Delegation Pokerで権限移譲について学ぶ
みなさんこんにちは。@ryuzeeです。
NOOP.NLでアムステルダムのScrum Gatheringで行われた面白いゲームに関する説明があったので抜粋・意訳にてご紹介します。
デリゲーションポーカー(移譲ポーカー)のゲーム概要
ゲームの目的
このデリゲーションポーカーでは以下のようなことを教えることを目標として作成しました:
- 移譲は0/1ではないということ。独裁者とアナーキストの間には多くの段階があること
- 移譲はStep by Stepのプロセスであること。あなたは他の人に対してわかるように説明する責任があります
- 移譲はコンテキストに依存しているということ。あなたは可能な限り移譲することを望んでいるでしょうが、あまりにやりすぎると混乱をきたすことがあります
デリゲーションポーカーの基本的なアイデアは7つのレベルの権限です。
権限と移譲というプレゼンに簡潔に記載していますし、7つの権限という記事の中でより詳細に述べています。 また、私の書籍、Management 3.0の中でも説明があります。
権限の7レベル
- 指示する :管理者として意思決定を行う
- 売り込む :意思決定についての人々を納得させる
- 相談する :決定する前に、チームからの意見を得る
- 同意する :チームと一緒に決定を下す
- アドバイスする :チームによる意思決定に影響を及ぼす
- 問い合わせる :チームの決定後のフィードバックを求める
- 移譲する :特に影響を及ぼさずチームに任せる
ゲームの準備
参加者は1グループ3人から7人で構成する必要があります。 各参加者は、1〜7の番号が書かれたカードをそれぞれ1セットずつ持ちます(わたしは自分で作りましたが、白い紙やポストイットやCEOの名刺等から簡単につくれます)。 予め参加者が議論するための、例題を用意しておくのも良いでしょう。 例えば私のワークショップでは、参加者に10のマネジメントストーリーを与えました。 例としては以下のようなものです。
- あなたは現在のチームメンバーたちが新しい従業員の採用に関わってくれることを望んでいる。多くの候補者に関する決定について、どのレベルの権限をチームに与えるだろうか?
ゲームの参加者は、ゲームのプレイ中に7つのレベルの移譲の内容について参照することができます。 私は通常7つのレベルの説明を壁に貼っておきますが、ハンドアウトを配るのも良いでしょう。
ゲームのルール参加者は、(繰り返し)次の手順を実行します:
- 一人が(事前に定義された例から)話をピックアップして大きな声で読み上げるか、もしくは彼/彼女の個人的な経験からストーリーをしゃべる
- すべてのプレーヤーは各人で7枚のカードの中から1枚のカードを選ぶ(すなわりどのレベルで移譲をするかを決めるということです)
- すべてのプレイヤーが決定したら、一斉に選択したカードを公開する
- 「最高の少数派」の人を除いて、誰もが、選択したカードに記載されたポイントを得られる
- 最高のカードや最低カードのカードを出した人がなぜそれを選択したか聞いてみる
“最高の少数派"とは何か?
このゲームのアイデアは、管理者が失敗しない範囲で可能な限り移譲できるようにインセンティブを持たせることです(わたしはスピードメーターを超えない範囲で早く運転する、といった比喩で表現します)。 ゲームの参加者はカードの表面に書かれた値のポイントを得ることができます。 高い数値が書かれたカードを出せばより多くのポイントが得られるということになります。 しかし… …最高値のカードの人が参加者の中で少数派になっている場合は、それは行き過ぎてしまったことを意味しています(スピードメーターを超えた)。 グループの同意を超えた範囲を移譲してしまいカオスが訪れたとも言えます。 したがって、その人はポイントは得られません。
例1
すべてのプレーヤーは、別のカードを選択しており最高のカードは7です。 最高のカードを出した人は少数派になるので、この人はポイントは得られません。 その他の人は1,2,3,4を選択していたので、それぞれ1〜4ポイント得られます。
例2
3人のプレーヤーが6(問い合わせる)、残りのプレーヤーはそれぞれ5(アドバイスする)と、4(同意する)を選択しています。 この場合、最高のカードの6は多数派なので、6を選択した人を含めてポイントを獲得できます。 3人は6ポイントを、他の人はそれぞれ5と4ポイントを獲得できます。
ゲームは、約30分か、もしくは10ストーリーが完了するくらい繰り返します。
ゲームの変種(拡張)
初めての人がこのゲームをプレイして以来、色々なやりかたの亜種が出てきています。 順不同で紹介しましょう。
- ポイント制度を使わないで行う。いくつかのグループでは点数を競う一方で、いくつかのグループでは議論を楽しんでいた
- グループの最上位と最下位のカード間の差が大きい場合は同じストーリーでもう一回プレイするようチームに提案したりもできる
- あなたは、グループは、事前に定義したストーリーに集中させて行うこともできるし、参加者の実例を中心にやらせることもできる。これはワークショップの種類や性質に依存している
- あなたは"最高の少数派"について別の定義を使ったりすることもできる。(1の例では、3が最低値の多数派として、4と7の双方を最高の少数派としたりすることもできるだろう。ただこのルールは参加者は混乱するかもしれないが
- チームにコンセンサスボードを作らせるようなこともできるだろう。コンセンサスボードは参加者の下した決定を視覚的に表示することができる