AT&T、タイムワーナー買収発表 8.8兆円
複合メディア企業に
【ニューヨーク=中西豊紀】米通信大手のAT&Tは22日、米メディア大手のタイムワーナーを買収すると発表した。買収総額は約854億ドル(約8兆8600億円)。携帯電話事業が伸び悩むなか、映画やニュースまで幅広いコンテンツを抱えるタイムワーナーを取り込み、複合メディア企業への転換を目指す。インターネットの普及を背景に通信・放送の垣根を越えた企業統合が本格化しはじめた。
タイムワーナー株を1株当たり107.5ドル(21日終値は89.48ドル)で取得する。買収総額は今年のM&A(合併・買収)では最大とみられ、独医薬・農薬大手のバイエルによる遺伝子組み換え種子の世界最大手、米モンサントの買収額(約660億ドル)を上回る。
タイムワーナーは「バットマン」「ハリー・ポッター」シリーズで知られる映画部門ワーナー・ブラザーズやニュース専門局CNN、ドラマ専門局HBOなど複数のコンテンツを傘下に持つ。米動画配信サービス「Hulu(フールー)」の株式も10%保有している。
AT&Tは米2位の携帯電話事業者。買収でAT&Tはタイムワーナーの動画コンテンツをスマートフォン(スマホ)の契約者に配信できるようになる。通信事業会社がコンテンツを手掛ける地上ネットワークテレビ局を傘下に収めるのは初めて。動画を強みに値下げに頼らない契約者の獲得を目指す。
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