買い物ついでに気軽に 大阪・森ノ宮のまちライブラリー好評

 大阪のJR森ノ宮駅前に東急不動産が建設、4月27日にオープンした大型商業施設「もりのみやキューズモールBASE」(大阪市中央区)2階にある巨大な私設図書館「まちライブラリー@もりのみやキューズモール」が好評だ。まちライブラリーは人々が本を持ち寄り本を通じて交流でき、全国に広がっているが、大型商業施設にある例は初めて。買い物しながら気軽に立ち寄れることが受け、会員は約400人に、蔵書はゼロから約4000冊になった。

 森ビルで教育事業などに携わり、府立大客員研究員を務める礒井(いそい)純充(よしみつ)さんが提唱し平成23年から開始。大学、カフェ、オフィス、個人宅などに設けられ、人々が本を寄贈し、交流するほか、貸し出しもできる。府内が多いが、全国約170カ所に及ぶ。

 まちライブラリー@もりのみやキューズモールは約240平方メートルもの広さがあり、壁面の本棚は高さ3・5メートル。大阪を中心に家具や空間などのデザインをするクリエーティブ集団「graf(グラフ)」(大阪市北区)がデザインした。

 本棚に入れられた本は1950(昭和20、30)年代から時代によって分け、著名作家の作品や事件についての本があるほか、男性向けファッション誌の「ポパイ」や女性向けの「オリーブ」など雑誌が創刊号からずらりと並ぶ。また公共図書館にはあまりない絵画や陶磁器の図録も豊富にそろっている。このほか、キッズコーナーには、児童書や絵本も充実している。

 カフェスペースには、大阪・ミナミのアメリカ村にある書店「スタンダードブックストア」がカフェを運営、軽食を提供している。カフェ横には、イベントやパーティーなどもできる多目的スペースも設置。FMラジオ局「FMCOCOLO」がサテライトスタジオを併設、毎週土曜日の午後、生放送している。

 人気は上々で、午前中はキッズコーナーで、本の読み聞かせをする親子、午後はカップルや学生、会社帰りの会社員らでにぎわっている。カフェのみの利用も可能だが、7~8割の客は、蔵書として寄贈された本を読んでいるという。

 礒井さんは「ほかのまちライブラリーでは、イベントがあるときに来て本を持ち寄る人が多かったが、ここは、たまたま買い物に来た人が気軽に寄れる図書館になっている。商業施設のように人が来るところに、本を集めることが大切なのではないか」と話している。

 開館時間は午前10時から午後9時。問い合わせは同ライブラリー(電)06・6949・9222。

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