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米大統領選、トランプ旋風どこまで

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2016年米大統領選の共和党候補、不動産王ドナルド・トランプ氏(69)の勢いが止まらない。実現が不可能にみえる政策を語り、移民や女性らへの差別的とも受け止められる発言をしても支持率が下がる気配はない。旋風はどこまで続くのか。

ブッシュ氏と保守派ホープの対決のはずが

立候補者が2桁を数え大混戦となった共和党の予備選。本命とされたジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(62)に保守派の若手ホープ、ウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事(47)らが挑む構図が予想されていたが、トランプ氏出馬で選挙戦の様相は大きく変わった。

不動産王として知られる実業家ドナルド・トランプ氏は6月16日、ニューヨークで開いた集会で共和党から米大統領選に出馬する意向を表明した。トランプ氏は個人資産が90億ドル(約1兆円)とされる富豪で、過去にも大統領選への出馬を検討してきた。
共和、不動産王トランプ氏も出馬を表明(6月17日)
独特の髪形に狭量的な雰囲気で自己顕示欲は旺盛。最近ではテレビ番組で「お前はクビだ!」の決めゼリフで人気者になった。ほかの共和党候補と比べて知名度で最初から圧倒する。
放言と高慢 不満代弁するトランプ氏(8月25日)
トランプ氏は6月16日の出馬表明演説で、メキシコからの移民について「麻薬や犯罪を持ち込んでいる」などと放言。大統領になったらメキシコとの国境に「万里の長城を築く」とまで言明した。

移民を侮辱する発言は批判を浴びたが、その後、共和党の大統領候補に関する世論調査で支持率が急上昇していった。

トランプ氏の支持率が上がるところに米社会の深刻な亀裂が浮かび上がる。ヒスパニック系などの人口が急増し、その台頭を快く思わない白人の保守層がトランプ氏の支持に回っているとみられる。
トランプ氏、発言波紋 批判続々も支持率は上昇(7月4日)

トランプ氏支持率ついにトップに

米紙USAトゥデーなどが7月14日、発表した米世論調査によると、2016年の米大統領選に向けた共和党の候補者指名争いで実業家のトランプ氏が支持率トップに躍り出た。
共和候補争い、トランプ氏が支持率トップに(7月15日)
米紙ワシントン・ポストとABCテレビが7月16~19日実施した共同世論調査で、トランプ氏は24%と共和候補でトップになった。ウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事が13%、フロリダ州のジェブ・ブッシュ元知事が12%と続いた。
トランプ氏人気に共和困惑 米大統領選(7月24日)

8月のFOX討論会、堂々の中央で

トランプ氏がこのタイミングで支持率トップになったことには大きな意味があった。

(8月の第1回候補者討論会を)主催するFOXニュースは直近5回の世論調査の平均支持率上位10人に制限。上位10人に入れなかった7人はゴールデンタイムに先立つ別枠の討論会に回った。
共和党は8月6日夜、米中西部オハイオ州クリーブランドで第1回候補者討論会を開き、予備選を本格化させた。
同党からの候補者のなかで支持率がトップの不動産王ドナルド・トランプ氏(69)の「第3党」発言や移民政策、テロとの戦いで論戦が交わされた。
米大統領選共和討論会、移民・テロで激論(8月8日)
米メディアもトランプ氏を簡単に「退場」させられなくなった。
6日の討論会を主催した米FOXニュースはトランプ氏の人気で視聴者数が2400万人を超えた。予備選の討論会としては米テレビ史上最多だ。桁違いの視聴者数に米メディアの空気は一変した。
「最終的に共和党の指名を獲得できないだろう」という予測は多いが、失速の時期は分からない。
放言と高慢 不満代弁するトランプ氏(8月25日)

討論会後も支持率下がらす

トランプ氏が6日のテレビ討論会後の世論調査でも24%の支持を維持し、他の候補を大きく引き離している。
一連のトランプ氏の放言は、支持率を押し下げてもおかしくないが、いまのところそうなっていない。むしろこれらの放言が共和党員の支持を得ているとの分析もある。
トランプ氏を追うブッシュ氏やウォーカー氏ら共和党の予備選に出ている候補にとっては、効果的な対抗策がないのが実情だ。
共和トランプ氏、討論会後も支持率首位 放言影響せず(8月12日)

トランプ氏、指名争いに自信深める?

衰えないトランプ人気を前に、共和党にある危機感が持ち上がっていた。トランプ氏のいわゆる「第3党」発言だ。

第3党や無所属に転じる可能性を否定していなかったトランプ氏が3日、党の指名を得られなかった場合でも党外から出馬しないと明言した。
(トランプ氏が党外から出馬し)保守票が割れれば、結果として民主党候補を利することになるが、最悪のシナリオは免れた格好だ。

なぜトランプ氏は誓約書にあっさり署名したのか。

米メディアは、背景として州の個別事情を挙げる。例えばサウスカロライナ州は誓約を予備選参加の条件に掲げる。
トランプ氏自らが共和党の大統領候補指名争いに自信を深めているとみることもできる。
米モンマス大の最新の世論調査では、米共和党候補中、トランプ氏の支持率は30%で首位。2位の元神経外科医ベン・カーソン氏(63)の18%を引き離す。トランプ氏が標的にするブッシュ氏は8%にとどまっている。
「ワシントン政治」とたとえられる既成政治への不満が押し上げるトランプ氏の勢いは徐々に「本物」になりつつある。
米共和党、保守票分裂回避の公算 大統領選(9月4日)

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