Inc.:この記事は、知識を共有する質疑応答サイト「Quora」に投稿された質問をTEDx Speaker、CoachのVijayraj Kamatが回答したものです。


人から、興味があることをいくつも追求する秘訣を聞かれることがあります。相手は、私が時間管理に優れていると思っているのです。驚かれるかもしれませんが、私の場合、時間管理はまったく関係ありません。しかし、そのような勘違いをしている人は、このルールは知らないかもしれません。

人生で色々なことをやる("手に入れる"ではありません)ための、シンプルな10のルールをご紹介しましょう。

ルール1:「何がしたいか」と「どんな人になりたいか」を混同しない

ありきたりな人生に満足していない人は、ほとんどの場合、他人と自分を比べているからそう思うだけです。週末にバンドでギターを弾いている人に、格好いいと憧れているかもしれませんが、そのバンドマンは、自分の会社を経営して、誰かに報告する義務がないような人間になりたいと思っています。このような欲求は「あの人みたいになれたらいいのに」とか「彼女みたいな人生が送りたかった」というようなものです。他人の人生が素晴らしいと思っているのですが、それが最高の人生ではありません。それは、七面鳥が孔雀になろうとしているようなものです。あなたは他の誰かになることはできません。

ルール2:「どうして自分にはできないのか?」と責めるのをやめて、「自分は何がしたいのか?」と自問自答する

私たちは、自分が何かをできない言い訳を探したり、できる人たちは自分よりも運が良いだけだと決めつけたりします。「独身だったから」「親からのサポートがなかったから」「もっと若かったら」「奥さん/旦那さんがもっと協力的だったら」「子供がもっと大きかったら」などなど。

では、今の状況や、家族や、上司が、今週末すべて自分に協力的になったと想像してみてください。しかも、丸々2日間好きに使っていいとします。その時あなたは具体的に何をしますか? 答えられない人は多いです。自分がやりたいと言っていることが本心なら、やりたいことリスト(夢や願望ではなく具体的な行動)であふれるはずです。

これは思っている以上に難しいです。次のルールにもつながってきます。

ルール3:「自分は何をするべきか?」ではなく、「自分は何がしたいのか?」を自問自答する

自分が本当にやりたいことは、たいてい自分で自分に課した山ほどある期待の下に埋もれています。本当に自分がやりたいことをつぶさに見ていくと、多くの「私もやりたい」か「やらなきゃ」になります。

人と比べていると、永遠に不安なままです。戦う相手も、打ち負かす相手もいなかったら、あなたは何がしたいですか? 昼寝ですか? それとも、くだらないテレビ番組を見ますか? それでいいんです。

ちょっと待った!人生でもっと大きなことをやりたいと思いませんか?

ルール4:「やるべきこと」ではなく「自分が幸せになること」をする

本当の挫折というのは、「自分ができない時」ではなく、「本当にやりたいことをやっている時」に起こります。しばらくは楽しくはありません。

これまでは人のやりたいことを真似していただけで、実は何もしてこなかったからです。自分が本当にやりたいことの具体的なリストをつくり、ほんの少しでも時間ができたらいつでもそれをやりましょう。1分1秒が本当に大事になります。

そうやって、もっと幸せで、もっと満たされて、もっとパワフルな気持ちを感じ続けていると、自然と自分のやりたいことがもっとやりたくなります。そうすると、さらに大きなことがやりたくなるのです。

ルール5:積み重ねと一貫性の力を甘く見ない

多くの人が、ほんの少しだけすることには意味がないと思っています。「練習に専念する時間が取れないなら、どうして歌を習うのでしょう? 本当の意味で学ぶには、時間、専念、鍛錬が必要です」ごもっともです。しかし、誰も締切があるとは言っていません。私たちは「うまくなれなかったら、何の役に立つというのか」という隠れた思いに、気づいていないことが多いです。それもまた、人の真似や比較が元になっているものです。

「休まずに毎日1時間歌うこと」を目的としてはいけません。「いつでもできる時に楽しく歌うこと」を目的にしてください。何かをすることに没頭していれば、それを学び、向上し、成長します。10分の時もあれば、2時間の時もあるでしょう。1ヶ月以上続けば、すべてが積み重ねになります。

プロの歌手は1年で600時間練習するかもしれませんが、あなたは5年で600時間かもしれません。しかし、集中して充実した練習が600時間であれば、まったくやらないよりはるかに良いです。7年後には「正社員で、家族もいて、どうやったらそんなに歌がうまくなれるほど、練習時間が取れるのですか?」と聞かれるはずです。

時には立ち止まったり、休んだりしながら、ゆっくりと進みましょう。だけど、決してやめてはいけません。

ルール6:人生が豊かになる道のりは直線ではなく、曲がりくねっている

できるだけ時間を見つけて、やりたいことをやって、うまくいくようになると、それによって得られる幸福感で、さらに時間をつくって好きなことをするようになります。「毎週土曜は4時〜6時まで絵を描く」と決めるのではなく、子供を寝かしつけた後で、絵を描くようになっているかもしれません。もしくは、好きな本を読み直そうとしているかもしれません。そして、その何かを終わらせるだけの時間をつくります。

ルールや決まりではなく、やりたくてしょうがないという情熱によって心が突き動かされていると、かなり集中することができ、"フロー"が生まれる要因が増えます。そのため、成長がかなり速くなり、自然と気が散ることもなくなります。

テレビを見ないように自制しなくても、そんなことをするヒマがないような状況をつくり出しているのです。

ルール7:「ひらめき待ち」は単なる先延ばしの言い訳

自分にとって大事なことを本当にやりたいと思っているのと、自分はそれができないという気まずい感情を取り除くのは、かなり違います。ひらめきを言い訳にすると、その気まずい感情を取り除くことができます。そのためだけに「ひらめき待ち」をしていることがよくあります。それは、実行計画ではなく幻想です。

それ自体は悪いことではありませんが、真実を見つけ出すには、単純にこう自問自答してください。「自分は本当に行動したいのか? それとも、自分にはできると言い聞かせたいだけなのか?」

ルール8:一度に全部できる人はいない

私は、歌って、絵を描いて、料理をして、小説を書いて、エッセイも書いて、本も読みます。それに、映像制作のクラスも受けています。それから、今は学校でも働いています。しかし、それをすべて一度にやったわけではありません。うまく絵が描けるようになるまで数年、魅力的な料理ができるようになるまで数ヶ月、難しい歌が歌えるようになるまで数週間かかりました。

今は「Quora」での執筆と、学校での仕事に時間を費やしています。しかし、私のページやストーリーや料理の写真を見た人は、私がいつもすべてやり続けていると誤解しやすいです。

今やっていないことをやりたいと思っているか? 答えは「ノー」です。満たされると思っていないからです。それに、歌いたいと思ったら、迷わず歌います。誰かのためでなく、自分のために。

ルール9:よくわからないことに挑戦するのを恐れない

結果を恐れて挑戦しないことがよくあります。やらなかったことは一番大きな後悔になります。私が映像制作を学んでみようと決めた時、フルタイムのクラスは受けないようにしようと思っていました。3ヶ月450ドルの、デジタル一眼レフの週末コースを選びました。それは自分が求めていたものではなかった、ということだけがわかりました。ですが、450ドル払ってよかったです。やらなかった後悔をしなくて済みました。あれこれ考えずに、とにかくやってみましょう!

やったらどうなるかをいつも考えてしまう人は、結局やりません。だから、何も起こりません。

ルール10:「自分には才能がない」トラップに引っかからない

誰がそれをやらなきゃいけないと言ったのですか? ルール1でも言ったように、自分に才能がないと考えるのは「......みたいになりたい」という思考の表れです。「最高に格好いい10のプロダクトデザイン」という記事をインターネットで見て、「こういうものがつくりたい」と思い、そして自分に愛想を尽かします。

しかし、その10のデザインは同じ人から生まれたものだと思いますか? もしくは、それぞれの人が5年間かけて格好いいデザインを生み出したかもしれませんが、今仕事を続けるのに苦しんでいるでしょうか? もしくは、そのデザインが25年以上かけてつくられたものだとして、あなたはそれを読むのに5分しかかけていませんよね? 人と比べるのはやめてください。自分のやりたいこと、好きなことをしてください。やりたいことに大きいも小さいもありません。

自分が好きなことをしているなら、それを続けましょう。多分うまくなります。すごくうまくなるかもしれません。しかし、それはうまくなりたかったからではありません。単なるうれしい副産物です。旅の道中を楽しんでいたら、たどり着いた先にも楽しみがあるかもしれません。

まとめ

他の人がどう思うか、何をやっているかを気にせず、「自分が本当に心からやりたいこと」をみつけましょう。やりたいことが見つかったら、時間を見つけてすぐにはじめましょう。自分がやりたかったことじゃなかったと気付いたとしても、それは悪いことではありません。やりたいことを楽しんでやり、幸せになりましょう。そうすれば、もっとやりたいことがやりたくなります。時間は待つのではなく、つくりましょう。こうやって、行動し、フローし、曲がりくねった道を歩き続けていたら、いつの間にかあり得ないほど忙しくなっています。でもとても充実して、ストレスはありません。

みなさんが、もっと豊かで、クリエイティブで、幸せな人生を送りますように!

10 No-Nonsense Rules for Doing More With Your Life|Inc.

Quora(訳:的野裕子)

Photo by Shutterstock.