「余震怖い」不安の朝 鳥取中部地震、避難者が炊き出し
鳥取県中部で最大震度6弱を記録した地震は22日、発生から一夜が明け、被災地に余震への不安が広がった。避難所で朝を迎えた人々は「心配で眠れなかった」と疲れた表情を見せる。観光名所も打撃を受けた。激しい揺れは山陰の街に深い爪痕を残している。
約150人の住民が身を寄せた倉吉市の成徳小学校。市役所から支給されるはずのパンの到着が遅れたため、避難者が午前7時ごろから、家庭科室でご飯や味噌汁の炊き出しを始めた。
近所に住む主婦、近衛暉代さん(72)は、自宅の水道がほとんど出なくなり、娘の介護士、藍子さん(32)と同小体育館で一夜を過ごした。
余震が起きるたびに建物が揺れ動くため、何度も目が覚めた。「ほとんどの人が十分に眠れていない」と話す。家では大きな棚が倒れるなど家具が散乱している。藍子さんも「再び強い揺れが起きたら、と思うと、怖くて帰れない」と話す。
気象庁によると、県中部では22日正午までに、震度1以上の地震が145回発生した。総務省消防庁のまとめでは、午前11時半現在で重軽傷者は21人。同庁は機動調査班(JMA-MOT)を現地に派遣した。
一方、総務省消防庁によると、避難者は同日午前7時現在、倉吉市などで2800人余り。自治体は食料や毛布、破損した家屋を覆えるブルーシートなど物資の支援を本格化し、避難状況や住民の健康状態の把握を進める。
倉吉市は同日朝、市役所前で約5千枚のブルーシートを配布。市役所の職員が市民らに「崩落防止用に傷んだ壁にかけたり、防寒などに使ったりしてほしい」と説明した。ただ、全員には行き渡らず、不満を漏らす人もいた。
県中心部を襲った激しい揺れは、暮らしを支える交通網も寸断した。主要幹線道路の国道313号は、倉吉市と北栄町をつなぐ同町弓原地区で数センチの亀裂が入り、通行止めとなった。
亀裂は片側1車線の路面を横断、アスファルトが波打ち、住民らは迂回を余儀なくされた。県中部総合事務所県土整備局によると、復旧のメドは立っていない。