アイコンエディタを用いると、ひとつのアイコンファイルに 異なるサイズ・色数の アイコンイメージ を まとめて格納できることに気がつく。
システムが 状況に応じて適当なアイコンを選べるように・・・というのは雰囲気的に理解できるだろうけども。
だけど、その組み合わせは 多岐にわたる。
サイズだけでも、16px,24px,32px,48px,64px
色数も 1bit、4bit、8bit、24bit、32bit
どのサイズと色数の組合せで、アイコンを作っていけばいいのか。
もちろん かたっぱしから、すべてのサイズ×色数の組合せで作ればベストなのかもしれないけど、ま、現実的にはありえないよね。
そこで、最低限・どの組み合わせが必要か。
それをまとめたページって、案外 ネット上にないものなんだね。
ということで、ここで 私なりの考えをまとめてみた。
ピクセル | 別名(旧) | 使われる場所 |
16 x 16 | 小さいアイコン | タイトルバー、メニュー、タスクバー、エクスプローラの一覧や詳細 |
32 x 32 | 大きいアイコン | デスクトップ、エクスプローラのアイコン表示 |
48 x 48 | エクスプローラの縮小版表示 |
もちろん、デスクトップ等については、表示するアイコンのサイズを ユーザーが変更できるので、まったくこのとおりに表示されることが保証されるわけではない。
ただ、デフォルトの環境に対して すくなくとも 持っておくべきアイコンサイズは、
Web用(favicon.ico) の 場合
Windowsアプリケーションの場合
さらに 可能であれば、
だいたい これでまちがいない。
なお Windowsは、表示に使用したいサイズがアイコンファイルの中にみつからない場合は、最も近いイメージを選択して適切なサイズに伸縮する、という動作を行う。
それを知る手段のひとつとして、Windowsの歴史をさかのぼってみることにする。
Windows3.x は、VGA (640x480 ピクセル・16色)の時代に登場した。
このときのアイコンの規定は ICONDIRENTRY構造体のメンバで「16・32・64ピクセル」「2色・8色・16色」と定義されている。
カラーパレットがないので、RGB基本8色・あるいはそれぞれの中間色の合計16色で固定されている。
発色数については、当時のデバイスの上限まで表示できたといえよう。
なお私の記憶なので、たしかかは自信がないが、Windows3.x になってICONDIRENTRY構造体で wBitCount が規定されたおかげで、その後の増色(冗長性)が示唆・保証されたんじゃなかったかなぁ。
また、Windows3.xのicoファイルは、OS/2から受け継いだものだったような。 ちがってたら、教えて。
その頃の詳細な歴史については → ※参考
Windows95でも、基本的にはこの定義を踏襲しているが、この頃になると 256色表示ができるSVGAが登場していた。
この時点で、Microsoft は 自社のアプリケーションのアイコンファイル にどのようなセットを仕込んでいたか。
Windows95のメモ帳(のアイコン)
上図のように notepad.exe で、使用されているアイコンは ほぼ この2種類のタイプである。
つまり Microsoftとしては Windowsにおける 基本的・かつ安全なアイコン色は16色(4bit)と考えていたようだ。
それは 当時の InternetExplorer 2.0 のアイコンにもあらわれている。
16 x 16 | 32 x 32 | 48 x 48 | |
16色(4bit) |
|
|
|
---|---|---|---|
256色(8bit) |
|
|
|
6種のアイコンが登録されているが、ここでも、最小の色数は16色(4bit)で 構成されている。
さらに最近の状況はどうか。
16 x 16 | 32 x 32 | 48 x 48 | |
16色(4bit) |
|
|
|
---|---|---|---|
256色(8bit) |
|
|
|
TrueColor+ (32bit) |
|
|
|
9種のアイコンが登録されているが、やはり最小の色数は16色(4bit)で 構成されている。
これらの状況から、最低限の基本セットは 16色(4bit)で作ればいいものと考えてまちがいないだろう。
なんせ、OSを作っているところだからね。まねして損はなかろう。
なお Windowsは、現在の表示能力に最適なアイコンイメージがアイコンファイルの中にみつからない場合は、 現在の表示可能色数を超えない範囲で、最大の色数を持つアイコンイメージを選択する。
またいずれのイメージも、現在の表示能力を超えてしまっている場合は、色数が最も少ないアイコンイメージを選択する。
16 x 16 | 32 x 32 | |
16色(4bit) |
|
|
---|
セーフモード時を含め、あらゆる状況下で表示できる最低限のあんしんセット
合計2イメージ
16 x 16 | 32 x 32 | 48 x 48 | |
16色(4bit) |
|
|
余裕が あれば |
---|---|---|---|
256色(8bit) |
|
余裕が あれば |
|
True Color+ (32bit) |
32bitは 上記にさらに追加 する場合にのみ推奨 |
基本セットに加え、256色(8bit)の 16 x 16 と、 同 32 x 32 , 48 x 48 のどちらか(可能であれば両方、どちらか一方なら 48x48)の 合計4~5イメージ で構成する。
48 x 48 が比較で理想的とされるのは、Windows の 48 x 48 → 32 x 32 のリサイズ表示が秀逸であるため、32x32
がなくても、ぱっと見にわからないから。
なお めったなことで48 x 48が表示されることはないから、 32 x 32 にする・・・というのもありだと思う。
あくまで どちらか一方なら、というところである。
16 x 16 | 32 x 32 | ||
256色(8bit) |
|
|
←色数はどちらでもいいが 一方にするなら、 256色(8bit)が推奨 |
---|---|---|---|
True Color+ (32bit) |
|
|
favicon.ico は、それがなくても致命的でないため、基本セットを含ませるかどうかは 製作者の好みだろう。
すなわち、
の 合計2イメージがあれば足りる。
色数は、どれでもいいが、ショートカット などで PCのデスクトップに配置される可能性を考えると、どちらか一方にする場合は、256色(8bit)が推奨される。(WindowsXP以前のOSに対応させるために)
32bitカラーを使用したい場合は、ついでに256色(8bit)カラーを仕込んでおくと安心だろう。
(2009/05/31・山崎はるか)
加筆:なし
※文中のアイコンファイルはMicrosoft製アプリケーションから抽出し加工したものです