原発20年延長可能に 政府方針、40年廃炉に例外
環境相の認可条件に1回限り
政府は、運転期間が40年を超えた原子力発電所を原則廃炉にする法改正案について、環境相の認可を条件に最長20年、1回に限り延長を認める例外規定を設ける方針を決めた。認可する際の判断基準や手続きは今後詰める。東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて原発の安全規制を抜本的に見直すなか、原発の老朽化対策として打ち出した「40年で廃炉」が、例外規定の運用次第で形骸化することになる。
17日に発表した原子力安全規制に関する関連法を改正するための「原子力安全改革法案」の骨子のなかに盛り込んだ。次期通常国会に同法案を提出する。
政府は今月6日、これまで法律上明確になっていなかった原発の「寿命」について、原子炉等規制法を改正し、運転期間を40年とする方針を発表した。細野豪志原発事故担当相が例外を設ける考えを示していたが、延長期間などについては明らかにされていなかった。
運転期間が40年を超える原発について、事業者が環境相に20年を上限に延長期間を申請、認可されれば1回に限り、運転の延長が認められる。この場合、原発の寿命は最長60年になる。例外規定は米国の取り組みを参考にしたという。
政府は4月に環境省の外局として、経済産業省原子力安全・保安院に代わる新たな機関「原子力安全庁」を設置する方針。原子力安全改革法案はこのための環境省設置法改正など計17の法改正を目指す。同庁の監視機関「原子力安全調査委員会」の設置法案も併せて提出する。
原子力安全調査委員会は、原子力安全庁内に置く。委員5人で構成し、国会の同意を得て環境相が任命する。原子力安全施策の実施状況を調査するほか、原子力事故が起きた場合には報告聴取や立ち入り検査などの権限を持ち、環境相、原子力安全庁長官などに勧告できる。
また原子力災害対策特別措置法の改正案では、環境相による原子力防災指針の策定を明記し各府省や自治体の対策について規定する。原子力事業者の防災訓練に関しては実施状況を国が確認し、必要に応じて改善を命令する。