豊洲売却 都が「脅かしてきた」 東ガス資料、百条委提出
東京都の豊洲市場(江東区)を巡る問題で、都議会の「百条委員会」による関係者の証人喚問が11日、始まった。用地を都に売却した東京ガスが百条委に提出した資料の中に、都側が同社に強い言葉で売却の判断を迫ったとも取れる記述があることが判明。浜渦武生副知事(当時)が持ちかけたとされる「水面下」の交渉の一端だった可能性がある。
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資料の内容は公明党の都議が質問で明らかにした。それによると、都政策報道室理事だった赤星経昭氏との「折衝内容」と題する資料で、2000年12月22日付。赤星氏が浜渦氏から受けた指示として「石原慎太郎知事(当時)が安全宣言をしないと、東京ガスにとっても(土壌汚染のある)土地の価格が下がって困るだろう」と東ガス側に伝えたと記している。「脅かしてきた」との記載もあった。
これに対し、11日夜に取材に応じた赤星氏は「都が安全宣言を出せるはずがなく、東ガス側に伝えるはずもない」と内容を強く否定。「売却をお願いする立場なのに脅かすわけもない」とした。
東ガスの元幹部らは証人喚問で「全く知らない資料」などと述べ、広瀬道明社長は「資料は都議会の要請通り提出したが、担当レベルのものもある」と話すにとどめた。
一方、都の担当部局「中央卸売市場」の市場長だった大矢実氏は移転の経緯に関し「総合的に判断して、市場長として豊洲に移転することが適切と判断した」とし、石原氏に進言したと説明。築地市場(中央区)を視察した石原氏が1999年9月、「古くて狭い。何とかしなければいけない」として、豊洲移転を「早く積極的に進めてくれ」と指示したと述べた。
石原氏は今月3日の記者会見で「(99年4月の知事就任後に)豊洲移転は既定路線と福永正通副知事(当時)から聞いた」とし、自らの主導で決めたことを否定している。福永氏は11日の証人喚問で「豊洲に決まっていたという発言はしていないと思う」と話した。