尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で中国海警局の船の上空を小型無人機ドローンが飛行し、領空侵犯した問題を受け、日本政府は航空自衛隊戦闘機による緊急発進(スクランブル)を行い、主権侵害を認めない姿勢を明確にした。ただ、ドローンに対して戦闘機がスクランブルする対処を続ければ、自衛隊の防空力の疲弊を招く恐れもある。かえって中国の思うつぼになりかねず、政府は対応の見直しを迫られそうだ。
「われわれは規則に従い、しっかりと対応する。だが正直、あの程度のドローンに毎回、緊急発進すべきかは疑問だ」
ドローンの領空侵犯から一夜明けた19日、空自幹部はこう打ち明けた。同日に開かれた自民党の領土特命委員会でも、ドローンにF15を向かわせた対応に疑問の声が上がった。
無人機への緊急発進は、今回が初めてではない。平成25年9月には尖閣諸島北方の公海上を国籍不明の無人機が飛行し、F15が対応した。しかし、今回は同じ無人機でも軍用の大型機ではなく、一般に流通しているサイズの小型ドローン。速度は時速数十キロ程度とみられるが、F15は時速1千キロ超だ。18日のスクランブルでは、F15からドローンを目視できなかった。