新しく何かを始めるのは大変です。どこから手を付ければいいのか戸惑い、失敗するのに恐怖を感じることもあるでしょう。

しかし、成功する唯一の方法はまずは立ち上がってやってみること。これにつきます。そこで、こうした恐れを克服し、重い腰を上げて目標を達成するためのコツをお伝えします。

多くの人が、始める前の段階でつまづいている

誰しも、計画は立てたけど終わらせていないプロジェクトを抱えていると思います。たとえば長い間練りに練っていた小説とか、理由をつけて先延ばしにしている転職活動とか、日がな一日テレビに噛り付いてばかりで無駄になっている芸術的才能とか...。始める前は、完成までの道のりに気が遠くなるような思いがして、ついつい現状維持の気楽さに負け、物事を先延ばしにしてしまいます。

しかし、米教育者Adam Savageは「人が何かをやると決めたら、みな同じような気持ちの変化を辿る」と指摘しています。曰く、

  1. どうやったらいいかわからない
  2. 誰かに依頼したいけれどお金を払う余裕はない
  3. やらねばならない
  4. あれ? それほど大変でもなかった...

何か新しいプロジェクトを始めるのは気軽なことではないし、簡単にできるものでもないでしょう。しかし、正しい計画と考え方さえあればほぼ達成したも同然。実際に立ち上がって何かをやるのに必要な手順は、とても簡単なのです。

  1. 目標を見つける: ここではまだ何もする必要なし。落ち着いて自分がやりたいことを考えます。
  2. リサーチする: 調べれば調べるほど作業が楽になります。指示や解説通りにやればなんでもできます。
  3. 期限を決めそれを守る: いついつまでにこれをやる!と決めるのは簡単。パッと日にちを決めます。それを守るのは少しばかり大変です。よって順調に進ませるためのご褒美の仕組みを考えます。
  4. 専念する時間を作る: 一日15分でもいいのです。簡単ですよね。
  5. 始める!: とにもかくにも、やらなきゃいけないのはまず開始すること。やってることが楽しければ自ずと続けていけます。

では、これら「さらに前に進むための秘訣」をもっと詳しく見ていきましょう。

1.達成目標をひとつ決め、自分へのマニフェストを書く

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まずは、たったひとつの具体的な目標を決めることから始めます。

そのとき大切なのは、こだわり過ぎないこと。ひとつのことを黙々とやり続けていくだけで、目標はほぼ達成したも同じです。小説の執筆でも、新しい仕事でも、作品製作でもあなたがこれまで長い間やりたかったことをたったひとつだけ選んでみましょう。そしてそれについてしばらく考えてみるのです。これは「思考の時間」(参考・英文)と呼ばれる大切なプロセスです。まだ行動はしません。ただ考えるだけです。

考える意欲と行動する意欲が別々に起きるのは偶然ではありません。心理学者のArie KruglanskiとTory Higginsらによる調査によると、思考領域と行動領域の双方が互いに補い合ってやる気を増幅させる仕組みになっており、一般的には一度に活動するのはどちらかの領域だけだとされています。

この理論をマニフェストを書くことで応用するのです。つまり、やりたいことについてじっくり<考えて>、その考えた自分の目標を宣言書として<書く>のです。マニフェストというと大げさに聞こえるかもしれませんが、何かを始める際に「やる気スイッチ」を入れて、あなたの目標と気合いをしっかり書き記すというのはとても効果的です。

ここでのポイントは、自分の主義や行動指針になるものを考えてそれを宣言するということです。The Art of Manlinessというサイトでは「テーマを選んでその行動指針を決め、肯定的な言葉で宣言書にするとよい」としています。

(例文)「わたしは強くて統率力があるように見られたいです」

── これは残念ながらボツです。

(もっと力強く)「わたしは強くて統率力があるように見せます」

── これでもまだ弱いでしょう。

宣言するときは、能動的な言い方で意志を伝えるようにすると、言葉の意味を真剣に自分で受け留めるようになります。さらに言葉の威力を上げるならば「わたしは強くて統率力があります」というように、現在形で言い切るように伝えると効果がますます上がります。

マニフェストをつくるには、すでに自分でどうしたらいいのかわかっていることについて、目標をひとつ決めます。"どうやって"という部分はまだ考えなくて良いのです。あくまで「なぜ」と「何を」のところを詰めて考えます。長さや文法などは気にしません。マニフェストは世の中に向けられたものではなく、あなた自身が立ち上がって何かを始めるようあなたを駆り立たせることが書かれたものなのです。

自分の目標とするところが見えてきたら、あまり大風呂敷を広げ過ぎずにまとめ、最終目的地がはっきりするまでは何も始めません。そして最終目標が決まったら、そこにたどり着くにはどういう道順を辿っていけば良いのかをはっきりさせます。(Photo by lululemon athletica.

2.何が必要なのかを調べる

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 下調べなしで何かに取り掛かるのは地図を持たずに出発するようなものです。ただし、逆に調べすぎた挙句に何もやらずに終わるのも避けなければなりません。自分のプロジェクトに取り掛かるのに何が必要なのかを調べましょう。

もちろん始めるのに必要なものごとは、あなたが何をしたいかによります。たとえばDIYであれば、マニュアル本も販売されているし、YouTube動画なども役に立つでしょう。(Photo by Nadina Helen Bakos.

3.期限を決めてそれを守る

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何をやるにしても、順調に事を進めるのには「目標と期限を決めること」が得策です。「わたしはこの日までにこれを終わらせる」と自分に言い聞かせることで、前に向かって具体的に動くきっかけをもたらします。

もし締め切りを守るのが苦手だったり、決めた期日を真剣に捉えない傾向があると自分が感じるなら、こんな方法を試してみる ──友人や家族に自分で決めた期限を伝えておくとか、自分の掲げたプロジェクトの計画をサイトで公開するなど── のも良いでしょう。期限を守れたら周囲からの賞賛も得て、お祝いムードにひたれますよね。

自分にぴったりの上手な期限の守り方を見つけましょう。自分を甘やかして期日をずらしていくのは簡単ですが、そうならないように計画に忠実に行きましょう。覚えておきたいのは「進歩はお金よりやる気を引き起こす」ということです。(Photo by Dafne Cholet.

4.専念する時間を自分のために作る

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毎日少しの時間でも構わないのでプロジェクトに掛かりましょう。コメディ俳優のJerry Seinfeldは自身の経験から作業を連続して続けるよう意識することは目標達成に非常に効果的だと伝えています。やり方はまず壁にカレンダーを張って、作業した日毎に日付の所にチェックマークを入れて行きます。これを続けることでモチベーションを持続できます(参考・新しい習慣を身につけるための、シンプルなカレンダー活用術)。

プロジェクトをやる前から止めてしまうのは、「専念する時間がない」と自分で思い込んでしまっていることにも原因があります。しかし実際には思いのほかあまり時間をかけなくて良いのです。著名ブロガーで作家のMark Frauenfelderは一日15分でも充分だと言っています。

もし僕が一日に15分間コンピューターから離れて自分のプロジェクトのために時間を作れたらどうでしょう。恐らく誰もが一日15分という時間は作れると思うのです。そして1カ月ほど経ってその細切れだった時間を合算したら、かなりの時間をこれまでやりたかったことに費やすことができていた!ということになります。

15分はもちろんたいした時間ではありません。もしもっと時間を掛けれるようならそうしましょう。 時間を作るひとつのやり方として、毎日目標に向かって作業するように何時に何をするというような自己管理するスケジュールを立てるのもいいでしょう。あなたが何に取り組んでいるかにもよりますが、身体には最適な時間があるというのも忘れずに(参考・体内時間に合わせて一日のスケジュールを組むと、効率よくすべてがはかどる)。たとえば小説を投稿するといったプロジェクトならもしかしたら朝型のほうがいいのかも知れません。(Photo by Lisa Yarost.

5.まずは始めよう

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煮詰まってしまったら、どんなに考えても何してもまずは座って始めてみるしかありません。繰り返しお伝えしてきたように、「始めることが何より大事」(参考・始めることがすべてだ! ~米Lifehacker筆者のリアルな体験談)というのはやはり的を得ています。

一日に10分でも15分でも作業のために自分に時間を作ってあげて、何が何でもとにかく取り掛かるのです。15分経過しても気分が乗ってこないようだったら、少しでも前に進んだことを認めて一旦作業から離れます。このサイクルに乗れたら、ずいぶんと前進し、いかにあっという間に時間が費やされていくものなのかに気付いて自分でも驚くでしょう。そんな境地にたどり着く頃にはきっと、目標として最初に掲げたプロジェクトは無事成し遂げられているに違いありません。(Photo by Chris Thomson.

Thorin Klosowski(原文 / 訳:椎野陽菜)

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