宇宙のゾッとする怪現象BEST-5

  • 126,762

    • X
    • Facebook
    • LINE
    • はてな
    • クリップボードにコピー
    • ×
    宇宙のゾッとする怪現象BEST-5

    昨秋、NASAは宇宙がなにか巨大な物質の塊に向かって動いていることを発見し、これを「ダークフロー(暗黒流動)」と名づけました。

    が、これはまだ序の口。人類を包む宇宙はゾッとする不可解な現象だらけなんでございますよ!

    宇宙の怪(1) ダークフロー(暗黒流動) or 宇宙規模のジョーク

    090504centaeso.jpg

    宇宙規模の水洗トイレかなにかのように。

    「既知の宇宙に存在するあらゆるものは深宇宙の20°の領域に向かってスライドしている」―というNASAゴダード宇宙飛行センター天文物理学者アレクサンダー・カシリンスキー氏の発見は、2008年10月発表となるなり大論争を巻き起こしました。

    素人でも分かる言葉に置き換えると。

    (スターウォーズの)タトゥイーンやイウォークやシックスよりもっと遥か向こうに、とても常人の頭では理解できない巨大な物質の塊があって、これが観測可能な宇宙の万物を速600キロ以上で引き寄せている、と。

    ネックは「観測可能な宇宙」という部分ですね。ダークフロー理論では、この巨大な物質の塊(超構造)はビッグバン以来光が届く範囲の既知の宇宙の「外」にあることになってるのです。いくらこの宇宙の物理、力、時空ワープの法則を遥かに超えたもの...と思われても、この黒い目で見ることは絶対、ムリ。ユニコーン、空飛ぶ車、猫、犬が調和の中に生きている...そんな世界が宇宙の向こうにあるかもしれないのに...行けないんですよ、ああ...。

    肉眼で確認できなくたって宇宙の水平の向こうに何があるか理論構築を試みるのが科学者です。カシリンスキー氏も2001年6月開始以来"輝かしい成功"を収めた「Wilkinson Microwave Anisotropy Probe(WMAP)」プロジェクト(10大発見はここ)から得た5年間の研究データを使って、本現象の研究を続けたいとしています。

    宇宙の外にも宇宙があったら、あなたならどうします?

    関連:「"暗黒流動"を観測、宇宙論を覆す?

    宇宙の怪現象(2) WOW!シグナル or 宇宙からのメッセージ

    映画『コンタクト』でジョディ・フォスターが遥々ベガに着き、天と見まごう美しさに言葉を失い、「私なんかじゃなく詩人を送るべきだった」と嘆くシーンがありますけど、これは現実に空から届いたメッセージ。今に至るまで地球外生命体がいることを示す最も有力な手がかりとされるものです。

    その名もポップな「Wow!シグナル」は長さ72秒。1977年8月15日Dr. Jerry R. Ehmanがオハイオ州立大の巨大アンテナ「ビッグ・イヤー(Big Ear)」で探知しました。氏は発見時の状況をこう語っています。

    ... それは自分が今まで見た中で最も奇妙なシグナルだった ... 最初は、どうせ地球から出た電波が宇宙ゴミに反射して返ってきたんだろうと思ったが、さらに調べてみて、それはありえないことが分かったんだ。

    地球の電波が人工衛星に撥ね返ってきたんじゃない根拠のひとつは波長です。水素原子の1420MHz(波長21cm)の電波で、地上で使用が禁じられているものだった。あと、映画『コンタクト』もそうでしたけど、18時間の録音では交信自体の内容より交信時間の長さが多くを物語るものらしく、この72秒という長さも決め手になりました。

    Wow!シグナル発見20周年の論文でEhman氏は、「アンテナの赤緯を変えた直後に探知したので、もしかして本当はずっと前からあったのかも。何年も前に同じ赤緯で観測した時には広帯域受信機(8 MHz)だったので検出できなかったのかも」という新たな推論も立ててます。

    Wow!シグナルと同一あるいは類似のシグナル検出の試みは発見後20年に渡り何度となく続けられてきましたが、どれも失敗に終わってます。ハリウッドが大好きなニューメキシコの超大型電波干渉計(VLA)なんかのパワフルな装置も使いましたが、だめ。パッタリなしのつぶて。

    ここは「滅びゆく生命体が最後に流した叫び」とかじゃなく、宇宙飛行士兼作家のDavid Darling氏が言うように、アレシボ電波望遠鏡並みに大きい電波発信用のディッシュと2.2ギガワットのトランスミッタが使える宇宙生命体が生成したシグナル、と思いたいものですね。

    因みに「Wow!」は発見時Ehman氏が感動のあまり「Wow!」となぐり書き=写真下=したのをそのまんまつけたものです。きっと漫画みたいに椅子にひっくり返ってターミナル一面にコーヒー噴いたんでしょう。それは僕だけか...。

    090504Space_wowcl.jpg

    関連:「"Wow!" シグナルはまだ発見を逃れている」、「Wow! Signal」、「宇宙人は本当にいるのですか?

    090504Space_main_Balloon_art_hi.jpg

    宇宙の怪現象(3) NASAがキャッチした正体不明のブーン!or 宇宙の何者かの叫び

    宇宙のメッセージにそっと耳をそばだてる映画『コンタクト』とはえらい違い。

    宇宙で何かがものすごい音で叫んでてNASAの地獄耳にちゃんと聞こえたという話もありましたよね。NASAゴダート宇宙科学研究所Alan Kogut氏によると「予想の6倍」という、とんでもないものです。

    もちろん宇宙には音なんかありません。NASAのARCADEシステムが受信したのは正確には鼓膜が破れるような宇宙背景電波です。音源は今もって完全に謎のまま。

    通常電波テレスコープは、"電波銀河(radio galaxy)"という電波の強い銀河から出る10MHz、100GHzの電磁を傍受受信しますが、NASAが受信した電磁は「全電波銀河を合わせても間に合わないほど」強い。つまり本来存在するはずのないものなんです。

    ただ今年Jesus記者が初報をまとめた際、「イワシ缶みたいに宇宙に電波銀河を詰めなきゃならない。ある銀河と隣の銀河との間にスペースは一切残らないだろうね」というNASAの談話引用しましたけど、あれは事実とは異なるようですね(元の原稿にもここにリンク貼っておきます)。

    すごい発見なことはそうなんですけど、先にご紹介したダークフローとか宇宙の果てとかクールなこと調べようと思っても、こんなもんがあると正確に探知しにくくて、なんだか厄介そう。

    宇宙の怪現象(4) ハッブルがUFOをスパイ

    090504Space_What-Was-It.jpg

    ハッブルの有り難味を再認した事件。

    これは2006年2月21日(報告書は最近やっと出版化)、ハッブル天体望遠鏡が、なんにもないはずの宇宙空間に未確認飛行物体(UFO)らしきものの姿を捉えた時の写真です。

    この物体。出現の仕方も謎でしたけど消え方も謎で、観測開始から100日で忽然と姿を消しました。 その間やけに明るくなっていって、ピークでは21等級に達し、また同じペースでフェイドアウト。ある種の爆発...なんでしょうかね。この天体現象について分かってる詳細はこれぐらいで、2006年以降再び姿を見せることはありませんでした。

    ん?「やっぱりゴミだろ」って? いやあ、ゴミじゃないみたいですよ?

    宇宙の怪現象(5) スローン・グレートウォール:人知の及ぶ中で最大の構造物

    万里の長城(Great Wall)の比じゃない全長13.7億光年。人知の及ぶ中で最大の構造物「スローン・グレートウォール(Sloan Great Wall)」です。

    発見されたのは割と最近で、2003年10月20日、プリンストン大学のRichard Gott III氏とMario Jurić氏の2人が見つけました。サイズもさることながら、地球から10億光年という気の遠くなるような宇宙の彼方にあります。

    ちょっと頭がついてかないので、身近なスケールに無理やり置き換えてみましょう。

    人間が住む銀河は結構大きくて、いろんな推計を総合すると端から端まで大体10万光年、厚さは中心部(巨大なブラックホールがある)で1000光年あります。13.7億vs.10万。まあ、譬えて言うなら少年ダビデと巨人ゴリアテぐらいの差ですかね、ははは。

    いや、そんなもんじゃないですね...。全長13.7億光年のゴリアテから見たら、僕らの住む"壮大な"銀河なんて体細胞みたいなもの。そのまた中に住む僕らの存在なんて、このゴリアテは永久に気づかない、というぐらいのスケール差でしょう。銀河が日々営々と日常の雑事を嫌々こなしてるとき、宿主はそんなことは露知らず悠久の時間を生きていく、と。

    前人未到の地へいざ行かん

    惑星間の物体や現象の話って、距離も、それに頭もついてけない気がしますよね。ここで挙げた現象の第一発見者になることもなさそうだし...でも絶対これだけは言っておきますけど、宇宙の旅を語るとき僕の口から"絶対"という言葉が出ることはないのです。今言ったばかりですが。

    さあ、人類( ロボ)よ、このリストを抱えていざ深宇宙の旅へ。天を仰げばそこにはまだゾクッとするような未知の世界がパックリと謎を湛えて広がってますよ。

    Jack Loftus(原文/訳:satomi)

    4796664238
    眠れなくなる宇宙のはなし (単行本)


    【関連記事】

    NASA、宇宙起源の奥底から謎の轟音探知

    オリンパスのデジタル一眼レフ「E-3」が宇宙へ旅立つ!

    宇宙の闇に隠れてジッとあなたを見ているステルス衛星「Misty」

    壁紙決定な宇宙の写真

    宇宙望遠鏡の打ち上げシーン(動画)

    UPDATE:修正しました、ご指摘ありがとうございます。