多でトークセッションをやった。

ボクが博多で仕事してるタイミングで彼女も博多に来るとのことで、「じゃあ、去年やって好評だったセッションを博多でやろう!」と話がまとまったのである。

150名以上来ていただいた当日、かをりさんの講演を聴いてなんと1/3である50名が手帳を新規購入していた。わかる。彼女の話を聴くと「もう手帳はこれしかないのでは!」と思ってしまうところがある。

この手帳の良さについては、去年、「ボクがいま使っている手帳を選んだ理由」という記事を書いた。

ただ、実はかをりさんにも隠していたのであるがw
今年の春から夏にかけて、ボクはアクション・プランナーをいったんやめていた。社員が2人でき、全員のスケジュール共有も含めて、ネット上でGoogleカレンダーで管理している方が便利なような気がしたからである。

アクション・プランナーもGoogleカレンダーも、どちらもバーチカルタイプ。
見た目はそんなに変わらないし、アクション・プランナーの基本的な考え方である「時間が見える」という意味ではGoogleカレンダーのほうが帯で色分けできていろいろ見えやすい(写真はある週のボクのGoogleカレンダー)。
デジタルだから書き換えも自由で手軽。しかも部下との予定共有もそれぞれが予定を放り込んでおけばいい。簡単だ。

かをりさんには悪いから黙っていたのであるが、そんなこんなでGoogleカレンダーで時間管理をするようになっていったのである。

でも。
でもでも。

やっぱりアナログのこの手帳に戻すことにした。

理由は、Googleカレンダーをメインに使い出してから「主体的に仕事ができなくなっていた」からである。

なんだろう、やっぱり「ペンで書き入れる」という作業が大切なのだろうか。
まず、デジタルだと「自分で決めた自分の予定が軽くなる」のである。自分の予定の耐えられない軽さ。手軽に予定変更できるからなのかな、思索の時間とか勉強の時間とか執筆の時間などの優先順位がいつしか後退し、そういう時間をつぶして他人との予定がどんどん入るようになった。

なぜかボクの毎日は「他人とのアポ」で埋まるようになっていった。
それに追い回され、「なんだかよくわからないけど忙しい」という状況になっていった。だんだん疲弊し、人生を悲観しだしたw

・・・おっかしいなぁ。
ちゃんと予定はしっかり見えているし、空き時間も見えているんだけどなぁ。

しかもそのうち空き時間をネット上で秘書や部下が勝手に埋めるようになってくる。
彼女らはボクの仕事総量を考えて、気を遣って「良かれ」と思って入れてくれるのだが、それでも他人本位で埋まっていく。

なんだかそうやって、どんどん自分の『意志』が薄れていくのだ。

やっぱ、デジタルだと書き直すのも簡単つうのが大きいかもしれないな。
ペンだと、予定を変更するとその部分が汚くなる。それをイヤがる気持ちが意外と大切。だって、「予定を直す」ってことは「他人からのオファーで予定を変える」ということだ。他人の都合なのだ。

つまり「自分の意志で決めた予定だから動かさないのだ!」という強い思いがデジタルだと薄れるということ。

これ、たいしたことがないようでいてとても大切なことだったのである。

それと、どうやら「スケジュールもブラウザで管理」というのが、どうもダメ。
Googleカレンダーを確認するときに、ついでにフェイスブックとかツイッターとかメールとか見てしまう。そこで仕事がいったん止まる。

それよりも、机に手帳を広げて置いて予定を確認しつつ、ネットを経由せずに仕事をした方が時間がつぶれない。

あ、それと、アナログのアクション・プランナーでは必ず書き入れていた「移動の時間」(ある打ち合わせ場所から次の打ち合わせ場所までの移動時間)を、Googleカレンダーの見た目が煩雑になる、という理由でだんだん書き入れなくなったのもダメ。

だから写真を見てわかるように予定をぱんぱんに入れるようになってしまった。バッファーがないのである。だから移動はいつも汗だくの走りまくりだ。

アナログで管理しているときはこんなことはなかった!
もっと自分の「意志」を持って「自分を予約」できていた!


そんなこんなで、今年の手帳から、またアナログに戻すですね。今年の色はこのロピアラインのレッドオレンジにした。

上記のこと、デジタルでも気をつければできるじゃん?とか思っているあなた。
それがね、かをりさんにこれだけ時間管理の仕方を習ったボクですら、いつのまにか出来なくなっていったですよ。やっぱペンと手帳。とりあえず今年はこれで行ってみる!


問題は部下との時間共有かな。
Googleカレンダーなら部下がこの時間なんの予定をこなしているかすぐわかるし、部下もボクの動きがすぐわかる。これが出来なくなるのはわりと痛いかも、と、思っていたのだけど。

実は、Googleカレンダーで共有管理するようになって、電話とか対面でお互いに調整しあうことがなくなり、コミュニケーションが希薄になってきていたことにも気づいたりした。お互いちゃんと話して調整することが、実は仕事の打ち合わせを兼ねたり、お互いの意志確認になったり、重要だったのである。

これからは「電話」か「対面」で調整をし、調整後にオフィシャルな予定としてGoogleカレンダーに「誰かひとりがまとめて」入力することにした。

ボクはみなさんが思うよりバリバリのネット人間だ。
だからこそ、会う時間とか話す時間の大切さがわかる。ノマドをやめたときにも書いたが、そういう時間が、実は企画にも人間関係にもとっても大切なのである。

ということで、今年も一年アクション・プランナー、使います。
みなさまも、ぜひお仲間に(くわしくはこちら)。

いろんな手帳を使った上で言うけど、結局この手帳が一番イイとボクは思うな。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、[email protected] まで。

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