こんにちは、「失業経験有り人事担当とは名ばかり、すっかり生活担当」の田中二郎三郎です。

さて、「エコ」という言葉に悪い意味はないとの世論ができあがっていますが、洗剤や漂白剤などの世界にも、容器を捨てずに中身だけつめかえる事で「資源の削減=地球環境に優しい」と謳う「つめかえ」商品が販売されるケースが非常に増えています。もちろん、一部のつめかえが危険な強酸性・強アルカリ性商品は、スプレー部分だけを交換して使えるようになっていますが、ビニール袋に入れられて販売される形が多いです。しかし、このつめかえ商品に隠された販売戦略をご存じの方は少ないと思います。

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 つめかえ商品は当然のことながら、容器に入って売られている商品よりも安く販売されています。しかし、よくパッケージを見ると、容器商品よりも「内容量が少ない」です。無作為に洗濯用柔軟剤10種類を調べてみると、なんと10種類すべてにおいて、容器商品よりも詰め替えの方が2割から3割内容量が少なく、中には4割も少ないものもありました。計算した結果、7商品が100mlあたりの単価が容器商品よりも割高という結果に。

早速某メーカーに取材してみると、「使い切らないで中身を入れる消費者の方が多いので、こぼれないように内容量を減らしている」、「つめかえるとき泡立つ製品の場合、内容量を減らさないと泡であふれてしまう可能性がある」との返答。肝心の容器商品の方が実体的に割安である事に言及すると、「販売店さんのお考えで価格は決められていますので、当社では明確にお答えできません」との事でした。

こぼれてしまう可能性という返答には納得ですが、元々つめかえの方が容器代金が安いはずなのに、実質単価が逆転して割高になっている事には納得がいきません。そこで、小売に詳しい人に取材してみました。

昔は容器を売って商品のリピーターを増やすために、容器商品の方が安く設定されていたこともありましたが、今は少し違いますね。すべてのメーカーさんがそうというわけではありませんが、実はつめかえ商品の方が、メーカーも店も利益率が良いのです

な...なんと! つめかえを売った方が店側は得? その分、消費者は実質単価の高いつめかえ商品を損していることに気づかずに買っていくということですか!?

時々つめかえ袋に「10%容量増量サービス」とか謳っているものがあるでしょう? それで「内容量が少ないのはあふれるからだ」というメーカーの理屈はおかしいですよね。実は、容器代の方が中身より高い事が多いので、中身を1割増量してもメーカーは大して損にならない。だからビニール袋入りで容器代もほとんどかからず、中身の単価が安い、すなわち、利幅も高く売りやすいつめかえをメーカーも店も売りたがるんです。思い切った値引きで店のチラシに載せる目玉商品にすることもできますしね。

「容器代より中身が安い」という証言に驚きです。さらに話は続きます。

つめかえの品揃えがやたら多くて、容器の商品が少ないお店、見かけませんか? 容器商品が売場にないのに同種類のつめかえだけ売場にある、あれは利益率を追及した結果です。特に、店が意図的に「つめかえ3個パックセットでお得」とか書くと、いかにもお得に見えますよね。でも実は、3個分まとめて損している場合もあるんですよ。

た...たしかに容器商品を買いたいのに、つめかえだけ置いてある店舗を見かけます。

つめかえの内容量が少ないのは、あふれるという理由もありますが、使用可能回数を気づかれない程度に減らして、なくなったところを狙ってさらにつめかえ商品を買わせようとする巧妙な販売戦略なんです。継続してつめかえを使ってくれれば、利益はどんどん膨らみますからね。

そう考えると、つめかえを買うときは本当に得かどうか、よく単価を調べて見極める必要がありそうです。なおこの記事は、あくまでも日用消耗品の「つめかえ」にスポットを当てたものであることをお断りしておきます。特定のメーカーの商品を名指ししたものではありません

(田中二郎三郎)