テレビ×映画連動一大プロジェクト 押井守総監督に聞く(中)
「フルスケール(原寸大)のイングラムを製作することが実写化するうえでの条件…」。1年以上をかけて、全国の劇場公開とスターチャンネルでのテレビ放送というメディアミックスで展開してきた人気アニメ「機動警察パトレイバー」の実写版「THE NEXT GENERATION パトレイバー」のプロジェクトは、この押井守監督が提示したこだわりをクリアし現実化していった。そしていよいよ5月1日、シリーズ最終章となる長編劇場版「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」が公開された。
(戸津井康之)
大迫力のフルスケール
「機動警察パトレイバー」の実写化で注目されたのは、人気の主力メカ「イングラム」が、どんな形で映像化されるかだった。
イングラムは、警視庁が犯罪対策のために導入した人型の大型ロボットで全長は約8メートル。
「アニメ化の後は、もう実写化しかないだろう」。前回の「銀幕裏の声」で、押井監督がこう明かした言葉の真意は、イングラムをCG(コンピューターグラフィックス)などで表現するなら、実写化する意味がない-というメッセージでもあったのだ。
押井監督は製作サイドを納得させ、全長約8メートルのフルスケールのイングラムを2体製作した。さらに、イングラムを運搬するトレーラーなども特注された。
パトカーや白バイなどでお馴染みの警察仕様の白色と黒色のツートンカラーのボディ。肩部には回転する赤色ランプ、そして腕部などには警視庁の文字。
トレーラーは、イングラムを寝かせた状態で運搬するが、2足歩行させるためにデッキアップ(ほぼ90度の角度まで可動し、直立させるシステム)することが可能だ。