「進撃の巨人」連動 ローソンアプリ、若者に照準
ローソンがアニメと連動したインターネット戦略に力を入れている。昨年12月末から年初にかけて実施した人気アニメ「進撃の巨人」とのキャンペーンでは、同社のスマートフォン(スマホ)向け公式アプリを使って限定商品などが当たる「スタンプラリー」を実施。1月からは「TIGER&BUNNY」キャンペーンとアプリを連携させ、インターネットと親和性の高い若者を呼び込んでいる。
同社は共通ポイントカード「ポンタ」の会員に、ローソンの店舗に来店すると使えるWi-Fi(無線LAN)サービスを提供。進撃の巨人では、来店客がダウンロードした公式アプリを立ち上げて店内のWi-Fiに接続すると、アプリ内の「Wi-Fiゲーム」から特別企画のスタンプラリーに参加できるようにした。
各店ごと1日につき1回限定だが、店舗を訪れるたびにスタンプがもらえる。何度も来店を促すしかけで、スタンプを7個集めるとローソン限定の「待ち受け画面」がもらえるほか、4回目、7回目と回を重ねると、オリジナル缶バッジが当たる抽選に参加できる。
缶バッジへの当選者数はスタンプラリーへの参加者が多いほど増える。たとえば参加者全員で集めたスタンプが計1万個より少ないなら、缶バッジの当選者数は50人。1万~5万個だと500人に当たる。ネット上で見知らぬ人とも共同でゲームを進めていく感覚だ。
続いて、8日から公開される「TIGER&BUNNY」の劇場版に合わせ、アプリと連動したキャンペーンも開催。前回と同様、アプリを開いて店内のWi-Fiにつなぐと、動画を再生できる。今後もアニメをきっかけに来店機会を増やすアイデアを作る。
実際にアプリをきっかけに来店した顧客の7割がそのまま退店せずに、ガムや飲料といった商品を購入するなど、売り上げ増にもつながっているという。広告販促企画部の白井明子氏は「SNS(交流サイト)を使った販促策は、通常のキャンペーンよりも反応が良く、クーポン利用率なども高い」と話しており、アニメとネットの連動で若い層をピンポイントで狙う販促策に手応えを感じている。
ローソンはスマホ向け無料通話・メッセージアプリ「LINE(ライン)」の公式アカウントで国内最大級の友達数を誇るなど、企業のウェブ活用で先行した。今後はアプリのような、企業が所有する「オウンドメディア」で独自性のある素早い販促策を打ち出す考えだ。
(水口二季)
[日経MJ2014年2月7日付]
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