子どもの将来を考えると、金銭感覚を早めに養っておくことが大切です。小さい子でも基本的な考え方は理解できますし、大きくなったら家族の予算計画に一緒に参加させることで良い習慣が身に付くでしょう。

私は子どものころ、予算について教わったことはありませんでした。もちろん予算の仕組みは後からでも学べるのですが、小さいうちに習慣化するチャンスを逃してしまったのです。ほかの習慣と同じように、始めるのが遅くなればなるほど、良い習慣を身に付けるのは困難になり、悪い習慣が根付きやすくなります。

予算計画には子どもを巻き込もう

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我が家の子どもたち(現在17歳と14歳)がまだ小さかったころ、無意識のうちにお金に関して混乱させるようなメッセージを与えてしまっていました。ある日夫婦でフトコロ事情に対する不満を漏らしていたかと思えば、翌日には次の長期休暇の計画を立ててみたり。別のある日、ある物が高くて買えないと話していたかと思えば、そのあとすぐに買い物に出かけたり。私たち夫婦には理解できることでしたが、きっと子どもたちには、何が起こっているのかまったく理解できなかったと思います。ときに不安そうな表情を見せることもありました。

家族の予算計画に子どもを参加させれば、将来役に立つツールを与えることになります。すべての予算計画や議論に巻き込めと言っているのではありません。子どもたちにとって適度な参加レベルは、各家庭でそれぞれに決めればいいことです。いずれにしても、参加させることでお金に関するたくさんの不思議や恐怖を取り除けるのは間違いありません。

教育ツールとしてのお小遣い

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お小遣いに関しては様々な考え方があります。単純にお小遣いをあげる家庭もあれば全くあげない家庭もありますし、お手伝いへの報酬としてあげる家庭もあります。どの考え方にも妥当な根拠があるため、どれを選択するかは親次第です。

その際、次の2点を考慮するといいでしょう。

  • 定期的にお小遣いをあげることで、いつ/いくらもらえるのかを事前に知ることができるので、子どもたちは自分のお金を計画的に使う方法を学べます。
  • お手伝いの報酬としてお小遣いをあげる場合、当然ながら、お手伝いをしなかったときにはお小遣いはもらえません。それ自体は非常にリーズナブルな考え方なのですが、その一方で、お小遣いをもらえないときがあるということは、計画的にお金を使う習慣を学ぶチャンスを失っていることになります。そのような習慣を学ばせるためには、何か別の方法を見つける必要がありそうです。

すでにお分かりかと思いますが、我が家ではお手伝いとは無関係に、お小遣いを定期的にあげています。お手伝いは、家族の一員である以上、子どもであってもやらなければならないことであるというのが我が家の考え方。例えば私が家のことをしたからといって、報酬がもらえるわけではないのです。

お小遣いは、お金の流れの管理を学ばせるための純粋な教育ツールです。ツールとして機能させるためにも、その額は「小さいものなら買えるけれど、大きなものを買うには貯金が必要になる額」でなければなりません。

ここでもお小遣いの金額は各家庭で決めることですが、参考までに、試行錯誤の末に我が家が至ったシンプルなルールを紹介します。我が家では、毎週「年齢×2ドル」を子どもたちに渡すことにしています。つまり、17歳は週に34ドルもらいます。これは大人も一緒で、私たち夫婦にも同じルールが適用されています。

小さい子どもにはできるだけシンプルに

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子どもがまだ本当に小さい場合、予算会議や金銭的な判断に無理やり巻き込む必要はありません。それはあまりに複雑で、小さい子どもにとって得るものはほとんどないからです。子どもが小さいうちは、お金の出所がどこであれ、お金の使い方を自分で決めさせることが重要です。自分で選択する経験が、子どもの将来に影響を与えるのです。

我が家では、4つのビンを使っていました。古くからある方法ですが、とてもうまく機能します。あのエルモも、こちらの動画でその方法(3つのビンですが)を紹介していますよ。

エルモの動画では、3つのビンは「誰かのため(寄付)」「自分のため(支出)」「未来のため(貯金)」に分かれています。我が家の場合、エルモが言う「貯金用」のビンを、さらに「貯金」と「投資」の2つに分けます。

  • 「支出」ビン:いつでも使えるお金です(もちろん妥当な理由は必要ですが)。
  • 「寄付」ビン:寄付するためのお金です。寄付先は本人に決めさせます。お金を贈る相手の写真やサンキューカードなど、わかりやすいフィードバックをくれるところを寄付先に選ぶといいかもしれません。
  • 「貯金」ビン:短期的な貯金に回すお金です。1週間のお小遣いでは買えないオモチャを買うときなどに使えます。
  • 「投資」ビン:長期的な貯金用のお金です。大きなレゴセットや自転車を買うときのために。ただしこのビン、本当の投資ではありません。小さいうちは、短期的な貯金と長期的な貯金という2つのアイデアがあることを知るだけで十分だと考えたからです。我が家では子どもがもっと大きくなってから、貯めたお金がさらにお金を稼いでくれる利子という考えを導入しました。

どのビンにお小遣いを振り分けるかは本人次第です。ガイドラインを作ってあげるのもいいでしょう。それから、楽しくすることも忘れずに。各ビンにその目的を示すようなステッカーを貼るだけで、一気に楽しくなります。それから、各ビンの残高、貯金の目的、考えている寄付先などをノートに記録させるのもいいでしょう。

小さい子に教えるといいのは、次の5点。

  • 今お金を節約することは、未来の何かにつながる。
  • 欲しいモノを何でも買えるだけのお金を手にすることはできない。優先順位付けが必要。
  • 本当に欲しいモノでも、手に入れるまでに待たなければならないこともある。
  • お金の流れを記録することは、力になる。
  • 何かで節約すれば、そのお金をほかの何かに回せる。子どもたちは、クーポンを見つけるのが大好きになるでしょう!

差し障りのない範囲で、親のお金の話をするのもいいかもしれません。我が家の場合、子どもたちと同じように毎週お金が入ってくること(ただし労働と引き換えに)、そしてそれをどう使うかを自分で決めなければならないことを話していました。

成長とともに基礎を築く

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子どもが大きくなってきたら、実際の予算会議や、金銭的な意思決定に参加させることを検討してみましょう。小学生のうちは、お金の基礎を教えます。仕事の対価としてお金を得ていること。一定額の収入と、定期的な支出があること。支出後に残ったお金を貯金に回すか、それとも使えるお金にするかは自分次第であること。

中学生になったら、もっと深いところまで関わらせます。支出の価値を教えると同時に、節約や貯金をするためにはいろいろな方法があることを教えます。

子どもが大きくなった時に考えたいのは次の6点。

  • 家族にとってプライバシーは大切:この年齢の子どもに実際の給料や支出の話をするときは、プライバシーについて教えるチャンスです。家族の内部事情には、外部に教えるべきでないこともあるのです。もちろん、それが理解できる年齢かどうかは、親が判断する必要があります。
  • 誰しも自分の責任で使えるお金を持つ権利がある:親は、子どものお金の使い道をいちいち知りたくなるでしょう。それは構いません。ここではプライバシーの話をしたいのではありません。ただ、お金の使い道を自分で決めることは重要だと思うのです。失敗や間違った判断を繰り返すことで、金銭感覚が養われていくはずです。
  • 金銭的な判断は家族全員で:どんな判断だったら子どもに手伝ってもらえるかを考えましょう。例えば、チャリティへの募金、夏休みの予算などでしょうか。
  • 節約方法はさまざま:節約のためのあらゆる手段を教えてあげましょう。リスクと見返りの関係、利率の話などをするのにもいい時期かもしれません。投資と貯金の違いも教えてあげましょう。
  • 支出方法もさまざま:大学生にもなれば、クレジットカードを持つのがあたりまえの時代です。デビットカードとクレジットカードの違いを教えましょう。貯金と同じように、お金を借りれば利子がかかることを理解させます。記録を残すことの重要性も伝えましょう。
  • 賢い消費者に:何かを買う前には必ずリサーチをして、自分に質問することを教えます。それは本当に必要なものか? 壊れたものの代わりになるのか? 同じような用途のものを持っていないか? 新しいものを買う利点は?

子どものころから賢いお金の使い方を教えることで、将来の頭痛の種を大幅に減らしてあげることができます。基礎からスタートして、成長とともに少しずつ広げていくといいでしょう。教えられる瞬間がないか、常に意識しておくことも大事です。携帯の請求書が来たら、一緒に解読しましょう。大きな買い物をするときには、リサーチした方法や決断に至った理由を共有しましょう。バケーションで散在するか、非常用に貯蓄しておくのかの判断には、子どもたちを巻き込みましょう。

金銭的な勝利の瞬間にも、子どもたちを巻き込むといいかもしれません。例えば、自動車ローンの最終支払いをするときには、「送金」ボタンをクリックさせたり、小切手を入れた封筒を糊付けさせるという案はいかがでしょうか。

WALTER GLENN(原文/訳:堀込泰三)

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