手の中のスマートフォンをじっと見つめる...。私のこと、調べてたの?
Carrier IQ。その存在が明らかになり、米国では通信業者から携帯製造業者までを巻き込んで大きな騒ぎとなりつつあります。大騒ぎの発端Carrier IQって一体なーに?
Carrier IQとは、ユーザーの使用履歴を記憶するソフトウェア。何百万台というスマートフォンに仕込まれています。が、これはユーザーの意志によってしこまれたわけではないのです。
■Carrier IQはサードパーティによる測定サービスであるスマートフォン製造業者や通信業者は、ユーザーがこの製品をどのように使っているかに多大な興味があります。使い方がわかればそれを深く分析し、製品の精度をあげて次モデルにいかすことができる、結果ビジネスにおけるさまざまな決定に大きく役立つ事になるわけです。Carrier IQは、ユーザー情報を集めて分析する会社が提供するサービス。ここで集められた情報はクライアントである製造業者や通信業者に提出されることになります。
■ユーザーには知らされていなかったCarrier IQの存在 Android、BlackBerry、iOS端末等何百万台にインストールされている可能性あり事が明るみに出たのは11月中旬ですが、大きく報道され始めた12月1日以前は、ほとんどの人が自分の端末にCarrier IQがインストールされている可能性は知りませんでした。Carrier IQは、Android、iOS、BlackBerry OSの一部分ではありません。完全に独立した他社のソフトウェアで、製造業者又は通信業者によってインストールされたものです。1億4000万台のスマートフォンにこれがインストールされている可能性があると言われています。どのスマートフォンにインストールされているのか、それは現時点では確かではありません。先手をうってインストールされていない機種等を発表している業者もいくつかあります。
例えば、AppleはCarrier IQを過去に使用していたことを認め、iOSにはインストールされているもののデフォルトではオフになっており、今後のアップデートでCarrier IQを排除する方針だと発表しました。通信業者AT&TやT-Mobileでも、次々に声明を発表しています。内容は、ソフト使用は認めるが、不正な情報の取得や使用はしていないというもの。また、サービス使用やソフトウェアのインストールは行っていないと発表する業者もあります。
■収集されるデータの内容はCarrier IQの種類によって違うCarrier IQサービスは、そのクライアントに応じてカスタマイズが可能です。なのでどういう使用履歴データを収集しているのかは、各スマートフォンに仕込まれたCarrier IQの仕様によって異なってきます。社の表向きなサービス説明には、アプリの使用状況やそのデータ通信スピードの情報等を収集とありますが、最初にCarrier IQの存在を発見した開発者Trevor Eckhart氏によりますと、発着信履歴、位置、キー入力内容等、スマートフォンで行うほぼ全ての情報を記録することが可能だと言います。つまり、スマートフォンで様々なサイトにログインしたり買い物をしたりしていれば、そのパスワードやクレジットカードの番号も情報として収集が可能な状態であるということです。
■個人データを収集される気持ち悪さFacebook利用者は、その気持ち悪さを感じたことがあるかもしれません。なんでこの人がオススメにでてくるの? なんでそんなことまでわかるの? あの感じです。どのようなデータが蓄積されているのか、どれほど自分のことが知られているのか、そのデータをどう使うのか、どう管理されているのか、誰がアクセスできる状況なのか。現時点では詳細はまだ不明です。
■違法行為である可能性もCarrier IQにはすでに捜査がはいっており、フォーブス誌はユーザーがその存在を知らされていなかったことから、盗聴としての罪を問われる可能性もあるとしています。何らかの形で、携帯契約時等にCarrier IQ使用許可にサインしている可能性もあるので、この部分はこれからの捜査によって明らかにされていくでしょう。
■Carrier IQは危険なものではないと言うがCarrier IQの発表によれば、キー入力内容等はすべて「まとめ」データを記録しているだけであり、その動きすべてを記録しているわけではないと言います。(つまり、入力された内容、前述のパスワードやクレジットカードの番号といった詳細なものは記録していないということ。)
■嘘でしょ?Carrier IQ会社、キー入力内容は記録していない等の発表は信じがたいものがあります。現に、Carrier IQを発見したエッカート氏はデモとしてキー入力を記録している様子を発表しています。
米国で一大ニュースとなっているCarrier IQ事件。今後はCarrier IQ、通信業者、製造業者に対する法的処置、また集団告訴も多数有り得るとして今後の動きに注目が集まります。個人の些細な情報も、膨大な数が集まればとてつもなく価値の高い情報になります。喉から手がでるほど欲しい情報、一体どの程度集められていたのでしょうか。
そうこ(Mario Aguilar 米版)