主張

死刑執行 厳刑で償うべき罪はある

 平成19年に名古屋市で起きた「闇サイト殺人事件」で、確定死刑囚の刑が執行された。

 昨年10月に就任した上川陽子法相にとっては初の執行となる。民主党政権時には4代の法相が執行ゼロを続けるなど、死刑制度の存廃も検討の対象とされた。だが遺族感情を思い、犯罪抑止の観点からも制度支持の声は高い。

 刑事訴訟法は、判決の確定から6カ月以内に法務大臣の命令により死刑を執行すると定めている。厳刑をもって償われるべき罪はある。法相は、粛々と職務を遂行してほしい。

 凄惨(せいさん)な事件だった。闇サイトで知り合った3人が31歳の女性会社員を拉致、殺害し、現金などを奪った。命ごいする女性の頭部をハンマーで殴打し、顔面に粘着テープを巻き、ロープで首を絞めて殺害し、山中に遺棄した。

 刑の執行後、上川法相も「誠に身勝手な理由から尊い人命を奪った残忍な事件」と述べた。

 内閣府が今年1月に公表した世論調査の結果では、「死刑もやむを得ない」の容認が80・3%で、「廃止すべきである」の否定は9・7%にとどまった。21年の前回調査に比べ容認派は5・3ポイント下がったが、それでも圧倒的な支持率である。

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